うさみ本棚

うさみの本棚です。おすすめされた本を読みますので、おすすめ教えてください!

プロジェクト・ヘイル・メアリーを読んで。読書感想文をネタバレなるべく無しで書く挑戦。

プロジェクト・ヘイル・メアリー 上

実は、これの読書感想文を書く前に、書かないといけない読み切った本がたまっているのですが、先にこの本のことを書きます。
それくらい印象的でした。

 

 

ぜひ皆さんにも、読んでほしい

面白いから!

SF読まない人にも小説読まない人にもぜひ読んでほしい。

 

 

SF小説です。
著者はアンディ・ウィアーさん。


前に「火星の人」という小説を書いて映画化されて、
「オデッセイ」という邦題がついて、
というと「ああ、その映画の人?」と思われる方もいるかもしれません。
火星でジャガイモ育てるやつね。


今度はどこで何を育てるか、というと、ですよ、
これはネタバレになるので内緒です!
言いたいー!
そもそも育てるんかいな!


ちょっと待って。
これ、ネタバレ無しで読書感想文書くの無理じゃない?
読了済みの方と是非お話ししたい!


ええと、私、この小説大好きです。
これのちょっと前に三体という中国のSF小説を読んで、
そっちも超大好きなんですが、
こっちも超大好き。しかも違う方向性の大好き。


三体が超豪華電脳満漢全席中国料理祝宴午餐美味美味!
だとしたら、
プロジェクト・ヘイル・メアリーは "Double cheeseburgers with fries and coke" です。
え?満漢全席の勝利じゃね?と思った人。
違うでしょー、人生の終わりに食べたいのどっちよー。
いや、人生の終わりにそんな脂っこいもん食いたくないわ、
という方はごめんなさい。


あ、ちなみに南極点のピアピア動画、というのも大好きなんですが、
こっちはね、街中華の焼肉定食的おもしろさです。
キャベツの千切りのはじっこにマヨネーズがドーン!
たまねぎと炒めた甘辛ぶたばらとごはんが最&高!的な。
黄色いたくわん!的なね。


**どんな本なの?
ネタバレと言われなさそうな範囲で書くと、
人類滅亡の危機と戦う人たちの話です。
人類ももちろん他の地球上の生き物も滅亡するような状況になってしまって、
それと戦うために主人公が奮闘しまくります。
異世界に転生したり過去に回帰したりはしません。
巨大ロボも出てきません。


主人公が魅力的なんです。


人間臭くて、
ちょっと情けないくらいの性格。
だけど滅亡する人類を救う旅の途中にいる。
不満たらたらで、どうして僕が、と思ってる。


ミステリー小説好きな人にお伝えすると、
パーネル・ホールさんの書いた探偵スタンリー・ヘイスティングスシリーズの主人公
スタンリー・ヘイスティングスみたいな性格です。


スタンリー・ヘイスティングスを知らない人のためにちょっと紹介すると、
・俳優になりたかったけどなれなかった
・その後小説家を目指したけどなれなかった
・やがて私立探偵になったけど、私立探偵というか保険の調査員で、誰かがケガした階段の段差の写真を撮る仕事をしたりしてる
・明らかに手に余る事件になぜか巻き込まれる
・解決に向けて奮闘する
・控え目かつお人よし、ふつうの人
・事件解決は主人公のわりにあまりしなくて、警察がふつうに解決したりする
という探偵小説なんですよ
超面白いのでミステリー好きな方はぜひ!



じゃなくて、
プロジェクト・ヘイル・メアリーの話ね。
主人公がスタンリー・ヘイスティングスみたいな人なんですよ。
才能はあるけど、控え目で、前に出るのが嫌いで、暴力も嫌いで、お人よしで、
問題解決に向けて戦う主人公!
というようりは、「主人公にヒントを与える白衣の科学者役」みたいな人。


なのに世界を滅亡から救う主人公なの!
かわいそうでしょ?
屈強な軍人とか、鋼の意思の宇宙飛行士とか、実は宇宙人と地球人のハーフの超能力者とかがやる役でしょ!
でも地球の命運が彼の双肩にかかっちゃってるんですよ。


地球を救いに行った主人公と、
地球を救いに行く前の主人公の、
スイッチバック方式で物語が進んでいきます。
あー!
これ以上書くとやばーい!
確実にネタバレする。
ので、各自、読んでくださいね。


