うさみ本棚

うさみの本棚です。おすすめされた本を読みますので、おすすめ教えてください!

重松清さんの「ステップ」を読んで。読書感想文。

ステップ (中公文庫)

泣ける系の本って、
終盤でドーン!と泣かせてくるのが多いじゃないですか。
そんな中、この本は序盤15ページくらいから、
終わる5ページ前くらいまでずーっとスキを見ては泣かせてきます。


「それはアレルギー等による涙腺の異常では?」
という方もいらっしゃるかと思いますが、
どうかこれ読んでから言ってください。


父親としての成長はもちろん、
両家の両親とのつながり、
義両親の老い
一人娘の成長と親離れといった、
いろんなテーマが寄り集まって一冊の「家族の物語」になってる。


登場人物みんなの中に生き続ける故人への思いが、
なにも言わないはずなのに写真から聞こえてくる声が…。


泣ける。

どんな本ですか?

一人娘が一歳半の時に、
妻が亡くなった男性のお話。


その後実家に預けるでもなく、
一人娘の保育園の送り迎えをする頃から、
小学校を卒業するくらいまでのお話。


奥さんのご両親すなわち義理の父母がまたすげーいい人達で。
実際に同じシチュエーションの人はこんなに平和な日々を送ってるのかしらー
そうでもないよなー、と思ったり、
同じような境遇の友達のことを思い出したり、と、
いろんな感情が生まれる読書でしたよ。

こんな人に読んで欲しい本でした。

・全力感情移入して泣きたい
・誰かの親である
・誰かの子である
・誰か親しい人が若くして亡くなった
老いって逃げられない問題だよなー、とか思う
・泣ける映画を作りたくて原作を探している
・離れてる家族と会う回数が減ってきている
・家族はいないけど、家族ってどんな気持ちか知りたい


友達から勧めてもらった本。
ありがたく読ませていただきました。
おもしろかった!

鳥類学者無謀にも恐竜を語るを読んで。読書感想文。

鳥類学者 無謀にも恐竜を語る (生物ミステリー)

鳥類は恐竜の子孫である。
というのは、今や定説なんですね。
そして、メキシコあたりに落ちた巨大隕石の衝突と、
その後の寒冷化(舞い上がった砂塵で太陽の光が遮られて寒くなった)やなんかの影響で、
恐竜は絶滅した。


だけども、
一部の恐竜はその後も鳥として生きている。
みたいなことをガッツリ書いてくれている本です。
この本、「無謀にも」といいつつ、
内容はそんなに無謀でもない。


この「無謀」は実は、
「この本は真面目な本じゃないんですよ、
 無謀な本なんです。まともじゃないんですよ。
 おもしろいから読んでみてくださいよ。」
という補足のための「無謀」です。


「学者が語る」とか言うと、なんだかとてもヘビーな本に見えちゃうでしょ?
でも、この本の著者は非常にユーモアのセンスがある。
あと、文章によるリズムの作り方がうまい。
だから読みやすいんですよ。

世の中には2種類の人間がいる。恐竜学者と鳥類学者だ。

現生の空飛ぶ脊椎動物としては、ムササビやコウモリ、トビトカゲ、トビウオなどが頭に浮かぶ。トム・クルーズアンジェリーナ・ジョリーもときどき空を飛んでいるようだが、それは気にしない。

ほらおもしろい。
「実は韻を意識してます。」と言われたら信じてしまいそう。

どんな本ですか?

ユーモアあふれる鳥類学者がおもしろおかしくおおよそまじめに、
恐竜について、鳥類について、また、未来の鳥類について書いた本です。


恐竜や鳥類に関する全般的な知識や、
恐竜と鳥類の股関節とか、
恐竜の歯と鳥類のくちばしとか、
恐竜の化石からわかることとか、
羽毛が生えていた恐竜の話とか、
4足歩行していた翼竜の話とか、
恐竜のゲップとかとメタンガスとか。


色々な話で
「生き物の不思議、進化の不思議」
みたいなことを教えてくれる本。
生命の神秘について、
近所のスーパーに行くくらいの気軽さで教えてくれる本です。

こんな人に読んで欲しい本でした

・恐竜が好きで好きでしょうがない人
・鳥類が好きで好きでしょうがない人
・将来恐竜学者か鳥類学者になりたい人
・火星人か金星人が攻めてきたら世の中どうなるか知りたい人
・恐竜くんのファンな人(この本とは直接関係ないけど)
・好きな恐竜について語りあえるようになりたい人
・こどもが恐竜好きなので、なにかネタを仕入れたい人


