なんというか「絵柄が好きじゃないけど読み続けちゃうまんが」ってあるじゃないですか。
生理的にダメな感じなんだけど、読み始めるとずぶずぶ読み進んじゃうような。
これはそんな小説で、怖いもの見たさでずずいと読み進んでしまう物語です。
どんな本でした?
人におすすめしたくなる本でした。
相手を選ぶけど。
暴力、宗教、大自然、
アル中、シャブ中、ヘリコプター、
呪術に奇術に超能力、
細菌と毒と寄生虫。
全部入ってます。
むしろもっといろいろ入ってます。
主人公がかっこよくないのがまたいい。
50代のお腹が出た肛門みたいな口のおじさん。
しかもアル中。
その妻も情緒不安定
(後半むちゃくちゃ安定するけど)。
しかもこの主人公のおじさんは
「なんでこの人が主人公?」
と思わせるほど期待をしっかり裏切り続ける。
時々いいところを見せるけど、
基本的に他人が働いてばっかりいる。
まあ、だからこそあの終わり方なんだな。
それにしても、
どれほどの資料を調べてこれを書き上げたことでしょう。
アル中についてはもともとお詳しかったのでしょうけど。
作ったプロセスにも興味がある。
この話はどこから作ったんだろう。
設定ありきなんだろうか。
目を背けたくなるような恐ろしい世界って
うっすい壁一枚の向こうにあったりするんだろうなーと思わせる力がある本。
ちゃんと情報が整理されていて、
すーっと読み続けられるエンターテイメント作品。
勢いだけで書いてないのが素晴らしい。
こんな人に読んでほしい本でした
・ふつうのミステリーはちょっと読み飽きた
・派手な銃撃戦とはちがう戦いが見たい
・世の中きれいごとばっかりじゃないよねー、みたいな本が読みたい
・アフリカに行ってみたい
・新興宗教を立ち上げたい
ちなみに、私は中島らもさんの小説は「今夜、すべてのバーで」しか読んだことがなかったので、
これを読んで改めて他も読んでみようと思いました。
おすすめしてくれた清水君に感謝!