これはほんとね、
三体に対する欧米文明からのアンサーソングみたいな一冊です。
ぜひ。


**こんな人に読んでほしい本でした。
・SFが好きな人
・かっこよくない主人公が奮闘する話が好きな人
・ディザスタームービー好きな人
・上下巻くらいある重めな本を読みたい人

「ブルシットジョブ クソどうでもいい仕事の理論」を読んで、読書感想文

ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論

 

表面化してないけど確かにある社会問題として
「誰の何の役にも立ってなくて本人もそう認識してる仕事」
っていうのがあるよね、という本でした。
対策としてはベーシックインカムによってブルシットジョブを減らせると思うよこれは政策提言とかじゃないんだけど。
という結論。

 


社会問題だから社会として問題解決、ベーシックインカム
という話はわからなくもないんだけど、個人レベルでできる話もしてよね、という気がせんでもない。
まあ、「ベーシックインカムがあれば仕事と報酬を切り離せる」という理論はわからなくないけども。

 


おそらく今まさにブルシットジョブしている個人個人が
ブルシットジョブから抜け出したとしても、
次の別な誰かがブルシットジョブをし始めてしまうからなんだろうね。
悲しいことに。

 


私は、自動化とコミュニケーションの改善が、
世の中をちょっとずつ幸せにする方法だと思ってるのだけど、
右から左に物を移して、その後左から右に物を移すだけの仕事もたくさんあることを知っている。

 


エクセルから別なエクセルにコピペするだけで日に何時間も使ってる人とかね。
その作業の結果が誰かを救う物なら良いのだけど、あまり世のため人のためにならないならと思うと、
「そもそも自動化する必要あるの?」
という話にもなるし、
もちろんそれに関するコミュニケーションの改善も必要よね、

 


私は以前、
ものすごく仕事に対するやる気が持てない時期があって、
そのとき「この仕事を一生やるのと、一生某有名テーマパークでポップコーンを作るのとどっちがいいか」
みたいな話をしておりました。

 


そのときやる気が持てなかった理由は今思うと
「誰の何の役にも立ってないのでは?」という気持ちもあったのかも。
と思います。
実際は誰かの何かのお役に立ててたかもしれないけどね。

 


**どんな本でした?
ブルシットジョブとは何か、
どんな害があるものか、
なぜ増えるのか、
何をしうるのか、
みたいなことが書いてある本です。

 


ざっと読んでおくと、
自分や周りの人がブルシットジョブ100%状態になってないか気にすることができるようになるかと思います

 


**こんな人におすすめしたい本でした
・経営者
・政治家
・自分の仕事は誰の何の役にも立たないのでは?と思う人
・自分は人にやる気の出ない仕事をさせてないかと思う人

小島英揮さんの「ビジネスも人生もグロースさせるコミュニティマーケティング」を読んで。読書感想文。

ビジネスも人生もグロースさせる コミュニティマーケティング

コミュニティマーケティングの本で何読む?と言われたら、候補に必ず入るのがこの本です。
料理する人に「料理の四面体」を勧めたり、
投資を始める人に「エンデの遺言」を勧めたり、
マーケティングを始める人に「ノヤン先生のマーケティング学」を勧めたり、
マンガを描き始める人に「ヘタッピまんが道場」をお勧めするようにお勧め
したい。


小島さんは日本のAWSのコミュニティ「JAWS-UG」の立ち上げと成長に深く深く貢献した人。
この本にはそんな小島さんがAWSだけでなく、その後に関わったいろいろなコミュニティから得た知見やコツがまとめてある。


あ、ちなみに「貢献した」と書いてるのは、途中からの成長はもう自走してどんどん大きくなっていたと言う認識だから。
ここポイント。コミュニティは「作った人が大きくする」のは途中までで、求心力のあるテーマの元に人が集まって大きくなるものだからね。


そうそう、脇道にそれるけど、
私の家には男の子が二人いて、ふたりともサッカーチームに所属してサッカーをやっている。
で、あるコーチがどこかで話をしていて印象的だったことがある。


ブラジルでサッカーが盛んなのは、
こどものころからみんなサッカーが大好きで、
おとなになってもサッカーが大好きなんだって。
これだけ書くとなんかバカみたいなんだけど、
いくつかの要素が混ざっている話なんです。


