うさみ本棚

うさみの本棚です。おすすめされた本を読みますので、おすすめ教えてください!

江國香織さんと森雪之丞さんの「扉のかたちをした闇」を読んで。読書感想文。

扉のかたちをした闇
言葉のプロ二人が「詩」というルールの元に行う天下一武道会勝戦みたいな一冊。
いや、そんな殺伐としたものではなくて、
やわらかい文章と慈愛に満ちた詩集なんですけども。


どのあたりが天下一かというと、
言葉選びのセンスやその出てくる順番です。
高度な技の応酬すぎる。


鳥山明先生がヘタッピまんが道場で、
「まんがだったらなんでもできる。
 岩も割れるし空だって飛べる」
的なことをおっしゃってたんですが、
文章を矛盾したまま届けられる、
という点では、詩の自由度もかなりなものです。


森雪之丞さんなんて公式サイトのタイトルからして、
瞳を閉じて青空を見ろ。ですからね。詩人恐るべし。
そんな詩人が時に矛盾するような言葉のセレクトをしたり、
様々な技を駆使してセンスハンパねー詩をガンガン繰り出すんですよ。


そうするとそれを受けて江國香織さんが、
さすがの小説家っぷりを発揮して、
「人の業」「女の性」みたいな大技で封じ込めたりする。


雲の切れ間から届くような詩と、
目の前の女性から届く言葉のような詩。
どちらも素晴らしい。

こんな人に読んでほしい本でした。

・作詞家森雪之丞ファンで、まだこの本を読んでいない
・小説家江國香織ファンで、まだこの本を読んでいない
・小説とかドキュメンタリーとか読み疲れた
・味気ない本ばっかりだと栄養がかたよるなー、と思っている

白と黒のとびらを読んで。読書感想文。

白と黒のとびら: オートマトンと形式言語をめぐる冒険
や、これはおもしろい、けど万人におすすめしない。
オートマトン形式言語といった情報処理の基本になってるようなことを、
ストーリー仕立てでまとめてみた、みたいな、ユニークな本。


計算機の構造を「妖精や小人の遺跡とそのロジック」に落とし込んで、
魔術師の弟子がそのロジックを理解していく、
という展開をする。


魔術師の弟子は未熟だけれど、
ピンチに陥ったり徐々に成長したりしながら、
物語を先へ先へと進めていく。
と、ロジックに対する理解もだんだんできていく。

こんな本でした。

○と●の2種類の扉がある遺跡。
その遺跡から抜け出すにはその遺跡の法則を見抜いて、
順番に扉を開かないと出られない。
間違えた扉を開くと元に戻ってこれないこともあるし、
命を失うこともある。


そんな遺跡でも、
図に書いて理解すると
法則に基づいていることが見えてくる。
その法則を使ってひとつひとつの遺跡をクリアしていく。


遺跡をクリアする理由はそれぞれで、
師匠からの指示や、
人助けのため。
一つずつ遺跡を理解してクリアするごとに、
主人公が成長していく。

こんな人に読んでほしい本でした。

オートマトンの勉強してる
・これからオートマトンの勉強する
・「器械による計算」の基礎みたいなものが知りたい
・なにか自分の知らない分野のことを読みたい

ラプラスの魔女を読んで。読書感想文。

ラプラスの魔女 (角川文庫)

一気に読んじゃう系の本。
空想科学ミステリーって感じ。
ネタバレになるので細かいことは書かんけども。


登場人物の魅力というよりも、
心情とか、「誰が何に執着するか」とか「業」みたいなものが
流れ続ける低音のようにテーマになってるんだよね。
これはこの著者さんの特徴なんだろうか。


「業」を検索するとこんな説明が出てくる

広くは、人として生まれついて、不合理であるとわかっても行ってしまう行為を指します。
自業自得(じごうじとく)、罪業(ざいごう)、など仏教の外でも使われます。
また、腹が立つこと、怒りの心を意味することもあります。
業腹(ごうはら)、業(ごう)を煮やすなどです。

出展:業の意味とは?業とは何か、解説いたします|終活ねっとのお坊さん


誰だってそうだけど、利益で動くだけじゃなく、
不合理なのにやめられないことってあるもんね。
トリックとか科学云々とかみたいなものはただの味付けで、
人の業が描かれてる。

どんな本でした?

