うさみ本棚

うさみの本棚です。おすすめされた本を読みますので、おすすめ教えてください!

花森安治の仕事を読んで。読書感想文。

花森安治の仕事
またまたイイ本を読んでしまった。
「なんで誰も教えてくれへんかったんや!」という本。
みんなにもおすすめしたい本。


ついこの前、立て続けに文章力に関する本を2冊読んで、
その後にこの本を読んだことに運命を感じる。
前のは文章の書き方の本だったけど、
こっちは書き手の本。


ちょっとだけ引用させていただきますね。

ぼくはやはり、ペンは剣に勝つと思うんだ。思っているだけじゃ、だめだ。
剣が訓練している何倍も、ペンもトレーニングしなくちゃ、だめなんだ。


ペンをトレーニングするって、
考えたことあるかい?
ペン豪。
ペン豪です。


広告一切無しの月刊誌を100号まで発行した編集長だそうですよ。
NHKの朝の連続ドラマがモデルにした人。
死の2日前まで編集に携わっていた人。


戦後の銀座をスカート履いて歩いた紳士。
表紙の絵を描き、文章を書き、後進の指導をし、
誌面に乗せる商品テストをし、
賄賂になりそうなものは一切もらわず、
記事についての哲学を持ち、
妥協せず、
Made in JapanをGE以上のクォリティにする原動力になった人。


偏りたくないから広告もとらないし、
昼ごはんの弁当ももらわない。
ビジネスマンというよりもジャーナリスト。
国内産海外産問わず、全ての商品に公平。


誰でも選べる生き方ではないと思うけど、
この妥協のなさは素晴らしい。


私が生まれる数ヶ月前に亡くなったそうです(1978年)。
できることならお会いして、お話を伺いたかった。

どんな本でした?

花森安治さんという、
暮しの手帖の初代編集長が、
どんな人だったのかをまとめた本。


書き手にして科学者にしてジャーナリストにして素人。
素人だから商品チェックは愚直。
実際の使用に近い形で商品を使い倒す。


ベビーカーに10kgくらいのおもりを乗せて10km押す。
ガスコンロのグリルで市場仕入れの鰯をひたすら焼き続ける。
フライパンで野菜炒めを500回作る。
灯油ストーブを冷凍倉庫で使ったり横倒しにしたりする。
そして、ダメなものはダメとはっきり書く。


消費者が商品を選ぶ基準にするのが目的ではなく、
開発者がクォリティを上げるためのきっかけにした本。
昭和のMade in Japanの良さを最大限に引き出したのは
この人と率いる編集部だったのではないかと思う。


製品の作り手のそばでチェックをする人は、
どうしても実際の利用者のようには使えない。
だから、中立な立場で、どの会社からもお金をもらわず運用する。


ふつうささっとつぶれそうなもんだけど、
そうならなかったのはこの編集長の力が大いにあると思う。

こんな人におすすめしたい本でした

・学校新聞や社内報を書いている/書くことになった
・歴史的に遠すぎない偉人の物語を読みたい
・最近雑誌を読んでない
・ペンは剣より強いと思う
・圧倒的天才でしかも努力する人の物語を読みたい
・ととねえちゃん見てたけどこれは読んでない