うさみ本棚

うさみの本棚です。おすすめされた本を読みますので、おすすめ教えてください!

マーク・ベニオフの「クラウド誕生-セールスフォース・ドットコム物語-」を読んで

クラウド誕生 セールスフォース・ドットコム物語―
Salesforce.comの営業の人と最初に会った頃のことは、
今でもよく覚えている。


「~みたいなことはできます?」
「できますね」
「じゃあ◯◯は?」
「カスタマイズでできますね」
「では△△△みたいなことも?」
「そうですすね。設定してもらえればできますよ」
みたいな会話をずーっとした。


実際使い始めてみると、
そのできることの幅広さや
汎用性の高さ、
そして、巨大システムなのにエラーが出ないことに感動した。


今までエクセルでやっていた業務や、
クラッチで作ったシステムがどんどん古いものになっていく。


そしていろいろなところで、
そのよくできた仕組みの裏側にある
「思想」に触れて、
もっと知りたいなー、と思ったその時、
この本を読んだわけです。

どんな本なの?

セールスフォース・ドットコムの創業者が、
自分のやってきたことを振り返って、
111のアドバイスに落とし込んだ本。


範囲は多岐に渡っていて、
起業、セールス、マーケティング、財務、リーダシップなどなど。
読んでピンと来ない部分は読み飛ばしてもいいかもしれないけど、
いろいろなことが具体的に書いてある。


コミュニティの話とかもおもしろい。
まさかこんな本でMCハマーの名前が出てくるとは思わなかった。
でも、
「熱烈なファンがファンクラブを形成して、
 お金を払ってくれつつ、より大きな利益が生み出す仕組みを作ってくれる」
みたいなことはほんとファンクラブだよなー。と思う。


私もファンです。

こんな人に読んでほしい本でした

Salesforceを使っている
Salesforceに興味がある
Salesforceというか、クラウド全般に興味がある
・急成長した会社が何をしていたか知りたい


私は学生の時にWindows95でテレホタイムという名のインターネットの洗礼を受けて、
WebサーバやPerlPostgreSQLを学んで、
2000年に社会人になってすぐ汎用機やらCobol
その後MicrosoftASPJAVAPHPなんかに触って、
という人なので、時代の流れとともにWEB2.0だー、とか、クラウドの波が来たりー、
というのを楽しく見てきているので、
汎用機→クラサバ→web→クラウド
みたいな話がそもそも好きなんですどうやら。
インターネット好き。


今まで読んでなかったんですが、
人からおすすめいただけたのでやっと読みました。
もっとはやく読んでおけばよかった。

ダグラス・アダムスの「さようなら、いままで魚をありがとう」(銀河ヒッチハイクガイド3部作の4作目)を読んで。読書感想文。

さようなら、いままで魚をありがとう (河出文庫)
いつもふざけたことしか言わない愉快な友達が、
ある日突然ちょっと荒唐無稽さが弱めの話をしだして、
何事?と思ったら恋に落ちたがためにちょっとまともな人の感情を理解しようとしていた。
みたいな本。


実際、これを書いていた当時の作者ダグラス・アダムス
恋をしていたそうですよ。
文章からもそのウキウキ感が伝わってくるかのよう。
地球上にいるのに重力から解き放たれちゃってる。


さておき。
前作で宇宙を破壊するほどの大戦争に巻き込まれた男、
ぶっ壊れたはずの地球に戻ってきた主人公。
平和な暮らしやバーでのバカ騒ぎが戻ってきた、かと思いきや。
急展開で恋に落ちます。


しかもその恋の相手には秘密があって、
ふつうの人とはちょっと違う。
でも、主人公のほうがもっと変。
彼女が紙一重で変なら、主人公はずば抜けて変。


彼女がとっておきの秘密を打ち明けたら、
そんなことならもっと…
と、それを上回る自分の秘密の一つを明かす主人公。
あほくさくて、でも楽しい。


恋とはあほくさくて楽しいものなのですね。

どんな本なの?