お金、知識、復讐心、好奇心、研究対象に対する執着。
いろいろなものに操られた人々が織りなす物語。
執着の対象を叶えた時って、
最後に残るのは虚しさなんじゃないだろうか。


でも、そんなにドギツイ表現もなく、
なんというかクリーンな物語だと思う。
表現が軽くてスルスルと滑るように読める。

こんな人に読んでほしい本でした

東野圭吾ファン
櫻井翔ファン(映画に出演してるらしいので)
・なにか小説読みたい!
・なにか科学ネタ的なものを使った小説を読みたい!

一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学

一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学
この人の要点をざっくりまとめると、
・上がってる時に買って上がり切る前に売る
・感情で判断しない
という2点に尽きるんだと思う。


でもー、それー、できる人とできない人がいるやつじゃないですか。
実際にご本人も、法人作って仲間に自分とまったくやらせようとしたけど
「結局彼らを雇った人件費分損をした」みたいなことを書いてるくらい難しい模様。


直接教えられてやった人でそれだから、
本を読んでそのままできる人がいたらそりゃすごい。
買って下がれば怖いし、
売って上がれば悔しい。
にんげんだもの

どんな本でした?

株やらなにやらいろいろやって、
300万円を230億円にまで増やした人の本です。


前半で投資哲学っぽい話、
後半でなぜそんな思考をするようになったか、とか、
生い立ちの話や生活の話が書いてあります。

こんな人は読んでもいいかなー、という本でした。

・株とか投資とか興味ある
・株とか投資とか手を出したけどようわからん
・お金の運用に軸がほしい
・230億持ってる人がどんな暮らししてるか気になる


お金の話、もっとみんなオープンにしていいんじゃないかな、と思っている私です。

サッカーでこどもをぐんぐん伸ばす11の魔法

サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法 (edu book)
とてもいい感じの少年サッカーコーチが、
こどもたちにサッカーを教えるってこういうことだと思うんだよね、
こどもたちの将来を考えると。
ということを丁寧に教えてくれる本です。


この著者さん、ものすごくイイ。


これはね、子育てというか人を育てることのヒントに溢れた本ですよ。
自ら考える力や、好奇心を養うことの大事さ、
海外の事例なんかも引き合いに出しながら説明してくれるのがいい。

どんな本でした?

長いこと少年サッカーコーチをやっている人が
到達した結論をみんなにやさしく教えてくれる本です。


目次の一部をご紹介
「肯定する」「上達する」「楽しませる」
「気づかせる」「夢を持たせる」「余裕を持たせる」
「自立させる」「和をつくる」「問いかける」


これ見ただけで「なんか良さげだなー」と思うような人と、
私は友達になりたい。
(しかもこれで育てたチームが超強かったりするんだから、
 人間っておもしろっ!って思いますよね)

こんな人に読んでほしい本でした

・少年サッカーにこどもを通わせてる親
・こどもをスポーツの習い事に通わせてる親
・子育ての軸がほしい親
・人を育てるってむっずいなー、と思ってる人

TED TALKSを読んで

TED TALKS スーパープレゼンを学ぶTED公式ガイド
「TED TALKS」というタイトルですが、
「TEDに学ぶ、本当に伝わるプレゼンテーションメソッド」
ってのが本来のタイトルな気がする本です。
本の主題がそこにあるので。


人前で登壇したりする人は一通り読んでもいいかも。
「これが正解」というわけではないけど、
効果的かつ印象に残るものを考えたらこうなったんだろうね。

こんな本でした

TEDで良しとするパブリックスピーキングについて教えてくれる本です。


・1スライドに1メッセージ
・なんなら1スライドに1語
・画像を活かす
・スライドを読み上げるだけではないスピーチ
・話し方、抑揚、躍動感
・締めくくり方
・リハーサル
・メンタル保つ秘訣
・印象的だったTEDトーク
とか、そんなかんじ。