元々ある人から
「鳥類学者だからって鳥が好きだと思うなよ」
という本をおすすめされていたのだけど、
その本を読むより先に同じ著者の
「鳥類学者無謀にも恐竜を語る」という本を別な方からおすすめいただいて読んじゃいました。


ちなみに恐竜まわりの本だと、
恐竜くんの「知識ゼロからの恐竜入門」も読みたいなーと思っています。
恐竜くんおもしろいんすよ。
博物館イベントとかで実物見たいな。
知識ゼロからの恐竜入門

花森安治の仕事を読んで。読書感想文。

花森安治の仕事
またまたイイ本を読んでしまった。
「なんで誰も教えてくれへんかったんや!」という本。
みんなにもおすすめしたい本。


ついこの前、立て続けに文章力に関する本を2冊読んで、
その後にこの本を読んだことに運命を感じる。
前のは文章の書き方の本だったけど、
こっちは書き手の本。


ちょっとだけ引用させていただきますね。

ぼくはやはり、ペンは剣に勝つと思うんだ。思っているだけじゃ、だめだ。
剣が訓練している何倍も、ペンもトレーニングしなくちゃ、だめなんだ。


ペンをトレーニングするって、
考えたことあるかい?
ペン豪。
ペン豪です。


広告一切無しの月刊誌を100号まで発行した編集長だそうですよ。
NHKの朝の連続ドラマがモデルにした人。
死の2日前まで編集に携わっていた人。


戦後の銀座をスカート履いて歩いた紳士。
表紙の絵を描き、文章を書き、後進の指導をし、
誌面に乗せる商品テストをし、
賄賂になりそうなものは一切もらわず、
記事についての哲学を持ち、
妥協せず、
Made in JapanをGE以上のクォリティにする原動力になった人。


偏りたくないから広告もとらないし、
昼ごはんの弁当ももらわない。
ビジネスマンというよりもジャーナリスト。
国内産海外産問わず、全ての商品に公平。


誰でも選べる生き方ではないと思うけど、
この妥協のなさは素晴らしい。


私が生まれる数ヶ月前に亡くなったそうです(1978年)。
できることならお会いして、お話を伺いたかった。

どんな本でした?

花森安治さんという、
暮しの手帖の初代編集長が、
どんな人だったのかをまとめた本。


書き手にして科学者にしてジャーナリストにして素人。
素人だから商品チェックは愚直。
実際の使用に近い形で商品を使い倒す。


ベビーカーに10kgくらいのおもりを乗せて10km押す。
ガスコンロのグリルで市場仕入れの鰯をひたすら焼き続ける。
フライパンで野菜炒めを500回作る。
灯油ストーブを冷凍倉庫で使ったり横倒しにしたりする。
そして、ダメなものはダメとはっきり書く。


消費者が商品を選ぶ基準にするのが目的ではなく、
開発者がクォリティを上げるためのきっかけにした本。
昭和のMade in Japanの良さを最大限に引き出したのは
この人と率いる編集部だったのではないかと思う。


製品の作り手のそばでチェックをする人は、
どうしても実際の利用者のようには使えない。
だから、中立な立場で、どの会社からもお金をもらわず運用する。


ふつうささっとつぶれそうなもんだけど、
そうならなかったのはこの編集長の力が大いにあると思う。

こんな人におすすめしたい本でした

・学校新聞や社内報を書いている/書くことになった
・歴史的に遠すぎない偉人の物語を読みたい
・最近雑誌を読んでない
・ペンは剣より強いと思う
・圧倒的天才でしかも努力する人の物語を読みたい
・ととねえちゃん見てたけどこれは読んでない

「文章力の基本」と「新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング 」という文章力本を立て続けに読んだ話。