銀河ヒッチハイクガイドの続編です。
4作目。
3作目までのヒットにより生まれてしまった
3部作の4作目。


主人公は交通事故のような恋に落ちたり、
飛行機事故のように愛を育んだりします。
個人的にはジャック・ブラックあたりに演じてほしい感じ。


全ての謎を突き止めた存在の痕跡を探したり、
宇宙の果ての時間まで行って全てが崩れ去る直前を眺めたり、
全ての生命体を抹殺するべくして生まれた機械と対峙したり、
いままでの3作では忙しく過ごしてきた主人公達ですが、
今作はおとなしく、ちょっと銀河の片隅に行くくらい。


消えたはずの地球がなぜかそこにあって、
でもイルカ達だけがいなくなっていて、
なぜかテレビの横にはそこにないはずのプレゼントと、
誰かからのメッセージ。
さようなら、いままで魚をありがとう


そして表紙にはいつもの
「DON'T PANIC」の文字。
DON'T PANIC といえば、
この前のFalcon heavyの打ち上げを思い出しますね。


こんな人に読んで欲しい本でした。

・ここまでの3部作を楽しく読んだ
・変なストーリーものが読みたい
・固くないSF好きの人
・ちょっと変わったラブストーリーが読みたい人
・あのロケットの先っぽの車に書いてあった「DON'T PANIC!」ってなに?と思った人
・「ダグラス・アダムスの法則」という名言めいたやつからダグラス・アダムスという人を知り
 どんな本を書いたのか気になる人

トム・スタンデージさんの世界を変えた6つの飲み物 - ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラが語るもうひとつの歴史を読んで。読書感想文。

世界を変えた6つの飲み物 - ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラが語るもうひとつの歴史
いやはや良い読書だった。


ビールは大麦から、
ワインはぶどうから、
蒸留酒醸造酒から、
コーヒーはコーヒー豆から、
紅茶は茶の葉から、
コカコーラはコカとコーラから。


この6つが世界を変えた、というか、
この6つのどれかがなかったら、
世界がまったく違うものになってたよね。
という本。
それぞれが、時代毎に世界を象徴してるんだよ、と。


人がいまっぽくなったのは農耕をし始めて、
麦とか米とかを1万年前くらいに作り始めたところから。


「食べる分のあまり」
が生まれて、狩りもせず畑も耕さない人たち(神官、商人、書記、工芸家などなど)を
養うことができるようになった。


そして、大麦のうっすい粥をほったらかしてたら、
ビールができちゃった。
ぶどうをほったらかしてたら、
ワインができちゃった。
濃いの作ろうとしたら醸造酒ができた。


時に楽しい飲み物であり、
時に権力の象徴になり、
時にお金の代わりになり、
時に水を消毒し、
時に禁止されてるのに闇で売買される、
という役割を担ったビールにワインに醸造酒。


思想の深化とともに、
お酒の酩酊ではなく、
頭をはっきりさせるコーヒーが重宝されて、
今で言う喫茶店が文化の生まれる場所になった。とか。


イギリスで紅茶の大ブームというか
「紅茶なくして日々が成り立たない」ような状況が起きて、
紅茶が中国でしか採れない(と思われていて)
貿易が偏り過ぎてアヘン戦争に突入していった。とか。


アメリカでニセ薬品業者が作ったシロップが
いつの日か最強の清涼飲料水になったとか。


そんな歴史が書いてある本です。

どんな本なの?

6つの飲み物を通して、
時代背景とともに、
それぞれが関わったできごとに触れていく本です。


飲み物の歴史ではなくて、
人間の歴史なんだよね。


ウイスキーおいしいけど、
おいしすぎるから禁酒法できちゃったりとか、
おもしろいなー、と思う。
禁止したら密造が横行するとか。


あと、なんで船乗りはいつもラム酒飲んでんの?とか、
漂流者の小説で水にブランデー入れるのはなんで?
みたいなことがするするわかり始めて楽しい。
あ、でもイスラム圏でお酒が禁止なのはいまだに不思議。
むかしビール飲んでた土地じゃんか、って。


技術的なイノベーションも楽しいけど、
飲み物のイノベーションも楽しいよ。
あと、「飲み物を冷やせる」とか「強炭酸飲料がいつでも飲める」
みたいな時代に生まれてよかったなー、と思うよ。
ぬっるいビールよりはね、ちめたいの飲みたいっすよね。


んー、紅茶だけでなくシルクロードのあっちとこっちみたいな話で、
抹茶煎茶あたりの話ももうちょいあってもよかったかなー。

こんな人に読んで欲しい本でした

・ビール大好き
・ワイン大好き
ウォッカ大好き
・ジン大好き
ウイスキー大好き
・コーヒーを飲まないと何もできない
・紅茶を飲まないと一日がはじまらない
コカ・コーラが飲めなくなったら科学の力で作りたい
・水。水が好き