こんな人に読んでほしい本でした

・登壇の極端な例を知りたい
・登壇したことがあって、アンケートに「字が読めない」と言われたことがある
・これから登壇なるものをしようかと思っている
・見る価値のあるTEDトークのリストがほしい

うつヌケを読んで。読書感想文。

うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち

いやはやいい読書だった。
まんがですけども。


一番グッと来たというかガッと来た言葉が
「うつは心の風邪じゃない。うつは心のガンだ!」です。
体が動かなくなる、死に至る病で、誰でもなる可能性がある。
本当におそろしいよね。


風邪みたいに体温測ればわかるもんでもないしね。
自覚してないけどうつの人、
けっこういると思う。

こんな本でした。

いろんなうつの経験者さんや、
今まさにうつの渦中にいる人が、
自分のうつ体験がどんなだったか、
自分はどうやってうつと向き合って回復したか、
というのを告白してくれる本です。


著者自身も元うつだった人で、
編集者さんもうつだった人。
それぞれの経験談が、
かなりバリエーション豊かというか、
それぞれが違う。


こんな人に読んでほしい本でした

・今まさにうつ
・昔うつだった
・なんか最近眠れない
・なんか最近何食べてもおいしくない
・なんか涙が止まらない
・私はうつにならないと思っている
・私は誰よりがんばってる
・私の評価は実力と見合ってないと思う
・日々不安

私のうつヌケの話

ふつうに友達とかに話をしてますが、
私、27歳くらいのときうつってるんですよ。
2005年くらい。数ヶ月くらい。
今ではそんなの影も形もありませんが。


ちなみにひどいときの症状としては
・眠れない→ケーブルテレビ見る→朝起きれない→よる眠れない→…
・何を食べてもおいしくないっていうか味がわからない
・行動する気が何一つ起きない
・暮らしがいいかげんになるので肩こり首こりもひどくなる
・やる気ゲージゼロ
・人から期待されても困るだけでひとつも嬉しく感じない
 →プレッシャーによわよわになる(プレッシャーかけるつもりで言ってるんじゃないのにね)
・なにもしたくないけど暮らさないかんから外にでる
・仕事には行きたいし行かなきゃいけないけど行けないけど行く
 →悪いループに入って余計苦しくなる
・涙腺制御不能
 →職場のトイレから出られない
・弱い自分が情けなくてさらに泣ける
・仕事を休んで人に迷惑をかけ、余計苦しくなる
というような状況。


お医者さんに行って、
「原因になってることがなにかあれば、
 それを取り除いちゃえばいいんです。
 それができない場合は少しむずかしいですね。」
という話を聞きました。


んで、まずやったことは、
会社にその旨伝えておやすみしたこと。
処方してもらった薬を飲んだこと。


最初のうちはとにかく寝て寝て寝て寝て寝まくった。
そして、生活を朝型に調整して、
ちゃんと夜寝て朝起きるようにした。


それから少しずつ回復していって、
まんが喫茶に行ったりバンド練習に行けるようになった。
会社休みつつ同僚とバンド練習してるの、今思うとよく許していただけたと思う。
とても感謝している。


やがて体は回復したし、
薬の量も減って飲まなくても良くなったんだけど、
再発が怖くてその後引っ越し&転職を同時にする。


新しい職場もそこそこ忙しかったけど、
人(職場もそれ以外も)と環境に恵まれて、
その後再発することなく、
引っ越し&転職の3年後くらいに結婚して、
現在にいたる。


って感じ。
自分が弱かったから医者に行って、回復したけど、
あのままがまんしてたらどうなってたんだろう。と思うと、
結構怖い。


もしもこれを読んだ人で、
なにかしらあてはまるかも、と言う人は
ぜひこの本を読んで、病院に行きましょうね。
あなたが仕事休んだくらいでは会社つぶれないし、
会社がつぶれたところで仕事なんていくらでもあるんだからね。