まず、サッカーが大好きなこどもが育つ環境がある。
これは立派な運動場や、道具の話じゃなくて、
お兄ちゃん達がみんなサッカー大好きだからそのへんでサッカーをしていて、とにかくサッカーが楽しい、という状況。
その環境で楽しくサッカーしているこどもたちが大人になると、
「サッカー大好きなまま大きくなった大人達」
が大量生産される。


スタジアムは人であふれる。こどものサッカーに寛容な文化が形成される。
一部の優秀なサッカープレイヤーがヒーローになるんだけど、その影にはたくさんの「サッカー好きな大人」がいて、サッカー界を支える。
競技人口が多いから強い選手が生まれる。


楽しいから一生の趣味になっちゃう。


んで元の話にやっと戻りますが、
コミュニティマーケティングの話です。
コミュニティ、すなわちなにかしらの目的や共通点のある人々の集まり。
です。
んで、それを商売にも活かそう、というのがコミュニティマーケティング


そういう意味では上に書いた「ブラジルのサッカー好きな皆さん」というのは、実はサッカーコミュニティなんだなー、と思ったのよ。
巨大すぎてそんな気がしないけども。


例えば同じバーの常連さんの集まりもコミュニティ。
テレビ東京さんの視聴者コミュニティもコミュニティ、
パン好きのコミュニティとか、チョコ好きのコミュニティなんかもある。


私が仕事で関わっているDMS Cubeは
HULFTやDataSpiderといったセゾン情報システムズ製品のコミュニティ。
SalesforceのTrailblazers Communityは Salesforce製品のコミュニティ。
小島さんが立ち上げたJAWSAWSのコミュニティ。


このへんはユーザーコミュニティですよね。
同じ製品を使っている人同士が集まって、
よりよい活用方法をさがしたり、情報交換をしたり。
RPGのギルドっぽいよなー、と思ったりもする。


どうせ人が集まるなら、効率よく(ローコストハイゲインに)運営したい、というのが企業側の本音であって、
そんな思いがあると、再現性のあるメソッドが確立される。
要するに上手な方法が編み出されていく。


ふつうは「お金でもあげないと、御社の商品を売るのの手伝いなんてユーザーさんはしてくれないんじゃないの?」と思うけど、
金銭的でないインセンティブがあれば人は動くんですよ。
そしてそのインセンティブは例えば
「楽しい」とか「その界隈で有名になれる」とかでも十分。というかそっちがお金を上回る場合が往々にしてある。


そりゃそうですよね。
社内では孤独に働いて、月数万円のお小遣いをやりくりする人が、いつもの仕事を外で話したら
「なんですかその話超すごいもっと教えて!」と言われたりするんだもの。
そして、今の世の中は一人の知識を拡散する方法がいくらでもあるんだもの。


世の中全体がコミュニティマーケティングを押し進めているみたいな状況です。


子供のころは学校に行けば勉強を教えてくれるけど、
大人になってからは自分で学ばないといけない。

昔は選択肢として、
大学にでも入りなおすか、
通信講座に申し込むか、
師匠を見つけて弟子になるか、
本を読むか、といったところでした。
あ、ビデオとかDVDとかもあるね。

そこに今、
テクノロジーの進化に伴い手段が増えているんですよ。


YouTubeで動画を見るのもそうだし、
Twitterでも、詳しい人に質問すると答えてくれることもある。
UdemyとかTEDとか個人にお金を払って学ぶ方法だってある。

んで、
コミュニティに所属して、
オフラインでもオンラインでもイベントや
QAができる場所で質問するのも一つ。

この「コミュニティに所属する」というのが、
仕組み上のコミュニティと人間関係のコミュニティで分かれていることを
意識する必要があるなー、と最近思います。


詳しい人に聞く、行動する、自分も詳しくなる、
自分が得た知識を他の人に共有する。
レーダーチャート的6角形でとがった部分を回りの人に共有する。
遠くても時間の制約があっても、
ZoomだDiscordだなんだかんだで共有できる。


「自分より詳しい人に教えてもらう」という点においては、
昔も今も変わらない。
熊さん八っつぁんがご隠居さんに聞くよりもっと前、
洞窟で長老に話を聞いてるくらいから。


この「教えてもらう方法」の
手段が増えまくっているのが素晴らしい。
紙ができて、ネットができて、blogができて、YouTubeができて、Zoomができて。
詳しい人に教えてもらいやすくなった世の中に生きていて、
怖がらずに学ばないともったいない。

で、どんな本なの?