機関車・電車の歴史を読んで。読書感想文。

機関車・電車の歴史 (福音館の単行本)
あ、先に言っとくけど、鉄ちゃんなわけじゃないんです。


私の父は18歳で工業高校を卒業してすぐに街の車検屋さんで働き始めて、
55くらいで一度会社がなくなるも同業種の別会社に転職して働いて、
気づけば今年で65歳。


過去の趣味を覚えてる範囲で思い出すと
車、カート、バイク、自転車、ラジコン、自作パソコン、ネトゲUOとか)
という、だいぶ速さと強さ大好き、みたいな人です。
一時期はタイヤとハンドルと内燃機関が好きなのかと思ってたけど、
速さと強さの人だったのだきっと。


人としてどうかと思う部分もありつつ、
「好きを仕事にする」みたいな点については、
かなり時代を先取ってたんじゃないかしら。
仕事、楽しそうだったし。


さておき、そんな父の孫こと、
うちの長男7歳と次男3歳と私が図書館に行ったんですよ。
そしたら次男がこの「機関車・電車の歴史」という、
デカくて重い本を「これ借りてー」と、持ってきたんです。


んー、ちょっと重くない?
と思ったのもつかの間、
ちょっとページをめくったら、なんですかこれは素晴らしい。
借りるっていうか買ってもいいレベル。


なにより素晴らしいのが
「機関車・電車の歴史」といいつつ、
産業革命』をがっつりめにおさえてることです
(その前にちょっと動輪の数の話とかトロッコの話とか出てくるけど)。


産業革命、すなわち蒸気機関の誕生。
ちょっと引用すると、

1712年にイギリスのトーマス・ニューコメンは熱湯がふきあげる蒸気の力をピストン(往復)運動に変えて、地下水をくみだす蒸気機関をつくって、各地の炭鉱にすえつけた。
1769年にはジェームス・ワットが、もっと効率のよい蒸気機関を発明し特許をとり、1783年にはこのピストン運動を、くるくるまわる回転運動に帰ることに成功し、動力として産業用、鉄道用につかわれた。
そして、この頃イギリスではじまった産業革命の力となった。

イギリスで家内工業だった紡績業が、1760年台に紡績機械の発明で工場生産へと変わった。
これがきっかけではじまった産業技術の革命的な発展は、人々の社会生活を根本的に変えた。
この産業革命は世界中へとひろまっていった。

こんな感じ。


歴史の授業で聞いても、はあ?なんすか?
と思っていた産業革命がありありと感じられるじゃないですか。
馬や人が押したり引いたりしていたのをさ、
蒸気で走らせるって、正気の沙汰じゃないじゃないですか。
ばくはつするかもしれないじゃん。

どんな本ですか?

ぐちゃぐちゃと書きましたが、
まとめると
・機関車と電車の歴史を
・イラストと簡潔な文章で
辿った本です。


この本のいいところは、イラストがきれいなところ。
年々進化していく蒸気機関車にむっちゃくちゃリアリティがあるんですよ。
どっかの万博会場を人を乗せて走ったミニSLみたいなやつとか、
当時の人の服装までちゃんと描いてある。
非常に説得力があります。


あと、機関の進歩をしっかり描いているところが高感度高し。
初期の機関車とその後の機関車では、
高出力を得るために水が通るパイプの本数なんかにも
こだわりまくっていたらしい。
ちょっとでも速く熱くするためだよね。


んで、徐々に蒸気機関車の限界と電車の時代への移行が出てくるんだけど、
すごいのは蒸気機関車で時速180kmとか出してたらしい。
でも、エネルギー効率的によろしくないし環境にも悪そうだから、
その後電車に移行していったそうな。


電車の歴史も新幹線とか好きな人は
楽しいんじゃないんでしょうか。
高効率化。
efficient and effective 効率的で効果的。

こんな人に読んで欲しい本でした

蒸気機関が好き
蒸気機関車が好き
電気機関車が好き
ディーゼル機関車が好き
スチームパンクに憧れる
・デカイ箱に人がいっぱい乗っててしかもそれが動くと「おおっ」って思う
・なんで熱が回転に変わるのか興味がある
チャギントン機関車トーマスが好き
チャギントン機関車トーマスが好きなこどもがいる
チャギントン機関車トーマスが好きな孫がいる
・250年前にも生きていたので、懐かしみたい