新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング できるビジネスシリーズ
文章力の基本


文章、書いてますか?
私は仕事に趣味にブログに、ちょいちょい書いています。
手書きはほとんどしないから書くというか打つなのかもしれないけど。


さておき、文章の話。


そもそも文章ってなによ?という人は
文章(ブンショウ)とは - コトバンク
あたりを見てみましょう。

文を連ねて、まとまった思想・感情を表現したもの。

みたいなことが書いてある。


んで、じゃあ文章力のある文章ってなによ、
というと、ナタリー(あの音楽とかのニュースサイトね)の唐木元さんが書いている、

良い文章とは完読される文章である

というのは、ナイス尺度だと思う。


すくなくとも、
ゴールが決まっている、
ということに価値がある。


唐木さんは、「完読される文章、完食されるラーメン」という章で、
ダメな文章は「食べきれないラーメン」とも言っている。
いい表現だと思う。
多すぎても少なすぎても濃すぎても薄すぎても単調すぎても複雑すぎてもダメだし、
日によって味が安定しないのもダメ。
衛生面に問題があったら論外だし、食べる側に対する思いやりが無いのもダメ。


自分的に美味しいのができても、
食べる側に受け入れられなかったらだめなんだよね。
うん。

どんな本だった?

「文章力の基本」の方は、文章を書く上で意識すべきTipsがまとまっている感じ。
・短く言い切る勇気を持つ
・文の前半と後半をかみ合わせる
・読み手に頭を使わせない
みたいなことが項目ごとに分けて書いてある。


「え?そんなのまとまってるの?早く言ってよ!」
という人はできるだけ早く読んでみよう。
一人で悩むよりずーっと速いから。


武器の上手な扱い方、
刀の手入れ、構え方、振り方、
みたいなことが書いてある本です。


「ナタリー流」の方もそういったTipsが書いてあるんだけど、
まず大前提として、どんな目的で刀を振るのか、
というところがまず大前提として書いてあるのと、
「新人もこうやって教えて行くと、一人前になる」
みたいなことが書いてあって、わかりやすいです。


武士道、のような大テーマが最初にあって、
その後武器の扱い、手入れ、構え方、振り方、
という話に進んでいくので、
「ああ、これは最後まで読まれる文章にするために、
 こうしているんだな。」っていうのがわかりやすい。


まあ、どっちの本にも共通してるのは、
読んだだけじゃうまくならないから、
書かなきゃいけないよ。
ってことですね。
当たり前だけど。


そして、人によっては、ただ
「最後まで読まれる文章」ではなくて、
「人に伝わる文章」だったり、
「人に行動させる文章」だったり、
「人から必要とされる文章」だったり、
「人を笑顔にする文章」を書きたいはずなのに、
本来の目的にそぐわない書き方をしてしまう場合があるよね。


私は、なんのために書いている文章なのか、
これからも気をつけたいと思います。
へっちゃらぷいぷいちちんのぷい。


あ、なんの意味もないこと書いちゃった。

こんな人におすすめしたい本でした

・文章書くの苦手、だけど書く必要がある
・文章書くのが好き、だけど自己流だから方向性があってるか知りたい
・最後まで読まれる文章が書きたい
・結果を出せる文章を書きたい
・メールを書いたのに内容が伝わらなかったことがある
・人が書いた文章をチェックすることがあるが
 何が正解なのかよくわからない

「24のキーワード」でまるわかり!最速で身につく世界史を読んで。読書感想文。

「24のキーワード」でまるわかり!  最速で身につく世界史

私、高校生の時に理系クラスを選んだんですが、
国語は好きだったけど、社会は嫌いだった。
理科は好きだったけど、算数は嫌いだった。


元々読書が大好きで、
大人になってから歴史モノの本とか読むとむっちゃくっちゃおもしろいんですよ。
時間と体力さえ許せばいくらでも読めるほどオモシロイ。
まあ実際読めませんよ?読めませんけども。


たぶん
「勉強=暗記をするもの」と思っていたのが
「昔話=ストーリー」だと感じられるようになったのが、
その変化の大きな理由なのかもしれない。


「オビ=ワン・ケノービの死」ではなく、
レイア姫がオビ=ワンに送ったR2-D2というドロイドが見せたホログラムで…」から始まるストーリー。


ナチスドイツとヒットラー」ではなく、
インディ・ジョーンズと失われた聖櫃」から遡るストーリー。


「魏・呉・蜀の三国」ではなく、
「むかしむかし劉備玄徳と言う名の一人の若者が」から始まるストーリー。


だよ。


ここ数年、地球誕生から生命誕生とか、
未来はどうなるみたいな本を好んで読んでいたんです私。


で、その後世界史。
生命の進化の途中で生まれたニンゲンちゃんの
リアルな歴史。
けっこうおもろい。
ホモサピおもろい。


特に面白く感じたのが
4大文明あたりから始まって、
馬に乗れるようになって、
宗教が生まれて、
巨大帝国が広い範囲を支配して、
産業革命だIT革命だ戦争だ、
とかそんな話。


馬。
コンテナ物語を読んだ時にも思ったけど
移動や輸送の発展って、
そのまま世界が変わるタイミングなんだよね。
馬。車。素敵。


砂漠の宗教と肥沃な土地の宗教の対比とか、
食べ物に困らない土地の人達を
食べ物に困った人達が馬に乗って東西南北から追い出す話も面白かった。
なんでこんなにおもしろいんだろうってくらい面白い。

どんな本なの?

