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伊藤計劃さんのハーモニーを読んで。虐殺器官の後の世界!

ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

いやいやいやいやいやいや。
米澤穂信さん以来の同じ作家さん連続読みです。
虐殺器官がおもしろかったんだもの。
これももっと早く知りたかったわー。


あ、萌え絵みたいな表紙ですけども、
私が読んだのは旧版の真っ白な表紙のやつです。

どんな内容?

SFです。
虐殺器官で描かれた今から10年後くらいの世の中のさらに50〜60年後くらいの話。
あっちが
「まだ平和な世界が、転落していく様」
のストーリーだとすると、こっちは
「荒廃が遠い過去のものになった世界で、思いもしない混沌が起こる様」
のストーリー。


虐殺器官のレビューで
「悪ってものの形が変わってきてるよねー」
みたいなことをこの前書いたけど、
こっちはさらに進んだ
「善も悪もなく、混沌も秩序も紙一重」みたいな話でした。


ストーリーの振り幅は前作より大きく、
全く違う方向に振れまくり。
前作よりもつっこみどころが多い気もするけど、
そんなこと全く気にしないのが正しい作法でしょう。


なんというか、
「幸せすぎるくらい幸せな人って、その幸せを失う恐れがあるから不幸」
「今がどん底なら這い上がるだけ」
とか
ありあまる富があったら満たされるのか」
みたいな話を考えさせるようなストーリーなんですよ。


完璧な世界で暮らす不完全な人、というテーマだと、
去年読んだ「オリクスとクレイク」にも重なるような感情。
椎名誠さんがバリバリにSF書いてたときみたいな世界観。

こんな人に読んでほしい本でした

虐殺器官を読んだ人
アーサー・C・クラークの「幼年期の終わり」を読んだ人
エヴァンゲリオン見てたわー、な人
ユートピアものとかディストピアものとか好きな人
・ヘンな引用を見つけてニヤッとしたい人


なかなか素晴らしいシリーズでした。
次回作が読めないのが悲しいですね。