最近「エンジニア」って聞くと
ITエンジニアのことかと思っちゃいますが、
煙と火ィ吐いてる方のエンジニアさん達に対する憧れみたいなものもあります。
タンカーのボイラーメンテしてる人とかいるんだろうな。すげえ。


なんというか、博物館に行ったみたいな気持ちになる本。
うちの次男3歳のお墨付きです。ぜひ。

重松清さんの「ステップ」を読んで。読書感想文。

ステップ (中公文庫)

泣ける系の本って、
終盤でドーン!と泣かせてくるのが多いじゃないですか。
そんな中、この本は序盤15ページくらいから、
終わる5ページ前くらいまでずーっとスキを見ては泣かせてきます。


「それはアレルギー等による涙腺の異常では?」
という方もいらっしゃるかと思いますが、
どうかこれ読んでから言ってください。


父親としての成長はもちろん、
両家の両親とのつながり、
義両親の老い
一人娘の成長と親離れといった、
いろんなテーマが寄り集まって一冊の「家族の物語」になってる。


登場人物みんなの中に生き続ける故人への思いが、
なにも言わないはずなのに写真から聞こえてくる声が…。


泣ける。

どんな本ですか?

一人娘が一歳半の時に、
妻が亡くなった男性のお話。


その後実家に預けるでもなく、
一人娘の保育園の送り迎えをする頃から、
小学校を卒業するくらいまでのお話。


奥さんのご両親すなわち義理の父母がまたすげーいい人達で。
実際に同じシチュエーションの人はこんなに平和な日々を送ってるのかしらー
そうでもないよなー、と思ったり、
同じような境遇の友達のことを思い出したり、と、
いろんな感情が生まれる読書でしたよ。

こんな人に読んで欲しい本でした。

・全力感情移入して泣きたい
・誰かの親である
・誰かの子である
・誰か親しい人が若くして亡くなった
老いって逃げられない問題だよなー、とか思う
・泣ける映画を作りたくて原作を探している
・離れてる家族と会う回数が減ってきている
・家族はいないけど、家族ってどんな気持ちか知りたい


友達から勧めてもらった本。
ありがたく読ませていただきました。
おもしろかった!

鳥類学者無謀にも恐竜を語るを読んで。読書感想文。

鳥類学者 無謀にも恐竜を語る (生物ミステリー)

鳥類は恐竜の子孫である。
というのは、今や定説なんですね。
そして、メキシコあたりに落ちた巨大隕石の衝突と、
その後の寒冷化(舞い上がった砂塵で太陽の光が遮られて寒くなった)やなんかの影響で、
恐竜は絶滅した。


だけども、
一部の恐竜はその後も鳥として生きている。
みたいなことをガッツリ書いてくれている本です。
この本、「無謀にも」といいつつ、
内容はそんなに無謀でもない。


この「無謀」は実は、
「この本は真面目な本じゃないんですよ、
 無謀な本なんです。まともじゃないんですよ。
 おもしろいから読んでみてくださいよ。」
という補足のための「無謀」です。


「学者が語る」とか言うと、なんだかとてもヘビーな本に見えちゃうでしょ?
でも、この本の著者は非常にユーモアのセンスがある。
あと、文章によるリズムの作り方がうまい。
だから読みやすいんですよ。

世の中には2種類の人間がいる。恐竜学者と鳥類学者だ。

現生の空飛ぶ脊椎動物としては、ムササビやコウモリ、トビトカゲ、トビウオなどが頭に浮かぶ。トム・クルーズアンジェリーナ・ジョリーもときどき空を飛んでいるようだが、それは気にしない。

ほらおもしろい。
「実は韻を意識してます。」と言われたら信じてしまいそう。

どんな本ですか?

