うさみ本棚

うさみの本棚です。おすすめされた本を読みますので、おすすめ教えてください!

「一汁一菜でよいという提案」を読んで。シンプル、ということについて考え直した読書感想文。

一汁一菜でよいという提案

「それだけで満たされているもの、こと。」
という言葉を以前読んで、
すとーんというかズドーン!と腑に落ちた私です。
ズドーン!と。あるいはバスーン!と。それかドギュゥーン!と。


これは、雑誌の&premiumの2016年夏くらいの号の
「あなたにとって、"シンプル"とは?」という記事での、
岡尾美代子さんというスタイリストさんの答えでした。


たぶん土井善晴先生に同じ質問をしたら、
「一汁一菜です」と答えるんじゃないか、
っていうか答えて欲しい、と思うような一冊でした。
うん、すごい回りくどいね。この文章。

どんな本ですか?

この本ですごく印象的だったのが、
「合理的と言いながら、機能的であることを追求していて、
 理にかなってないことがあるよね」というような節。


「機能的」と「合理的」の使い分けなんてあんまり意識してなかったけど、
実際はけっこう別物なんだよね。


この本は、料理研究家さんの本だけど、レシピはほとんどありません。
「日常の食事は『ご飯、味噌汁、漬物」の、一汁一菜でいいんじゃない?
というのがこの本のテーマ。


一汁三菜なんて、作るのたいへんだし、みんな忙しいんだし、
そもそも和食の原型は一汁一菜なんだから、
それでいいじゃん。という内容。
もちろん、お祝いの日なんかはいろいろあっていいと思うけど、と。


一部の人には非常に当てはまる。
というか、少子高齢化の今の世の中、
実はかなりの人数がこれでいいんだと思う。
家での食事は一汁一菜。
個人的には、もちろん育ち盛りにはもっとガンガン食べさせたいけどね。


もちろん私としては、
じゃあ天ぷら入り味噌汁とか唐揚げ入り味噌汁とかステーキ入り味噌汁とかチーズバーグディッシュ入り味噌汁とか
どうでもいいことを考えたくなったりもしました。
逆に手間が増えるし、たぶん別に食べたほうがいいからやめようね。


ということで、食を考える上で読むと楽しい一冊!是非!


こんな人に読んで欲しい本でした

・正直、食べ過ぎだ
・正直、今晩のおかずに悩んでいる
・正直、これから料理を始めようと思うけど、何を作ればいいかわからない
・正直、ふだんのごはんはシンプルでいいなー、と思う
・正直、主婦/主夫がこれを言うのははばかられるけど、家庭料理の権威がこれを言ってることに意味があると思う
イチローがカレーを毎日食べる話が好き
タモリさんが朝から揚げ物を食べる話が好き


ちなみに、この本は
Instagram
を見て、読んでみた本です。
talcusさんありがとう。


あと、読み終わってちょっとして、
家庭料理はごちそうでなくていい。ご飯とみそ汁で十分。土井善晴さんが「一汁一菜」を勧める理由
という記事が公開されて、タイミングぴったりでびっくりした。

冲方丁さんのマルドゥック・スクランブルを読んで。読書感想文。

マルドゥック・スクランブル〈改訂新版〉
石原プロより爆発・銃撃・カーチェイスする
攻殻機動隊も驚くほど人間とデジタルが融合してる
ドラえもんも驚くほど四次元から道具が出てくる
・過去のギャンブル映画が優しく見える
ダイ・ハードより死にそう
そんな小説でした
これはおもしろかった。
日本SF大賞受賞作、さすがです。


とにかく悪者がほんっとーにあぁったぁおかしい。
振り切ってる感が好感持てます、


モラルってなにかとか
確率とその前提の話とか
自分が置かれてる状況を性格に把握しているか、把握できるかみたいな話とか
あるいは自分の状況を把握して理解してるのは自分なんだから「理解」をコントロールできるんじゃないかとか
そんないろいろなことを思うようなストーリーでした。

