
映画がスバラシイと聞いて、原作を読んでみました(映画は見ていない)。
たいへん良い読書でした。上下巻を駆け抜けるように読みました(にしては休憩が多い)。
ストーリーの抑揚や喜怒哀楽にリンクする情景描写がとてもうまい。
話の構成力がとにかくすごいのよ。
大胆なのにスキがなく、全てが物語を演出するように作られている。
え?これ妄想で書いてるんだよね、見てきた?そっちの世界線があるの?というレベル。
歌舞伎についてや、昭和の当時の日本各地の様子とかも調べまくったんだと思う。
元々好きなんですよー、だけでは書けない密度と情報量。
主人公二人の「歌舞伎役者としての性」もすごいけども、これを書きあげちゃう著者の「作家としての性」もハンパないのですよ。
どんな本でした
架空の歌舞伎役者二人と、その二人をとりまく色々な人々が織りなす人間模様。
二人の生涯が濃い。まわりの皆さんもみんな濃い。
あるいは「時代」や「歌舞伎」そのものが主人公みたいな話。
それか「人の性」とか「モチベーションとその先の呪い」とか。
映画のフォレストガンプって見ました?
あれは軸になるストーリーがありつつ、アメリカの60年代を中心とした時代を描いた映画だと思ったのよ。
主人公はガンプとアメリカ。
だとすると、国宝の主人公は二人の歌舞伎役者と昭和日本。
印象的なシーンがいくつもある。
物語冒頭の雪降る中での悲劇とか、お芝居みたいというか、絵の美しさにひたすらこだわった中国映画を想起させるようなシーン。
さんざんお酒を飲んだ翌朝の楽屋裏の慌ただしさとか、見たこともないのになぜか絵が浮かぶ。
病院の寂しさの描き方とかも素晴らしい。
また、ただ美しいだけのシーンで終わらせずに、小説の最後をああしたのは本当に素晴らしいことだと思う。
あと、登場人物がほぼみんな人間らしさ満載なんだよね。
人間らしさ=動物としての免れ得ないいろいろ+理性あるヒトとしての免れ得ないいろいろ
と言い換えてもいいかもしれない。
業とか性とか。
これを読んで(あるいは映画で見て)歌舞伎を見たくなった、という人、いるんじゃないでしょうか。私もそのひとりです。
いい本や映画って、人の行動を変える力を持ってると思うんだよね。
これは人もそうで、スゴイ人って人の行動を変える力を持っている。
映画だと徳ちゃんあんまりでてこないんだって?いい役なのにね。
こんな人に読んでほしい本でした
・映画見たけど原作読んでないんですよー、という人
・映画も原作もまだなんですよー、という人
・歌舞伎ちょっと興味ある、という人
・最近おもしろい小説読んでないから読みたいな、という人