うさみ本棚

うさみの本棚です。おすすめされた本を読みますので、おすすめ教えてください!

河合隼雄さんの「河合隼雄の幸福論」を読んで、読書感想文

河合隼雄の幸福論 (PHP文庫)

最近ね、ウェルビーイングの話とか、目にしたり耳にしたりする機会が増えてるんですよ

 

で、この本にはそのヒントがかいてあります ご本人は「人生学」という言葉を使ってたりする

「ロミオとジュリエットがどんな会話をしたかを英語で読む勉強はしているのだが、  現代のニンゲンの恋愛がどうあるべきか、どんな意味を持つかを考えたことも、教えられたこともない」

みたいなことがズバズバ書いてある 上のみたいな問いがズバズバ書いてあるけど、答えが書いてあるわけじゃない 問いに対する立ち向かい方や、考えたことが書いてある

 

 

唯一の答え、ないもんね 答えは一つじゃないから、互いに照らし合わせ、在り方を考え、多様な人の中の自分の人生を考える 人生を研究する、研究するためには実験が必要で、理論を実験で検証しよう、と

 

 

こんな本でした

「幸福論」と言いつつ、「幸福(になるための考え方をいっしょに考えよう)論」みたいな本です

哲学、倫理学、心理学は昔からあるけど、自分の人生をいかに生きるべきかをテーマにした「人生学」みたいなものを考えたいよね、みたいな話

「ロミオとジュリエットがどんな会話をしたかを英語で読む勉強はしているのだが、現代の人間の恋愛はどうあるべきか、(以下略)」

みたいなことを書いてある本です

おもしろそうでしょう?

今で言うウェルビーイングの話なのよね

仕事の進め方や仕事の意義を考えたことはあるが、自分のしごとがどうあるべきか、どんな意味を持つのか、を考えたことがあるのか、と問われる

 

 

自分のことを振り返るときにきっかけになるいい本でした

 

 

こんな人におすすめしたい本でした

・答えも欲しいけど良い問いもほしい

・幸福について考えてみたい

・固まった視点をほぐしたい

三宅香帆さんの「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」を読んで、読書感想文

なぜ働いていると本が読めなくなるのか (集英社新書)



これまたいい読書でした

 

 

「日本人の読書史」みたいな話がまずあって、そのあとなぜ読めなくなるのか、と、結論として仕事も大事だけど本も「半身で」読もうぜ、と

電車ではたしかにスマホ見てる人が増えたけど、本を読んでる人もまだまだいるよねー

とも思う

昔って電車で雑誌を開いてる人がいましたけど、あれは減りましたね

 

 

読書史パートは明治・大正、戦前・戦後、オイルショック・バブル、バブル崩壊以降

のようなパート分けをしていて、それぞれの時代における「読書の位置付けの変遷」みたいなことがおもしろかった

 

 

昔はね、エリートのものだったんですってよ

それが大衆のものになり、娯楽化していった

なんと言うか、大昔は貴族のものだった音楽の歴史とも似ているように思う

 

 

「コピーが作れること」って本当にものの方を変えたんだよなーって思うよね

写本しないとコピれなかったのが、印刷されるようになりら果てはデータとして流通し

 

 

だからこそ今の時代の読書って本当に素晴らしいと思うんだよなー

高くはなったけど安いし、図書館に行けばアホほど本あるし、青空文庫も読めるしね

 

 

 

わたしは読書をやめられないのだけど、それでも電車でスマホばっかり見てる時もあります

読書の体力みたいなものも落ちたしね

それでもこれからも本を読みます

いちばん長く続いてる趣味だしね

 

 

職場の人と本の話で盛り上がって、本をお貸しいただいて読みました

わたし自身、かばんに本が入ってないと悲しくなる類の人なので、本を読むことはすでに差別化ポイントになってるんだなー、と思う

みんなも読もうよ、本

 

 

**こんな人に読んで欲しい本でした

・本をよく読む人

・ブックライフバランスに悩む人

・本を前より読まなくなっている人

ヤン・カールソンさんの「真実の瞬間」を読んで、読書感想文

真実の瞬間: SASのサ-ビス戦略はなぜ成功したか

いい本だった

コンセプトとは何か

サービスとは何か

みたいなことを考えるいい機会になりました

 