どんな本ですのん

SFです。
架空の都市で殺されかけた少女が
超科学で生き延びて、ついでに凄まじい能力と頼れる相棒を手に入れて、前を向くために過去を乗り越える!
みたいな話。


行き過ぎた科学は魔法にしか見えない的なアレです。
サイバーパンク
またそのサイバーパンクさを強調するのが銃撃やギャンブルのシーン。
とにかく正確に撃ちまくる。


犯罪と裁判と銃撃とギャンブルと銃撃と、みたいなシーンが多量にあるけど、
誰かを信じることとか、確率は前提を間違えると正しく導けないこととか、いろんな学びにつながる一冊でした。

こんな人には是非読んで欲しい本でした

冲方丁さんのSFをまだ読んでない
バットマン好き
・トチ狂ったSFが読みたい
ブラックジャックで勝ちたい
・映画マトリックスが好き
・文庫だと全3巻くらいの重たい本が読みたい
・銃撃、爆発、カーチェイスがないと眠れない

読書で賢く生きる。を読んで、読書感想文。

読書で賢く生きる。 (ベスト新書)
占い師の真木あかりさんのtwitter
のファンなんですが、
日々twitterに「星回りとことば」というのを公開されてるんです。
いろんな本からいろんな言葉を引用されてて、グッときます。


で、ある日こんな言葉を紹介してたんです。


この本は、
これきっかけで読んでみた本。
実は、読んでる最中はぜんぜんこの言葉に気づかなかったんだけどね。
おかげで良い本が読めました。
ありがとう真木あかり先生。

どんな本なの?

「ビジネス書マニアがビジネス書の話をして盛り上がる」
という本です。
ビジネス書愛がハンパ無い3人が、
たくさんの本が紹介している、愛に溢れた本。


著者三人はビジネス書への愛が強すぎる。
愛ゆえに偏りがあったり、
「結局これとこれだけ読んでりゃよくない?」という、考えすぎて何周かしてそうな結論が出てきたり、
特定の著者をいじってみたり、とても楽しそう。


この「特定の著者をいじる感じ」のが、面白い。
なんというか、独自の芸風とファンを手に入れた人に対する、
黒いような白いような気持ちがあって出てくる言葉。


シンガーソングライターでもさ、
中島みゆき松任谷由実aikoあたりの
「芸風とファンを手に入れてるっぷり」ったらないじゃないですか。


勝間和代長渕剛か。
よく言えば上手に立ち位置を作ってる。
悪く言えば「セルアウトしてる!金に魂を売った!」みたいな話。


かと思えば
ビーチボーイズのこのアルバム聞いとけばとりあえずなんとかなる」
みたいな古典/クラシック的な本のおすすめしたりする感じが面白い。


音楽よりも速いペースでビジネス書のブームは移り変わるから、
こういう本を読んで古典の良い本の名前と、
新刊の選び方を身につけるのはよいことかもしれない。

こんな人に読んで欲しい本でした。

・「人がおすすめする本しか読まない」とか言う人
・ビジネス書、読みたいけど何を読んだらいいかわからない人
・ビジネス書、読みたいけど選び方がわからない人
・著者3人のうち誰かのファンの人

「うれしい悲鳴をあげてくれ」を読んで読書感想文を書いた。

うれしい悲鳴をあげてくれ (ちくま文庫)

名曲の歌詞をたくさん作った人の、エッセイと小説が読める本。
エッセイは素でおもしろい。
小説は意外にも夢か現実か、みたいなショートショート
こっちもおもしろいの。素晴らしい。


スーパーカーっていいバンドだったよね。
ということで、ロッキンオンジャパンのコラムをまとめたやつをおすすめしてもらったので、
読んでみました。
インフルエンザの熱が落ち着いてきたころに、手元にあった本。

こんな本でした。

ミュージシャンって、音楽が得意な人と、その人の特殊性がたまたま音楽で花開いている人がいると思うんです。
「おまえ、音楽があってよかったな」って人と、
「おまえは音楽やってなくってもなんかしらになってた感じだよな」って人。
この人は後者だと思う。


つかこの
「○○をやってなくてもなんかしらになってたよね」って人と、
そうじゃない人。みたいな区分が好きです。
一見器用に見えて、実はそれ以外だったらほんと役立たず。
みたいな人って、なんかいいんですよ。