この本はTBSのバラエティ番組企画のプロフェッショナルが書いた歴史の紹介。
ちゃちゃっとおいしいところをイイ感じに見せてくれる感じは、
さすがプロだなーと思う。


でも、多くの人数で2時間くらいの番組を作る人だからか、
後半ちょっとブレ感/ダレ感があるような気がしないでもない。


とはいえ、
近代現代ときて未来の話も出てくる歴史の本。
なので、世界史知りたいわ~、という人は読んどいて良い。
あと、「歴史は繰り返す」をしっかり繰り返し言うのがニクい。
繰り返すけど同じことにはならないんだよね。


途中ダレ感があるのは
もしかすると歴史そのものにトピックが多すぎるからなのかもしんない。
戦争前後とかね。
世界が近くなって登場人物が増えすぎたんですよ。
ひな壇に200人くらいいる番組とか、
正直覚えられませんからね。

こんな人に読んで欲しい本でした。

・最近好きなテレビ番組はEテレの「ねこねこ日本史」な人
・歴史、好きじゃない人
・歴史、好きじゃないし、そんなもん勉強する必要ないと思う人
・なんで中国ってあんなに支配者が変わったのか気になる人
・なんであんなにデカい戦争があったのか、今は無いのかわからない人
・なんで敬虔に宗教を信じてる人が戦争するのかわからない人
・これからどんな方向に世界が向かうのか知るヒントがほしい人

イカの不思議 -季節の旅人 スルメイカ-を読んで。

イカの不思議 季節の旅人・スルメイカ
イカ好き?
おれ?イカ?好きさ。
新宿とかにあるイカ天国っていう居酒屋あるじゃない?
あれ、だいぶ幸せ。
もちろん人にとっての天国は、イカにとっての地獄だと思うけど。


さて、そんな私のイカ好きがレベル「3」だとすると、
ここにイカ好きレベル「大天使」を差し上げたい方がいらっしゃいます。
この本の著者である、
函館市国際水産・海洋総合研究センターの桜井 泰憲教授です。


以前からいろんなとこに書いてますが、
私、何かを熱烈に愛している人が、
その愛している対象の話を聞くのが大好きです。
これはそんな気持ちが味わえる良書でございました。


先生の研究内容に関しては
桜井 泰憲 | 函館市国際水産・海洋総合研究センター
こちらを参照してください。

で?どんな本なの?

イカ好きが、
イカのことを研究しまくり、
その研究結果を一冊にまとめた本であります。


イカの視力がとてもいいことをはじめ
イカの身体に関することはもちろん、
イカをどのように研究しているかといったことや、
イカに至る進化の過程や、
イカが空を飛ぶ方法と飛距離(若いスルメイカが30mくらい飛ぶそうです)
スルメイカが1年で一生を終えることなどなど。


イカです。
イカづくし。
イカ辞典。


中でもおもしろかったのは、
上にも書いたイカの飛行方法の話と、
1年で死んでしまうこと。


飛ぶのは、
泳いで排水管から排水して水面に飛び出して、
エンペラと足(及び足と足の間の膜)を広げて
30mくらい飛ぶそうです。
ヤバすぎる。
見たくなるよね?