著者の小島さんはAWSの日本1号社員で、
米国AWSもセルフサービスで育ってきている背景があるし、手も足りないから営業よりもコミュニティ育成をして、
互助的にAWSユーザーが育つ仕組みを作った、という人です。
その後はCMC_Meetupというコミュニティを育成するコミュニティを作って活動している。


人にたくさん会って熱量の高い人(いわゆるファーストピン)を見つけたり、
ミートアップを企画して人と人とを繋げていく、
「輪」をどんどん大きく動きが進む。
熱量の高い中心人物たちを中心に、さらに多くの人が集まって育っていく。
製品の利用は促進され、さらに多くのユーザーが以下略。


趣味や興味の集まりと違って、
仕事関係のコミュニティは自然に盛り上がりにくいから
森を育てるように手を入れる必要がある。
その手入れの仕方を教えてくれる本。


この本は、小島さんがコミュニティについて学び、実践したことをまとめた本です。
コミュニティマーケティングを学ぶ入口としてふさわしい本なので、コミュニティマーケティングに関わる人にもそうでない人にもおすすめしたい本。


MAツール(マーケティングオートメーションツール)の話をする時に私がよくする話として
「メールやらなにやらを送る側としての話だけじゃなくて、受け手として自分はこんな世の中に生きていると知らないといけない」という話があるのだけど、
コミュニティ関係の話も今の世の中を生きるなら知っておくべき話だと思う。
効率よく楽しく学べて、仲間も見つかるから。

こんな人に読んでほしい本でした

・学びが欲しい人
・インプットをしたい人
・アウトプットをしたい人
・コミュニティに関わってるけど、全貌見えないなーという人
・なんで大人には学校ないんだろうね、という人
・コミュニティってよく聞くけど、何?という人


小島さんのtwitterアカウントはこちら
https://twitter.com/hide69oz
最近はCMC_meetupという活動でコミュニティ活用を進めております

稲田俊輔さんの「人気飲食チェーンの本当の凄さがわかる本」を読んで。読書感想文。

人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本

稲田俊輔さんは何店舗もあるスパイス料理店の「エリックサウス」を作った人、というのが最初の認識だったのだけど
最近の肩書きは、飲食店プロデューサーになっていることが多い。また、飲食に関する書籍もいろいろ出している。


たぶん、提供する側としても、食べる側にしても、
愛、こだわり、執着、思索の深さ、といったものが尋常じゃなくある人なんだなー、という印象。


エリックサウスがカレーやさんだから、スパイシーな料理が主戦場かと言えばそんなこともなく、
色々な料理が好き、というか、
食べること、食べさせることが好きで、その中で多様性のあるカレーを選んだ。っていう印象がある。


そう言う点では、「ラーメン王」なんて呼び名のある石神秀幸さんとも似ている。
石神さんはたまたまラーメンをメインテーマに活動しているけど、
若かりし頃からいろんなジャンルの飲食店を振り幅広く食べ歩いてたりするんだよね。


で、この本。
人気飲食チェーンの本当の凄さがわかる本です。


これはね。
外食する人なら一回読んでもいい本かもしれない。
サイゼリヤとか、ロイヤルホストとか、そのへんにある飲食チェーン店の楽しみ方を提案してくれる本です。


例えばサイゼリヤのメニューからコース仕立てに楽しむ方法。
熟成ミラノサラミにオリーブオイルかけてミニフィセルでパニーニにして、とか
(これはtwitterでおなじみイタリア人のマッシさんもやってるね)、
青豆の温サラダにトッピングの粉チーズをもりもりかけて、オリーブオイルと黒胡椒をかけて混ぜて、とか、
料理に薄切りペコリーノチーズを乗せて、とか。


おいしそうでしょ?
試してみたいでしょ?
試してみましょうよ。


※※どんな本ですか?
「チェーンだからこその安価にいい食材を提供するレストランで、
 一般的にウケのいい料理から一歩踏み込んで追加の味付けをし、
 再構成してより自分好みの味にしようぜ」
「ここの飲食チェーンは利益を追求しながらも、
 こんなこだわりを持っているから、
 それに最大限応える食べ方をしようぜ」
といった提案をしてくれる本です。