小説は深夜ドラマの原作になりそうな、
ちょっと不思議かつあるある要素もある感じ。
ノンフィクションの話とフィクションの話が混ざってるらしい。
タクシーの運転手さんにこんこんと説得されて煙草をやめる話とか、
創作みたいだけどそうじゃないみたい。


エッセイは、20代男性の等身大の日々、って感じ。
居酒屋でのくだらない男子トークとか。


そうそう、これ前から思ってるんだけど、
「女子力」って言葉があるけどさ、
男子力」って言葉を時々思うんですよ。


「女子力」の重心は「女」と「力」にあるんだけど、
男子力」の重心は「男子」と「力」にあるのね。
バカなことをやるやつこそ男子力が高い。
男子力が高くても女性にはモテないけど、男子にはモテる。


この人少し前の日曜夜の「関ジャム」っていう番組に他の音楽プロデューサーといっしょに
『2016年この曲がすごかった』的な

こんな人に読んでほしい本でした

スーパーカーファン
・いしわたりファン
男子力を上げたい男子
男子力を理解したい女子
世にも奇妙な物語好き
星新一好き

宇宙の果てのレストランを読んで。読書感想文。

宇宙の果てのレストラン (河出文庫)
インフルエンザになりました。
かかる前から回復期にかけて読んだ本です。
高熱でぶっ飛んだ脳みそをさらにぶっ飛ばすような本でした。


銀河ヒッチハイクガイドシリーズの二冊目。
いやはや予想通り楽しかった。
一冊目の感想文はこちらから→


元々ラジオドラマのシナリオから始まってるからか、
ふざけすぎくらいふざけてる素晴らしい文章。
「宇宙の果て」
っていうお題から
このレストランを想像できた作者さんすごい。


以下、ネタバレありなので、
読むかもしれない人は見ないで!

どんな本ですか?

すごいバカっぽい解説になるんですが、
一冊目でもう地球は滅んじゃってるんですね。とっくに。
で、この二冊目では時間をブッ飛ばして宇宙の時間が終わる直前に行きます。
マジでSEKAI NO OWARI


んで、そこにあるレストランに行って宇宙の終わりゆく様を眺めるんですよ。酔っ払いながら。
その後、さらに時間をブッ飛ばして天災レベルの音量を出すロックバンドの
パフォーマンスの一部にされたりしそうになるんです。
あ、後?後というか前?
宇宙の終わりまで行ってからずーっと昔にもどるからね。


そのパフォーマンスというのが、
「宇宙船ごと太陽みたいな恒星にダイブする」
みたいなやつで、その宇宙船にたまたま忍び込んじゃってたからさあ大変。
なんというか、非常にバカっぽい解説になるんですが、
本当にそんな話。
スケールの大きさが少しでも伝われば幸いです。

こんな人が読めばいいのに、と思う本でした。

・「そういうお前をわしゃ食った」みたいなデカい話が好き
・宇宙の最後の瞬間はどうなるのか気になる
・一冊目を読んだ
・誰もいない廃墟の星、みたいな設定に惹かれるものがある
・なんの教訓にもならない物語って素晴らしい、と思える

ミチオ・カクさんの「サイエンス・インポッシブル」を読んで。

サイエンス・インポッシブル―SF世界は実現可能か
永久機関は永久にできないし、未来は未来になっても予知できない。
じゃあテレポーテーションは?サイコキネシスは?タイムトラベルはどう?
みたいなことを、ガチな科学者がガチに検証してみた、というような本。
400ページオーバー。


SFに出て来るようなテーマに対して
「そのうちなんとかなる」「ずーっと先にもしかしたらどうにかなる」「ほぼむり」
に分けて解説してくれるんです。
んで、その中で物理学の歴史もなんとなく学べるような本。

どんな本でした?

