うさみ本棚

うさみの本棚です。おすすめされた本を読みますので、おすすめ教えてください!

「博士の愛した数式」とか「アドラー博士が教える 子どもを伸ばすほめ方 ダメにするほめ方」とか、その辺を読んでいろいろ思った感想文。

「誰かが興味を持ってることはなんでもどこかしら面白い。
面白くないのは面白いポイントが見えてないだけ。」
だと思っている。

おもしろポイントの話

フランス映画とか、よくわからないけど、面白いんだろうなーと思う。
地下アイドルを追っかけてる人には、他のものでは変えがたい何かがあるんだろうなーとか。
極端すぎるデスメタルとか前衛的すぎるジャズとか、
話が一向に進まない純文学とか、
モンハンプレイ時間何百時間とか、
時速300キロ出るバイクとか。
数独とか。
なんかおもしろいんだろうな、と思う。


すぐにおもしろそうだと思うものもあるけど、
パッと見ておもしろポイントがわからないものについては、
「あれは何がおもしろいんだろう。」
っていう気持ちがある。
批判的な感じじゃなくて、純粋に。
んで、興味を持ってちょっと知るとだんだん面白くなったりする。


・趣味になるようなことには、何か必ずおもしろいポイントがある
・学校で勉強するようなことでも、サイコーに楽しくなっちゃってる人がいる
・てことは、なんかしら面白いポイントがあって、自分にはそれが見えてない
ということに、いつだか忘れたけど気づいた日があった。


当たり前じゃん!
と言う人もいそうだけど、
そんなことは考えたことがなかった。
『おもしろくないモノ』なんて一つも無くて、
『おもしろさが発見できない、つまらない人』がいるだけだ、
と思うと、世の中は自分が思っている以上に楽しいことに気づく。


国語算数理科社会。
突き詰めるとどれも楽しくなっちゃうし、
楽しさがまったく無いようなものは、今まで突き詰められていないと思う。
人間だもん。楽しくないとやらない。

アドラー博士が教える 子どもを伸ばすほめ方 ダメにするほめ方の話

もう収まっちゃったようだけど、アドラー心理学本ブームがあった。
金持ち本ブーム、統計学本ブーム、心理学本ブーム、ピケティ本ブーム。


内容としては、タイトルそのままで、「こうやってほめましょう。」という話
・人格じゃなくて行動をほめる
・結果よりプロセスをほめる
・他人と比べない
・できたことを具体的にほめる
などなど。


子どもにかぎらず、大人にも言えそうなことが書いてあった。
大人はたいてい結果を求められるけど、結果だけしか見てもらえないとすねる。
もちろんただお金のためだけに働くなら別だけども。


こんなのを頭抱えてウンウンいいながら考えてる人達がいるなんて、
半分仕事で、半分楽しみでやってるに違いない。
世の中おもしろい。

博士の愛した数式の話

子どものほめ方、と言うと、印象的な本がいくつかある。
たとえば、小川洋子さんの「博士の愛した数式」。
好きです。
この人、ただの日曜朝のラジオパーソナリティではないんだよね。


記憶が80分しかもたない数学博士が、
子どもと対面する姿がとても印象的だった。


その子どもというのが、主人公である家政婦さんの子どもなんだけど
未知の可能性を秘めた「たまご」を扱うみたいに、
大事に大事に慎重に慎重に接する。
すこしの怪我でも二度と取り戻せない大きな事故のように扱う。
ほんとはそこまで弱くないのにね。


そして、この博士がとにかくよく褒める。
自分が出した問題に対する答えが気に入るものだと、
つるっつるの表面をガンガンに磨き上げるみたいに、よく褒める。
褒めるってのは誇りを与えることなんだね。


褒めると言えば、
中学校のときの美術の先生で大谷先生と言う人がいたんだけど、
誰が何を描いて見せても「すごいっすね~」「素晴らしいっすね~」と、
否定せずにほめたおす先生だった。
あれはすごかった。素晴らしかった。


さておき、出てくる要素は少ないのに、すばらしく奥深い小説。
主要登場人物は、家政婦の私、その息子、博士。
キーになるのは数学と阪神タイガース
素晴らしい物語に複雑な設定が必要かっていうと、そんなことないんだなーと改めて思い知らされる。


梨木香歩さんの「西の魔女が死んだ」という大好きな小説があるんだけど、
それとも似たような、老人とこどもとその中間の大人が作る、時に激しく時に優しい物語。


いさぎよいトリオのジャズバンドみたい。
几帳面で正確なドラムスと、おおらかなピアノと、自由なトロンボーンかな。
博士とお母さんとルートね。
この三人がクライマックスでは一つの方向に向けてグイグイ進むわけです。
でも、几帳面なドラムスは決まった小説数が過ぎたら、ピタッと演奏を止めてしまうんです。


ああ、いい本だった。
こんな本を読んで読書感想文を書ける今時の子どもがうらやましい!