まあ、写真なんで実際何秒くらい対空するのかは
知らないけど、すごい。すごすぎる。


あとね、
1年で死んじゃうんだって。
スルメイカ


大昔は貝類と同じ先祖から進化したのに、
方や何年も何年も砂の中でじっとして過ごしている貝と、
方やすさまじいスピードで移動できるのに1年で死んでしまうイカ。
もうね、人生を考えずにはいられないじゃないですか。


ほんと言えばすごいスピードかつ長生きしたいとこだけど、
どうやら生き物ってそうはできてないんだよね。
ほら、なんとか言うサメがすーごい長く生きるけど、
超ゆっくりしか動けない話もあるし。


でもさ、そうはいいつつ、
何年か前にニュースになったダイオウイカは
どう見ても1年で死ぬ感じじゃなかったもんね。
それも進化なんだろうね。
生き物ってほんと不思議。

こんな人に読んで欲しい本でした。

・生物を学んでいるが、この本は読んでない人
・子供のころの好奇心を失ってしまった大人
・好奇心あふれるこども(漢字が読めるようになったらね)
・イカ好きな人
イカ天国好きな人
・スルメ好きな人
・肴は炙ったイカでいい人
・しみじみ飲めばしみじみと
・ふだん読まない本を読んでみたい

ということで、
2018年の私事のこととか仕事のこととか - うさみ日記
にも書いたんですが、今年最初に読んだのはこの本でした。
おすすめしてくれた人には、なんでおすすめしてくれたのかわかんないけど、
感謝しております。

今年もうさみに読ませたい本、
募集してます。
皆さんよろしくお願いします!

いま世界の哲学者が考えていることを読んで。読書感想文。

いま世界の哲学者が考えていること
私は哲学について全く詳しくない。
哲学者の名前もたいして知らないし、
若い頃文学青年で重い哲学書を開いて自問したこともない。
頭イイ人が人生とか存在とかについてずーっと考えてる学問なことは知ってる。
ほら、工学部電子工学科ですからね。


正直、物理学より理解したいという願望がない。
でもこの本に興味を持ったのは、
哲学者の本じゃなくて
考えていることの本だから。


なにかに対して熱烈な愛や執着を持ってる人というのは
漏れなくおもしろい。
と前から思っている。


プロレス観戦もおもしろそうだけど、
プロレスファンが練りに練った
(というか自然と練れちゃった)
プロレスの話を聞くのは楽しい。


同じように、何を見ても何かを考えたり
何を見ても何かを思い出している哲学者さんの話も
おもしろかんべー、と思って、
この本を読んでみた。


初手から哲学的思想を学ぶ気も哲学者の名前を覚える気もなく読むと、
この本は「未来本」の仲間になる。
IT、資本主義、バイオテクノロジー、格差、テロ、宗教などなど、
いろんなテーマについて
「◯◯センパイいるじゃないっすか?
 こんなこと言ってたんすよ」
と教えてくれるのだ。


もちろんこっちは◯◯センパイのことなんて知らんけども。

どんな本なの?

第一章は、ここんとこの哲学と哲学者の紹介です。
第二章以降はいろんなテーマを取り上げる。
上にも書いたけど、ITから宗教まで。


例えばさ、
「You、不老不死になったらどうすんの?」
「クローン人間て全部おんなじになんの?ヤバくね!?」
みたいな、ね。


「悟空とスーパーマンどっちが強ぇ?」
みたいな話をですよ、いい大人が、
しかもむっちゃくちゃ勉強している大人が考えるわけですよ。
そりゃ楽しいよね。


一神教は神が心のなかにいて、
 多神教は外にいる」
みたいな話とか。
居酒屋でエイヒレかじりながら話したいテーマだよね。


「え?ちょ待って?
 地球環境守るなら人間根絶やしにしたほうがよくね!?」
みたいなスゴイこと言い出すセンパイもいたりして。
そりゃあもうてんやわんやのしっちゃかめっちゃか。
ナレーションは広川太一郎さんみたいな状態に。


あ、でもほんとはそんなに軽くなくて、
しっかりずっしり重い文体の本なので、
おもんないっつって怒んないでね。


つまるところ、
哲学に詳しい人にはたぶん物足りない内容だし、
各項目それぞれのプロフェッショナルからすると
「まあそりゃそうだけど、そこ取り上げる?」
みたいな内容なのかもしれんけど、
「さわり」の部分を味わうにはいい本なんじゃないかと思います。

こんな人に読んで欲しい本でした

・哲学、学びたい
・世の中どんなことになってんのか知りたい
・不老不死になれるなら死んでもいい
天津飯みたいに腕が四本あったら便利かも、と思
・よその国の人から宗教のこと聞かれて「えっ…」ってなったことがある
・自分のクローン欲しい
・クローン兵団を作って宇宙を征服するつもりだ
池上彰さんの番組とか、けっこう好きだ
環境保護ってなんでするんだっけ?と思うことがある