料理人であり、コンサルタントであり、経営者でもあるから生まれる視点なんだろうけど、
コストと味の両面を踏まえた提案になってるんだよね。
根底にあるのは料理人と食べ手のコミュニケーションなんじゃないかしら。
出題と回答、みたいな。


牛丼屋さんで紅しょうが大量に乗っけたり、
たまごに焼き肉のたれ入れたりするのって楽しいじゃないですか。
あれのもっときょくたんな楽しみかた。
試してみるのはいかがでしょうか


※※こんな人に読んでほしい本でした
サイゼリヤが好き
ロイヤルホストが好き
・食べることが好き
・外食は必要だからしてるけど楽しんではいない
・「コスパがいい」という言葉が好き
・こだわりとか言われるとめんどくさそうだけど、おいしいものは好き
・個人経営のレストランとチェーンのレストランを比べたら、ぜったいに個人経営のほうがいいと思う

佐藤尚之さんの「ファンベース ー 支持され、愛され、長く売れ続けるために」を読んで。読書感想文。

ファンベース ──支持され、愛され、長く売れ続けるために (ちくま新書)

私、ここ数ヶ月で何冊かコミュニティマーケティングやらなにやらの本を読んだんですよ。
きっかけは今の会社に転職してからDMS Cubeという HULFTとDataSpiderのユーザーコミュニティの運営に関わるようになったことなのだけど、
それはまた別のお話。


仕事でもあるし、データ連携・自動化界隈と、コミュニティマーケティング界隈には最近深く興味があって、
本読んでるの楽しい。


んで、以下わたくしごとですが、
コミュニティマーケティングというか、そもそもコミュニティとか、
「なにかのファンになること」とか「ファンのコミュニティができること」ってなんだろ?
というような話にそもそも興味があったんですよ。


高校、大学、社会人数年まで大の音楽好きで、
一日一曲っていうブログを書き始めて一日一曲レビューを書いたり、
楽器の練習のために異様に長い時間を費やしたりしていた。

なんなら寝て起きて気づいたらお腹に楽器が乗ってたこともある。


で、ブログがきっかけで友だちが増えたり、
バンドきっかけで仲良くなった人となんならお付き合いしたりもした。
音楽と触れていなければ友だちの人数は少なかったろうし、
その後の自分の性格もがらーんとかわっていたと思う。


濃い人とのつながりが新たにできることが楽しいし、その人の近況が知れることもうれしい。
趣味はなんですか?と聞かれたら、無難に「読書、音楽、料理」と答えているが、

実は「濃い人を見て、うっわなにこの人こんな人見たことない。って言うこと。」が趣味かもしれない。

 

さておき


スマホが世に誕生したり、mixiが流行りだした頃から、人と人の関係はさらに変わったと感じている。
いつでも誰かとつながっているような状況。
気づいたら濃い友だちになっている加速感
(このスピードはその後コロナの影響で落ちることになるのだけど)。


そんなバックグラウンドや思いのある自分がこの「ファンベース」という本を読むと、共感できる部分がたくさんありました。


あれ?これ読書感想文になってなくない?
ここから、ここからやっと読書感想文です。
はい。佐藤尚之さんのファンベースの話をします。


**どんな本ですか?
ファン、すなわち自社や自社の製品やサービスを愛してくれる人を、
ベース、すなわち土台になるように商売すると、
支持され、愛され、長く売れ続けるよ。
というお話です。


んなこたぁない、とつっこみが入りそうですが
・2:8の法則的に2割のファンが8割の売上を上げる
・今の世の中ファンは昔より大事になってる
・ファンはファンを増やす
からです。
と、こちらの佐藤さんはおっしゃってらっしゃいます。


2個目の「ファンは昔より大事」は面白くて
「人が減ってるのに、売るものや情報は増えてる」
というのがポイント。
5人しか住んでない島にスマホ10種類売りにいく?的なお話。
お金があってもたぶん10機種全ては売れないよね。


じゃあファンを増やして支持を強くするにはどうしたらよいでしょう?というと、
・傾聴し、ファンであることに自信を持ってもらって、ファンをファン以外よりも優先し「共感」してもらう
・商品にストーリーをもたせ、接点を大事にし、ファンを参加させて「愛着」を強くし
・誠実に、丁寧に、「信頼」を強くし


