うさみ本棚

うさみの本棚です。おすすめされた本を読みますので、おすすめ教えてください!

江國香織さんと森雪之丞さんの「扉のかたちをした闇」を読んで。読書感想文。

扉のかたちをした闇
言葉のプロ二人が「詩」というルールの元に行う天下一武道会勝戦みたいな一冊。
いや、そんな殺伐としたものではなくて、
やわらかい文章と慈愛に満ちた詩集なんですけども。


どのあたりが天下一かというと、
言葉選びのセンスやその出てくる順番です。
高度な技の応酬すぎる。


鳥山明先生がヘタッピまんが道場で、
「まんがだったらなんでもできる。
 岩も割れるし空だって飛べる」
的なことをおっしゃってたんですが、
文章を矛盾したまま届けられる、
という点では、詩の自由度もかなりなものです。


森雪之丞さんなんて公式サイトのタイトルからして、
瞳を閉じて青空を見ろ。ですからね。詩人恐るべし。
そんな詩人が時に矛盾するような言葉のセレクトをしたり、
様々な技を駆使してセンスハンパねー詩をガンガン繰り出すんですよ。


そうするとそれを受けて江國香織さんが、
さすがの小説家っぷりを発揮して、
「人の業」「女の性」みたいな大技で封じ込めたりする。


雲の切れ間から届くような詩と、
目の前の女性から届く言葉のような詩。
どちらも素晴らしい。

こんな人に読んでほしい本でした。

・作詞家森雪之丞ファンで、まだこの本を読んでいない
・小説家江國香織ファンで、まだこの本を読んでいない
・小説とかドキュメンタリーとか読み疲れた
・味気ない本ばっかりだと栄養がかたよるなー、と思っている