うさみ本棚

うさみの本棚です。おすすめされた本を読みますので、おすすめ教えてください!

ガダラの豚を読んでびびった。読書感想文。

中島らも『ガダラの豚』全3巻セット (集英社文庫)

なんというか「絵柄が好きじゃないけど読み続けちゃうまんが」ってあるじゃないですか。
生理的にダメな感じなんだけど、読み始めるとずぶずぶ読み進んじゃうような。
これはそんな小説で、怖いもの見たさでずずいと読み進んでしまう物語です。

どんな本でした?

人におすすめしたくなる本でした。
相手を選ぶけど。


暴力、宗教、大自然、
アル中、シャブ中、ヘリコプター、
呪術に奇術に超能力、
細菌と毒と寄生虫
全部入ってます。
むしろもっといろいろ入ってます。


主人公がかっこよくないのがまたいい。
50代のお腹が出た肛門みたいな口のおじさん。
しかもアル中。
その妻も情緒不安定
(後半むちゃくちゃ安定するけど)。


しかもこの主人公のおじさんは
「なんでこの人が主人公?」
と思わせるほど期待をしっかり裏切り続ける。
時々いいところを見せるけど、
基本的に他人が働いてばっかりいる。
まあ、だからこそあの終わり方なんだな。


それにしても、
どれほどの資料を調べてこれを書き上げたことでしょう。
アル中についてはもともとお詳しかったのでしょうけど。


作ったプロセスにも興味がある。
この話はどこから作ったんだろう。
設定ありきなんだろうか。


目を背けたくなるような恐ろしい世界って
うっすい壁一枚の向こうにあったりするんだろうなーと思わせる力がある本。
ちゃんと情報が整理されていて、
すーっと読み続けられるエンターテイメント作品。
勢いだけで書いてないのが素晴らしい。

こんな人に読んでほしい本でした

・ふつうのミステリーはちょっと読み飽きた
・派手な銃撃戦とはちがう戦いが見たい
・世の中きれいごとばっかりじゃないよねー、みたいな本が読みたい
・アフリカに行ってみたい
・新興宗教を立ち上げたい


ちなみに、私は中島らもさんの小説は「今夜、すべてのバーで」しか読んだことがなかったので、
これを読んで改めて他も読んでみようと思いました。
おすすめしてくれた清水君に感謝!