という三つをやり、
さらにその三つを強化して、
・共感→熱狂
・愛着→無二
・信頼→応援
と、より濃いファンになってもらってLTV(Life Time Value=顧客の生涯価値)を高めよう。
という話です。


不特定多数に自信のないものを売るよりも、
ファンに、ファンが喜んでくれるものを売り続けられる関係ができた方がいいもんね。
いいものを作っても真似されてしまう世の中で、
他所と差をつけるならこれっていい方法。


この本には上記のような概念と、
本当にいろいろな企業の事例がたくさん散りばめてあって、
学ぶところも多いし
読み物としても面白いです。


「じゃあ、ファンを作るために何をどれだけすればいいの?」
という答えはこの本にはないし、
それはおそらく企業や売っているものによってまちまちなんだと思う。
でも「商品力や営業力を上げる以外にも、なにかできることがあるんじゃないかしら?」
と思ったら、手に取る価値のある本だと思う。


んで、私たちって何かを売ったりするのと同時に、
何かを買う消費者でもあるわけじゃないっすか。
世の中の売る側の人はこういう風なことを最近気にしてるよ、
っていうのは、買う側の人は学んでおいてもいいと思うんだよねー。


**こんな人におすすめしたいほんでした
・まだこれ読んでない、というコミュニティマネージャーさん
・マーケ、カスタマーサクセス、営業的なお仕事をしているみなさん
・「お客さんの声?聞いたことないわ」という人びと
・自分がなにかの製品やサービスのファンで、裏返して見てみたい人

 

野尻抱介さんの「南極点のピアピア動画」を読んで。読書感想文。

南極点のピアピア動画

読み終えて人に勧めまくった。良書も良書。
良い読書でした。
2021年読書ランキングの上位に入っている
(記事を書いたのは2022年なんですが、読んだのは2021です)
ニコニコ動画
・ピアツーピア通信
・3Dプリンター
・AI
・自動複製
・ボカロ
コンビニエンスストア
・宇宙開発ベンチャー
・ものづくりベンチャー
・ラブコメ
あたりの要素をドロドロに煮込んで煮詰めてストーリーの軸を通して固めてから大爆発させて「宇宙!」みたいな味付けしたようなお話。


私、未来予測の本とか好きなんですね。
2030年とか2060年とか、いろいろありますよね。
カクミチオさんの本とか、「インターネットの次に来るもの」とか。
ああいうの好きなんです。


で、この南極点のピアピア動画は、
それらの本にありがちな、未来の風景のショートストーリーを超おもしろくしちゃったような話です。
これぞサイエンスフィクション。
こんな未来になればいいと思う。


やはりね、SFって、
科学技術を要素として上手に使って作られる、
人間あるいは人間みたいな意志のある何者かのドラマだと思うんですよ。
主役はあくまでも人(あるいは人っぽい何者か)。

感情の動きや、未体験のものに対する理解、ストーリー。


喜怒哀楽もあれば、
恋もすれば、
何かにハマることもある。
色々な感情がある。
そんな感情をもりもり盛り込んだ素晴らしいストーリーです。


**どんな本でした?
SFって、自分の生きている時代を背景にするか、
全く遠くて自分がいる場所と連続性がないような時代を背景にするかで話がだいぶ変わるかな、と思うんですね。


今と遠く離すと自由度が高くなるけど、
今に近くすると自由度は減るもののリアリティが増す。


南極点のピアピア動画は、
今を基点にしつつ、
いくつかの変化が起きた後の未来の話なので、
身近なのに自由度が高い。


身近だから共感できちゃうし、
自由だから楽しい^_^


なんというか、民放っぽくない作りといったらよいのでしょうか。
地方局のテレビ番組、なんならラジオドラマかと思うほどの荒唐無稽さなんすよ。


この本の読後感を一言でまとめると、「赤面する感じ」と言えるかもしれない。
赤面にはいい赤面と悪い赤面があって、
この本がもたらしてくれるのはいい赤面です。


気負わず、臆せず、これを書いて発表した著者さんに大きく感謝したい。
私が映画監督ならおそらく映像化してるくらい好き!