ユーモアあふれる鳥類学者がおもしろおかしくおおよそまじめに、
恐竜について、鳥類について、また、未来の鳥類について書いた本です。


恐竜や鳥類に関する全般的な知識や、
恐竜と鳥類の股関節とか、
恐竜の歯と鳥類のくちばしとか、
恐竜の化石からわかることとか、
羽毛が生えていた恐竜の話とか、
4足歩行していた翼竜の話とか、
恐竜のゲップとかとメタンガスとか。


色々な話で
「生き物の不思議、進化の不思議」
みたいなことを教えてくれる本。
生命の神秘について、
近所のスーパーに行くくらいの気軽さで教えてくれる本です。

こんな人に読んで欲しい本でした

・恐竜が好きで好きでしょうがない人
・鳥類が好きで好きでしょうがない人
・将来恐竜学者か鳥類学者になりたい人
・火星人か金星人が攻めてきたら世の中どうなるか知りたい人
・恐竜くんのファンな人(この本とは直接関係ないけど)
・好きな恐竜について語りあえるようになりたい人
・こどもが恐竜好きなので、なにかネタを仕入れたい人


元々ある人から
「鳥類学者だからって鳥が好きだと思うなよ」
という本をおすすめされていたのだけど、
その本を読むより先に同じ著者の
「鳥類学者無謀にも恐竜を語る」という本を別な方からおすすめいただいて読んじゃいました。


ちなみに恐竜まわりの本だと、
恐竜くんの「知識ゼロからの恐竜入門」も読みたいなーと思っています。
恐竜くんおもしろいんすよ。
博物館イベントとかで実物見たいな。
知識ゼロからの恐竜入門

花森安治の仕事を読んで。読書感想文。

花森安治の仕事
またまたイイ本を読んでしまった。
「なんで誰も教えてくれへんかったんや!」という本。
みんなにもおすすめしたい本。


ついこの前、立て続けに文章力に関する本を2冊読んで、
その後にこの本を読んだことに運命を感じる。
前のは文章の書き方の本だったけど、
こっちは書き手の本。


ちょっとだけ引用させていただきますね。

ぼくはやはり、ペンは剣に勝つと思うんだ。思っているだけじゃ、だめだ。
剣が訓練している何倍も、ペンもトレーニングしなくちゃ、だめなんだ。


ペンをトレーニングするって、
考えたことあるかい?
ペン豪。
ペン豪です。


広告一切無しの月刊誌を100号まで発行した編集長だそうですよ。
NHKの朝の連続ドラマがモデルにした人。
死の2日前まで編集に携わっていた人。


戦後の銀座をスカート履いて歩いた紳士。
表紙の絵を描き、文章を書き、後進の指導をし、
誌面に乗せる商品テストをし、
賄賂になりそうなものは一切もらわず、
記事についての哲学を持ち、
妥協せず、
Made in JapanをGE以上のクォリティにする原動力になった人。


偏りたくないから広告もとらないし、
昼ごはんの弁当ももらわない。
ビジネスマンというよりもジャーナリスト。
国内産海外産問わず、全ての商品に公平。


誰でも選べる生き方ではないと思うけど、
この妥協のなさは素晴らしい。


私が生まれる数ヶ月前に亡くなったそうです(1978年)。
できることならお会いして、お話を伺いたかった。

どんな本でした?

花森安治さんという、
暮しの手帖の初代編集長が、
どんな人だったのかをまとめた本。


書き手にして科学者にしてジャーナリストにして素人。
素人だから商品チェックは愚直。
実際の使用に近い形で商品を使い倒す。


ベビーカーに10kgくらいのおもりを乗せて10km押す。
ガスコンロのグリルで市場仕入れの鰯をひたすら焼き続ける。
フライパンで野菜炒めを500回作る。
灯油ストーブを冷凍倉庫で使ったり横倒しにしたりする。
そして、ダメなものはダメとはっきり書く。


消費者が商品を選ぶ基準にするのが目的ではなく、
開発者がクォリティを上げるためのきっかけにした本。
昭和のMade in Japanの良さを最大限に引き出したのは
この人と率いる編集部だったのではないかと思う。


製品の作り手のそばでチェックをする人は、
どうしても実際の利用者のようには使えない。
だから、中立な立場で、どの会社からもお金をもらわず運用する。


ふつうささっとつぶれそうなもんだけど、
そうならなかったのはこの編集長の力が大いにあると思う。

こんな人におすすめしたい本でした

・学校新聞や社内報を書いている/書くことになった
・歴史的に遠すぎない偉人の物語を読みたい
・最近雑誌を読んでない
・ペンは剣より強いと思う
・圧倒的天才でしかも努力する人の物語を読みたい
・ととねえちゃん見てたけどこれは読んでない