うさみ本棚

うさみの本棚です。おすすめされた本を読みますので、おすすめ教えてください!

燃えよ剣を久々に読んだらちょっとたのしかったのよー。という読書感想文。

燃えよ剣〈上〉 (新潮文庫)
燃えよ剣〈下〉 (新潮文庫)

花火をスーパースローで撮影したみたいな物語なんですよ。


むかーしむかしあるところに土方歳三さんという人がいて、
その人の半生を描いた小説。
青年期から30代半ばでなくなるまでの20年間くらい。


時代の移ろいと共に 敵も味方もばったばったと切り倒す。
多摩で、江戸で、京都で、甲府で、宇都宮で、函館で、
あっちゃこっちゃで斬り倒す。
ばったばったと斬り倒す。


超怖いのに、
時々チラッと人間味がある主人公と、
個性的で主人公と引き立てあう主人公。
かっけーっす。

どんな本?

ざっくり3パートくらいに分かれてて、
一つは新選組以前の多摩か江戸にいる時期。
次が京都で新選組副長として
ばったばったと敵味方を切り倒す時期。
最後は幕府が大政奉還した後の
甲州→流山→宇都宮→会津→仙台→函館と
転戦していく時期。


それぞれがそれぞれに面白い。


幕末ものってやっぱり面白いなー、と思うのは、
・刀と銃
・日本と外国
徳川幕府と諸藩
・地方の上士と郷士
・海軍と陸軍
・武士と軍人
・組織のトップとナンバーツー
みたいな、いろんな対立関係や比較があるからかもしれないね。


書き方の特徴としては
・客観的で心理描写が少ない
・とにかく人が死ぬが、さっぱり死ぬ
 ぐえーもぎえーもなし
・やってることは陰険なのに爽やか
・戦闘シーンもドライめ
・著者の主人公愛がどう見ても強すぎるほど強い


そうそう。
主人公愛が強めです。
「土方LOVE!」と言わんばかり。
とにかくべらぼうな強さとか、頭のキレの良さとか、モテっぷりとかね。
盛り盛りです。チート的強さ。


そのくせ、
この時期の司馬遼太郎先生は
竜馬がゆく」も書いてるはずというのがスゴイ
項羽と劉邦」「劉備曹操」「マリオとクッパ
ヨーダパルパティーン
のそれぞれを主人公にした全く別の小説を
同じ時期に書くようなもんなんですよ


剣道部の土方センパイが主役の小説と、
ボート部の坂本センパイが主役の小説を、
同時期に器用にかき分ける新聞部の司馬くん。
みたいな状態です。
しかもどっちのファンからも好かれてる。
すごいぜ司馬くん。

こんな人に読んで欲しい本でした

・幕末ものが好きな人(は、多分もう読んでる)
・組織のナンバー2的ポジションが実はいいなー、と思っている人
 (トップは飾りで実権は自分が握りたい人)
歴史小説の最初の一冊を何にしようか悩んでる
司馬遼太郎を読んでみたいけど何から読もうか迷ってる
 (上下巻で終わるからね)


ということで、
まだなら読もう、燃えよ剣