**どんな人におすすめしたい本でした?
・SFが好き!でもまだこの本を読んでない人
・今後自分が死ぬまでに世の中がどう変わったら楽しいな、とか妄想するのが楽しい人
3Dプリンターとか興味あるー、という人
・SF?なんかマニアっぽいやつ?んー、読む?という人
・あえてSFアレルギーの人
・あえてオタクっぽいものアレルギーの人

・映像化したいものが見つからない映画監督

田中泰延さんの「読みたいことを、書けばいい。」を読んで。

読みたいことを、書けばいい。

「自分が読みたいことを書けば、自分が楽しい。」
という言葉がですねー。
突き刺さりますよねー。
幸せってなんだっけ、ですよ。


売れる文章でもなく、人を変える文章でもなく、伝わる文章でもなく、
目指すべきは「自分が読みたいことを書いているか」という視点ですよ。と。
その結果、共感したり影響を受けたりした人が買うし変わるんだよね。


わかるー。


前々から「面白い本」「人を変えちゃうような本」を書いた人って、
「面白い人」だろうし、「人を変えちゃうような人」なんだろうなー、と思っている。
面白い人は即興でも面白いし、練りに練った本もおもしろいよねそりゃ。


その前提がある上で、もし人にも読まれる文章にしたいなら、なにが必要か、というところも教えてくれます。


下調べがしっかりしてあることが、
大事なこととして紹介されています。
図書館の活用方法の話も紹介されていて、
これはぜひやってみたいと思った。
そうそう、幸い国立国会図書館に近い職場に転職したし、行って興味があることを調べてみようかしら。


自分が聴きたい音楽が世の中に無いから音楽を作ってる、みたいなことを言ってたミュージシャンがいたと思うんだけど、誰だったかしら。


**どんな本ですか?
元CMプランナーで色々なところに文章を書いていた著者が、
とある編集者から「世の中に正直な書き手が増えること。を実現したい。」と言われて書いた本です。


「正直な書き手」ってなんだ?と思った。


本当に思っていないことを書くとか、
借りてきた言葉を使わないとか、
対象に愛がないのに紹介するとか。
そんなのが正直じゃない書き手だそうです。


おお、これはイイ話。


私最近コミュニティとかコミュニティマーケティングに関わってるんですが、
そこでまず大事なことって、コミュニティ参加者が対象に抱いている愛だと思うんです。


わたくしごとで言うと、
Pardotが好きで、
DataSpiderってツールが好きで、
どうやら商売に使うか使わないかを問わず人と人とのつながりすなわちコミュニティが好きなんだな。


ツールに関しては世の中なんでみんな使ってないの?使った方が幸せじゃん、とか、
何か困ったら人に聞けるような世の中って最高じゃん、なんでみんなそっち目指して行かないの?
Too shy shy boyかよ、と思っている。


何かを愛している人って、基本おもろいのよ。
で、その愛が溢れた本や文章ってこれまた面白い。
あ、愛か執着かもね。


前に読んだ野中郁次郎さんの米軍海兵隊の研究本とか、
超面白かったもんね。
あと稲田俊輔さんの外食系の本とか。
サイゼリヤの話でいつまでも語れる人が濃縮して書いた文章だもの。おもしろい。

 

愛しているからこそ人より深く調べるし、
人より詳しくなる。
ポケモン好きな人からポケモンの話を聞くのは楽しい。
阪神タイガースが本当に好きな人からタイガースの話を聞くのは本当に楽しい(これは私がどこか特定の野球チームの応援をしてないからだろうけど。)


まあ、愛の強さも相対的なものだよなー、とも思う。
でも、より愛が強い人のほうが面白い文章を書けるかというと、
そうは限らないんだけども。


私自身としては、
愛する対象のことを自分の好きなようにこの先も書こうと思っているし、
愛する対象のモノヒトコトを世に広めていきたいと思っているし、
家庭料理人として、自分が食べたい料理をこれからも作っていきたいと思う。


そうそう、食べたいものを作ればいいのよねきっと。
自分が食いたくもない料理なんて作りたくないぜ。
自分や家族に作るにしても、他人に作って商売するにしても。


**どんな人に読んでほしい本ですか?
・自分が好きなものの話を文章にしたい人
・「なんであの人の文章はおもしろいのだろう」と思ったことがある人
・「ひろのぶと株式会社」から書籍デビューしたいぜ!という人
・なんで自分の文章がつまらないかわからない人