俳句は深い。海のように深い。
短歌は広い。宇宙のように広い。
わかるかな、わっかんねぇだろうなぁ。
俳句には、ルールがあって、それが奥深さを感じさせ、また、可能性を感じさせる。
どんなに奥が深くても、地球の体積には限りがある。
ググったところ、1兆833億1978万km3だそうです。
ぜんっぜんわかんないけど、
深海の生き物以外はみんな死んじゃうくらいの水圧がかかるんですよね。
対して短歌には文字数以外のルールは無いし、
文字数も無視しても罰金制度や懲役といった実刑もない。
誰かの名誉毀損になるような短歌を作ったら、
民法で訴えられるかもしれないけれど。
んで、この本は短歌の本です。
57577。
いろんな文筆業のせきしろさんと、小説家の西加奈子さん。
せきしろさんはもともと「去年ルノアールで」っていう雑誌連載(からの書籍化(からのドラマ化もあった))が好きで、
気にしていろいろ見てるんだけど、相変わらずのセンス。
素晴らしい。
そして西加奈子さん。
実は名前くらいしか知らなかったんだけど、
この本を読んだことで一気に興味がわきました。
小説も読んでみようかな。
お二人ともね、文章力の根底にあるものが表に出たかのような短歌を詠まれるんですよ。
せきしろさんは虚無と怠惰と優しさを。
西さんは様々な対象に向けられた無償の愛を。
一番涙腺にぐぐっときたのが、p.64の返歌
紅い葉を両手にかかえ立っている 葬式の黒さに負けぬよう
泣かないで 白い煙に流されるわたしの声とあなたの紅と
です。
冬の空気を感じるような、文字に書いていないことまで想像されるような、映画のワンシーンのような、ぐっとくる、ぐぐっとくる短歌だと思いませんか。
で、一番「マジか!」と思ったのがお題その41「受験」
ババダマホ!僕らが捨てた惑星は受験がなくて恋もなかった
受験時に覚えた古今和歌集はもう忘れたし身内も減った
です。
「はいそれでは『受験』をテーマに短歌をお願いします!」
って言われて
「ババダマホ!」って言える人いる?
造語。短歌の出だしで造語。
この衝撃ったらもう。
どんな本ですか?
文筆家の二人が、連載がはじまるからという理由で短歌をはじめて、
毎回いろいろなゲストにお題を出されたり、一緒に詠んだりする。という内容です。
ゲストは実に幅広く、歌人、モデル、女優、バンドマン、劇団主宰などなど。
しかもそれぞれ秋の図書館を感じるようなステキ人選なんですよ。
んで、メインの二人もゲストの皆さんも詠む短歌詠む短歌まあ、
惑星のようにバリエーション豊か。
土と岩みたいな人もいれば、
掴みどころのないガス惑星みたいな人もいる。
でもみんなちゃんとフォーマットに収める気持ちがあって、
でも収まらなくて文字やら感情やらいろいろ溢れていたりする。
あ、短歌好きな人は
うたよみん|みんなの短歌投稿コミュニティ
っていう短歌SNSもおすすめですよ^_^
自分で詠んだのを投稿するやつ。
フリースタイルな短歌多め。
でも「ババダマホ!」みたいなのは見たことないです。