感動した。
ついさっき読み終わった。
途中途中で「このエピソード必要?」みたいなことも思ったけど、私がバカでした。
どんな本?
アーサー王が死んでしばらく経ったころ、
ブリテン島は忘却の霧に包まれていた。
その根源を断つために旅する人や、
記憶もないまま旅する老夫婦がいたりしたのだ。
っていう、背景がファンタジーなストーリー。
でもこれ普通のファンタジーじゃない。
「記憶は徐々に薄れていく」のが自然だけど、
不自然に記憶が失われていったり、
それを一気に思い出したら?
しかもたくさんの人がいっぺんに思い出すことがあったら?というのがテーマ。
宇江佐真理さんが先日亡くなったそうですよね。
大好きでした。
あちらは江戸時代を背景として人間を描いたと思うのだけど、
こっちはファンタジーを背景として人間やその記憶を描いてる。
序盤からやけにザラッとしてるのも、計算だよね。
wiredのインタビューで「幾つかの言葉を意図的に使わないことでリアリティを増した」みたいな話も読んだ。
心理描写とか人と人の距離感を描くのが抜群に上手い人だと思ってたけど、
こんなこともできるんだね。
腕のいいラッパーだと思ってたのに歌わせたらこれはこれでむちゃくちゃうまかったみたいな感じです。
こんな人に読んで欲しい本でした
「もう文学とかってやることやりきってるジャンルでしょう?」という人に是非。
ほら「どうせラーメンて、ラーメンでしょ?」っていう人に食べて欲しいラーメン。みたいな話。
めったに「あとでまた読みたいな〜」って思わないんですが、
これはもう一度読むのも良いかも。
まあ、感動した。
- 作者: カズオイシグロ,Kazuo Ishiguro,土屋政雄
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2015/05/01
- メディア: 単行本
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