- 作者: アラン・C.ケイ,Alan Curtis Kay,鶴岡雄二
- 出版社/メーカー: アスキー
- 発売日: 1992/04
- メディア: 単行本
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「ずっと心に描く未来予想図はほら思ったととおりにふふ〜が〜ふ〜が〜ふふ〜ん」
と歌ったのはドリームズカムトゥルーの吉田美和さんですが、
こっちは思うだけじゃなくて
「実現する未来を言っちゃった」おじさん。
エンジニアでありつつ、エンジニア的な天才肌じゃないタイプで、
アイデアを出す人であり、言葉の選び方がものすごくうまかった人。
アラン・ケイ。
「オブジェクト指向」「持ち運び可能な小型パーソナルコンピュータ(ダイナブック)」「コンピュータ・リテラシー」「Smalltalk」
などなどの言葉を生んだ。
あ、なんか遠回しに書いちゃったけど、
この人が大好きで、この本も大好きだって話です。
どんな本かというと
どんな本かの前にどんな人かの話を書きます。
まだ今と違って巨大な計算機をみんなで共有してたころに、
「子供でも使えてノートくらいの大きさで手軽に持ち運べるパーソナルなコンピュータ。っていうかデジタルメディア」
「文章、画像、音楽みたいなものを個人が見たり作ったり編集したりするメディア」
とか言い出しちゃってた人なんです。
普通だったら
「未来を見てきた男」とか
「未来を言い当てた男」とか言われそうだけど、
そうじゃなくて、
「コンピュータの未来予想図を描いた人」なんだよね。
最も有名な名言は
「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ。」ですよ。
カッコよすぎる。
一研究員が、研究所の経営母体に
「将来何作んねん?なぁ、将来どないなんねん?」って言われ続けて言っちゃった言葉らしい。
それも素晴らしい。
この本はそんなアラン・ケイの三つの論文を日本語に訳したものと
「評伝アラン・ケイ」という文章をまとめた本。
もともと英語版でまとめられた本ではない。
なんでアメリカの誰もこの本を作ろうと思わなかったのか不思議。
てきとーに膨らませて映画化できそうなくらいの話なのに。
「尾田栄一郎の前には鳥山明がいるし、鳥山明のはるか前には手塚治虫がいて…」
「ジョン・フルシアンテの前にはジミヘンがいるし、ジミヘンの前にはマディ・ウォーターズやB.B.キングがいて…」
「ジョン・ラセターの前にはウォルト・ディズニーがいて…」
みたいな感じで考えると、
「スティーブ・ジョブズの前にはアラン・ケイがいて、その前にはIBMが…」
みたいな位置の人だと思うんだよ。
違う点としては、
まんがやロックやアニメーション映画は、
その時々の人が先人の知恵を活かしつつ手探りで進んでるのに、
パーソナルなコンピュータの発展はアラン・ケイがあらかじめ「こうだと思うんだよね〜」って言ってたことかな、と思った。
当時の技術じゃ絶対できないことを言ってるあたり、
ビジョナリストとしてはジョブズ超えしてると思うんですよ。
この本読んでからシリコンバレーの歴史を調べてみたんだけど、
ゴールドラッシュ→スタンフォード大学から続くベンチャー気質→戦争と電磁波研究→シリコンバレー→端末とネットワークの発展→SNSとかの時代
っていう流れがほんとおもしろいのね。
個々人もおもろいけど、流れがおもしろい。
司馬遼太郎先生によみがえっていただいて小説にしてほしい。
こんな人に読んでほしい本でした
・「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ。」って、かっけーから今度パクろう、と思った人
・ジョブズの名言「あなたと僕は未来を作るんです」っていいなー、と思ってた人
・ジョブズファン
・シリコンバレー史のファン
・「あしたっていまさッ!」とか言われるとドキィィッとするゥゥ!
・邱永漢さんの「いまの大会社に行こうと思うな、未来の大会社に行きなさい。」ってすげー言葉だなーって思う
・あれ?ドラッカーの「未来を予測する最良の方法は、未来を創ることだ」とかぶってる?と思った人
・アイパッドって便利だなー、と思う人
いやはや
またまた人におすすめしたい本に出会ってしまいました。
おすすめいただいた方ありがとうございます!