 

**どんな本ですかね

例えば、航空機製造者が大事にすべき「カスタマー」は航空事業者でなく旅客 って、当たり前のことのように思えるんですが、「航空事業者」に向けて航空機が作られてたんですって

 

 

今もその傾向が残ってるかもしれないけど 利益が出るように多くの人を運べるように機内をデザインするか、快適な空の旅を楽しんでもらえるように機内をデザインするか、って、まったく別のスタートですよね

 

 

これ、自分の仕事のお客さんは誰なのか、みたいな良い問いをもらえるエピソードでした

「自分は誰からお金をもらって暮らしているか」

会社?顧客?企業?顧客が提供するサービスのお客様? なにも考えてないと、無駄な仕事をすることになっちゃうんですよね

この本にはそんな、根底から見直した事例が多く出てくるのが良いんですよ

 

 

一見非効率な判断をしているように見えて、他社との差別化ができていく

その変化の起点も、「天才経営者がトップダウンで」ではなくて、現場で働いている人に聞きまくったり自分で体験したりしながら見出していく

 

 

その根っこになるコンセプトはセグメントの大胆な絞り込みだったり、マーケティング的にものすごく理にかなってる

 

 

なんとなく読んでいて、翻訳が堤 猶二なことに読み終わってから気づいた

プリンスホテルとかインターコンチとかの社長だった方ですね

堤康次郎の子、堤清二の弟

すごい一族だなー

 

 

**こんな人に読んで欲しい本でした

・サービスに関わる仕事をしている人

・航空業界あるいは運輸業の人

・マーケティングが好き人

・接客って奥が深くて面白い仕事だと思う人

矢部太郎さんの「大家さんと僕」を読んで、読書感想文

大家さんと僕(新潮文庫)

 

2017年出版

お笑いコンビ「カラテカ」の矢部太郎さんが、当時87歳の大家さんとの日々を描いたまんが

 

 

**どんな本ですか?

お笑い芸人である主人公が引っ越した先は、一戸建ての二階で、高齢女性である大家さんが1人で一階に住んでいる

 

大家さんはたいへん社交的でお話好きで、伊勢丹好きで上品な人柄。お茶が入っただお菓子があるだ百貨店に行くだと誘いにくる

 

人が暮らすこと、人と人の交流、老いについて、品とは

みたいなことを考えるきっかけになる、いい本

 

 

**こんな人に読んで欲しい本でした

・品とユーモアを兼ね備えた人を見たい

・恋愛ものではない人と人との交流を見たい

・気持ちが暖かくなる話を読みたい

キム・チョヨプさんの「この世界からは出ていくけれど」を読んで、読書感想文

この世界からは出ていくけれど (ハヤカワ文庫NV)
同僚に貸してもらって読んだ一冊
たいへんありがたい
前のキム・チョヨプさんの「わたしたちが光の速さで進めないなら」を読んだ方で「超おもしろいよねー!」という話になり、おもしろかったから他のも買ってみたそうで


こっちもおもしろかった
光の速さの方が「マイノリティ」を通して人間を描いたものだとしたら
こちらは「喪失」みたいなテーマで人間を描いている
っていうか、SF的な成分はあっちでもこっちでもサブ的要素になっている

どんな本でした?

韓国のSF作家さんの2作目
短編集です


視覚と世界の認識が普通と違う人たちがダンスを理解しないまま通信機器で共有してみんなで同じ踊りをするとか
事故をきっかけに3本目の腕がないことに違和感を感じてそれを付けるとか
時間の認識が他の人とズレてしまった人のコミュニケーションとか
帰ってくるという言葉を信じ続けるロボットとか


ズレとか喪失とか
そもそも持っていないものを失った感覚
人間の悲しさ
おもしろかったです


背景に対する説明がなくて、だんだんなんの話か分かってくる構成なので、
苦手な人はそこが苦手かも
バッキングがスキマだらけの曲みたいなのよ
そこがまた、いままでの世代と違うよね

どんな人におすすめしたい本でした?

