言葉のプロ二人が「詩」というルールの元に行う天下一武道会決勝戦みたいな一冊。
いや、そんな殺伐としたものではなくて、
やわらかい文章と慈愛に満ちた詩集なんですけども。
どのあたりが天下一かというと、
言葉選びのセンスやその出てくる順番です。
高度な技の応酬すぎる。
鳥山明先生がヘタッピまんが道場で、
「まんがだったらなんでもできる。
岩も割れるし空だって飛べる」
的なことをおっしゃってたんですが、
文章を矛盾したまま届けられる、
という点では、詩の自由度もかなりなものです。
森雪之丞さんなんて公式サイトのタイトルからして、
瞳を閉じて青空を見ろ。ですからね。詩人恐るべし。
そんな詩人が時に矛盾するような言葉のセレクトをしたり、
様々な技を駆使してセンスハンパねー詩をガンガン繰り出すんですよ。
そうするとそれを受けて江國香織さんが、
さすがの小説家っぷりを発揮して、
「人の業」「女の性」みたいな大技で封じ込めたりする。
雲の切れ間から届くような詩と、
目の前の女性から届く言葉のような詩。
どちらも素晴らしい。