これはね、眠くなる。
おもしろいけど眠くなるよ。
でもね、ためになる。


世界がどうできてるのかわかるし、
未来にどんな可能性があるのかわかる。


もっとライトな本もあるので、
同様のテーマで軽く読みたい人は別な本にした方がいい。
ランドール・マンローのホワットイフ?とかね
ただし、一通り読みたい人は読むとよい。


これはね、
映画監督が映画について語るような本じゃなくて、
美術監督が一点一点について語るような本です。
釘一本、ペンキをはがすサンドペーパー一枚にもこだわりがあるのよ。
大好きじゃないと、こんな本は書けない。


こんな人に読んで欲しい本でした

・物理学とか科学とか量子力学とか学び中の人
ニュートン萌えとかアインシュタイン萌えとかシュレーディンガー萌えの人
・可能性を探したいものづくりベンチャーの人
・暇な人
・眠くなりたい人

ちなみに

ちなみに、同じ人が書いた
「2100年の科学ライフ」という本のレビューを2014年頃に書いたんだけど、
今ネット上には無いはずなので、ついでに載せておく。

2100年の科学ライフ

未来は僕らの手の中~ってなもんですよ。


トップクラスの科学者300人にインタビューして、
コンピュータ、人工知能、医療、ナノテク、エネルギー、宇宙などなどのテーマで
2100年頃の未来を書いた一冊。


各テーマごとに今~2030年くらいの近未来、
~2070年くらいの世紀の半ば、
~2100年くらいの遠い未来を書いてます。
で、出てくるもの全部「すでに今、プロトタイプがある」というのがすごい。


興味深かったのが、
人口爆発はしない。先進国になればなるほど出生率が下がるから」
という話や、
「なんでも複製装置みたいなものができる」
という話。


自動運転の車とか、
ウェアラブルコンピュータとかはもう身近な現実だもんなー。
あ、2100年にはコンタクトレンズに情報が映し出されるそうですよ。
すげい。


あと、
「どんなに技術が発展しても、
 洞窟に居たときと人間自体は変わってないから、
 実物に触れたいし、画面より紙が好き」
という『穴居人の原則』が随所に出てくるのがほんとっぽくてよい。


バーチャルな美術館がタダで見えたとしても、
人には現地に行って見ることに価値があるんだ、と。いう話。
アイドルやバンド大好きな人たちが何よりも現場を重視するのは、
これが理由のひとつだよなー
と思った。

あ、
読んだこと自体はここに書いてた
今年の読書テーマは「未来ってどうなんの?」だったなとかmixi全盛期のころとか、こんな時代もあったねととか、未来予想図はほらとか - うさみ日記

誉田哲也さんのインビジブルレインを読んで。

インビジブルレイン (光文社文庫)
私、サスペンスとかミステリーとか刑事物とかを読まないようにしてるんですよ。
もともとは好きなんですが、
なんというか、ハマるのが怖い。


ハマる小説=おいしいデザートくらいの気持ち。
常習性があって、途中で止められなくて、おなかいっぱいにならなければずっと摂取し続けてしまう。


それはまるで午後4時くらいの「あぶない刑事」再放送のように、
確実に時間を奪うんです。
残酷かつクールかつハードボイルドに。


んで、だ、
人からおすすめされたら読むんですよー今年はーもう。
おすすめされたから読んだんですよ。
楽しかった。

どんな本すか?

人が死ぬの!
で、女刑事が出て来るの!
あと、ヤクザが出て来るの!
こわーい!!


で、
・再重要人物の過去エピソード
・最重要人物の最近
・女刑事目線のエピソード
・ヤクザのエピソード
といったエピソードがくるくる出て来て、だんだん接近する。
章ごとに主人公が入れ替わるような描き方で一個のストーリーになってる組み立て。


AさんBさんCさんそれぞれの視点から描かれて、
だんだん全貌が見えてくるような書き方。
こういうのもスイッチバック方式って言うの?


まあそんでだんだん謎が解き明かされていくんだけど、
描き方が細かくていいんです。
登場人物の心の動きとか。
斬り殺された現場の細かい描写が数ページに渡って細かく書いてあったり。
これは好きな人はシリーズ通して読むだろうなー
と思った。


ストーリーの軸がよくできていて、
枝葉の部分もうまい。
なるほどそりゃー映画化するわー、
というお話でした

こんな人に読んで欲しい本でした

・泥臭い感じの刑事ものが好き
・頭よさげなのに泥臭くがんばる話が好き
・殺人事件の刑事モノというだけでときめく