僕には清水君というしばらく会っていない親友がいる。
清水君は騒がしい男で、
歩いてるか走ってるか怒ってるか笑ってるか寝てるか、みたいな、
座右の銘が「風林火山の林と山抜き」なんじゃないかと思うような人。
そんな清水君、実は読書家で、
まんがや雑誌と同じくらい「文字ばっかりの本」を持っていた。
一時期のブームが椎名誠さんの「あやしい探検隊シリーズ」だった。
それから、僕は椎名誠さんの私小説やら旅行記やらエッセイやらSF小説やらを読み倒すことになる。
その後、特に理由もなく突然ぱたりと読まなくなる。
そんな椎名誠さんがいまや祖父になっていて、
孫との関わりを元に私小説を書いていることを友達のブログで知って読んでみた。
とても面白かった。
どんな本?
祖父が孫を溺愛する私小説です。
読んだ人にとっては、椎名さんの私小説の続編。というと伝わると思う。
「愛が強い人から、その愛する対象についての話を聞くのは楽しい」
というのは、前から思ってることなんだけど、
この「孫愛」も読んでいて楽しい。
例えばアイドルが大好きでしょうがない人から、
その愛するアイドルの話を聞くのは楽しい。
仕事大好きな人の「サービスとは」みたいな話。
サッカー大好きな人から聞く好きなサッカー選手の話。
旅行好きな人の「いい旅の基準」の話。
ロック好きな人の「宇宙人にロックを説明するとしたらなにを聞かせるか」の話。
みんな楽しい。
自分の知らない世界があるのを感じる。
世の中にはいろんなものを愛している人がいて、
それぞれの対象に対してはとても雄弁になる。
あらすじとしては、
離れて暮らしていた息子一家が近所に引越してきて、
なんだかんだ孫の世話を見る機会が多くなる。
というお話。
著者の特徴としてサラっと読めて胃にももたれません。
「みんなでごはんを食べるシーン」が印象的。
椎名誠さんのどの本に関しても言えることだけど、
ごはんシーンが好き。