・孤独を感じる人
・何も失っていないのに、何かを失ったような感覚を持っている人
・SFきな人

町田そのこさんの「52ヘルツのクジラたち」を読んで、読書感想文

52ヘルツのクジラたち【特典付き】 (中公文庫)

2025年はいろいろな本を読むのに挑戦した年だった
これもその一冊
ふだんの自分なら選ばないけど、人からおすすめいただいて試しに読んでみた


これの前が「わたしたちが光の速さで進めないのなら」だったのも面白い体験だった
マイノリティ、マイノリティのお話なんですよ
多様性というか、一人ひとりそれぞれみんな違うんだよね


もともとそうなんだけど
多様っていうか、一人ひとりなんだよね


どんな本でした?

本屋大賞受賞作なんだよね
たしかに面白かった


大分県の田舎の一戸建てに都会から女性が引っ越してくるところから始まって、
孤独でいたいのに、人と人が助け合ったりいがみ合ったり意識しあったりする本です
人間と人間の関係
いわゆる人間関係


殺人事件も誘拐もなく、謎が謎を読んだりもしない
でも、結果として人が死んじゃったりするのが世の中じゃないですか
恐ろしいことに
人を守ろうとして人を傷つけたり、愛だか執着だかわからない感情にとらわれて逃げられなくなったり


人間の弱さって本当にいろいろなパターンがあるよな
と思う
不幸になりたくて不幸になってる人はいないけど、幸福になりたくても幸福になれない人はたくさんいるんだよなー
などと思う読書でした

どんな人に読んでほしい本でした?

・孤独な人
・自分はマイノリティであり、誰からも理解されないと思ってる人
・誰かを助けようとして思い通りにいかず、苦しんだことがある人
・ふつうにいい小説を読みたい人

キム・チョヨプさんの「わたしたちが光の速さで進めないなら」を読んで

わたしたちが光の速さで進めないなら (ハヤカワ文庫NV)

これ、ここ数年で読んだ本の中で転換点になる本でした

画期的
「画期的」って、昔の上司が時々なにかを褒めるときに使ってた言葉なんだけど、
「期を画す」ってすごいよなー、と思ってたのよ
で、この本はね、画期的な本だな、と思ったんです


まんがで言うとドラゴンボールとか、キャプテン翼とか、スラムダンクとか、ワンピースとか、葬送のフリーレンとか、画期的だよなー、あるいは画期的だったなー、と思うんです
その作品の前後で世界が変わってるのか、社会がその作品に反映されているのかしらんけど
ジャンプまんがで言うとほら、「努力、友情、勝利」なんだけど、その性質が変わってるんだよね


主人公の成長、ライバルの登場、多様な登場人物や世界観、おどろきの展開、明かされる真実
などなどの要素があるけどさ、その量も質も多様性もレベル違いにぐっと成長してるんですよ
あと、方向性というか、「ああ、そういうおいしさもあるのか」みたいな感動ね

どんな本でした?

あ、で、まんがの話じゃなくて、そんな画期的な小説を書かれたキム・チョヨプさん
1993年生まれの韓国人の女性で、聴覚に障害があって補聴器を使ってたりするらしい
SF短編集
超よくできたSF短編集


「SF第何世代」みたいな言葉があるとしたら、この作品がその世代の筆頭です


ここ最近のSF小説の流れを思い出してみるよ
三体が中国からハリウッド的超巨大宇宙規模な世界観で世界中を驚かせた
プロジェクト・ヘイル・メアリーが孤独と戦い世界を救う主人公を新しい形で描いた
で、その2作に並べたいくらいの「世代」の一作なんです
質、質、方向性がまったく違う


巨大さがない
世界も救わないし、主人公は強くない
だからこその得も言われぬ読後感
主人公からして、家族に会いたい老婆とか、今にも彼女と別れそうな男とか、なんというか社会的弱者という意味でのマイノリティが多い
だがそこが得も言われぬ味になっているのよ


多様性の時代のSF作家さん、と思うし、他の作品を読むとこの本はもしかしてそういうコンセプトのもとに書かれてるんじゃないかしら、とまで思う

どんな人に読んでほしい本でした

・多様性について考えることがある人
・マイノリティについて考えることがある人
・新しいSFを知りたい人