うさみ本棚

うさみの本棚です。おすすめされた本を読みますので、おすすめ教えてください!

『モモ』を読んで。読書感想文。「エンデの遺言」は読んだことあるのに、これは読んだことなかったんです。

モモ 時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語

「ものの価値はだんだん下がるのに、それと引き換えにできるお金はほっとくと増える。これって変じゃない?」
みたいなことが、『エンデの遺言』という本に書いてあって、あー、そうだよなー。
と思ったのが数年前のこと。
そんな人が書いた小説をこの前読んだ。


こっちはお金の話じゃなくて、お金以上にコントロールができない時間の話。
しかも、自分ではコントロールできない時間を他人にコントロールされてしまう話。
ゆるふわファンタジーってこともなく、
タモリさんが世にも奇妙な物語で紹介してもいいくらいのへヴィーさ。

こんな本でした

超おもしろい本でした。


モモっていう女の子がある街にやってくる。
どっから来たんだかわかんないしこきたないんだけど、いるだけでその場の空気が変えてしまう。
子どもたちは楽しく遊べるようになるし、無口な大人も話をしたくなるし、よく喋る大人は話が止まらなくなるし、
ケンカをしていた二人はケンカやめる。


そんなモモが世界中の人間の時間を奪おうとする謎の集団と、
唯一無二の時間の提供者の間で立ち回ってどったんばったんピタっ!どったんばったん。
理由はわからないまま自分を見失う人々、
離れ行く仲間たち、幸せな日々を省みない大人たち。


街に朝日は再び輝くのか、
人々に笑顔は戻るのか。
時間をめぐるスペクタクルファンタジー巨編!
みたいな本です。

こんな人におすすめしたい本でした

・面白い本が読みたい人
・名作名作って言ってるけどほんとにおもろいの?と思っている人
・「時間」ってなんやねん、と思っている人
・読書好きな人と友達になるためのきっかけがほしい
マボロシでかまわない、時間よ、止まれ、って思っている人
・日々、歌う言葉さえも見つからぬまま時間に追われ途方に暮れている人



エンデの遺言」の感想文を前に書いたんだった。

前にブクログ - web本棚サービスというやつにレビューを書いてた時に、
エンデの遺言」のレビューは書いてたんで、転記しとこう。

「ものの価値はだんだん下がるのに、それと引き換えにできるお金はほっとくと増える。これって変じゃない?」
って本。


上のカギカッコの中に対して
「そんなことないよ、だってそういうシステムじゃんか。」
と思ってしまったらもう頭が固い。
たかだかここ数百年にできたシステムなんだから。


ミヒャエル・エンデなめてました。
ファンタジーなおっさんかと思ってた。
モモはただのファンタジーで書いてるんじゃないんだって。


地域通貨って聞いたことあったけど、
ただのお金のかわりじゃなくて
こういう問題を解決する手段になり得るんだね。


人に借りた本だけど、読んでみて良かった。

出典:うさみの本棚(アカウント消しちゃったので、元のやつは今読めません)


この人はドイツ生まれで、
父親シュールレアリスムの画家で「退廃芸術家」と呼ばれた
・16歳で徴兵されて友達が戦死、80km歩いて逃げる
・反ナチスレジスタンス組織の伝令になる
・戦後演劇学校に入る
・32歳で処女作出版、児童文学賞を受賞
・43歳でモモ出版、二度目の児童文学賞


人によっては
「えっ?読書が趣味なのに読んでないの?」
くらいの有名書籍なんだろうなー。
読んでませんよ!




モモは面白い、という話を以前から聞いていた。
他の児童文学とは違って、大人になってから読むとまた一味違う本だと。
で、私はこどもの時に読んだことがなかった。
これはこれで。
幸せな読書時間でした。

ジェイン・マクゴニガルさんの「幸せな未来はゲームが作る」を読んで、読書感想文。

幸せな未来は「ゲーム」が創る

すべてのゲームに共通する4つの特徴は、
ゴールとルールとフィードバックシステムと自発的な参加です

みたいな文が序盤で出てきて、
KO!ですよ。
なんていいこと言うんだこの人。


僕たちは、仕事をしている時でも、家庭生活を送っている時でも、
他の何かをしている時でも、
この4つが当てはまればゲームのように楽しむことができる。


逆に、少し怖いことを書くけど、
誰かの楽しみを奪おうとする人は殴りつける必要なんてまったくなくて、
フィードバックを無くしたり、ゴールを無くすだけでいい。
僕はそんなこと絶対しないけどね!

こんな本でした。

「ゲームが大好きで心理学にも詳しくて
理屈っぽくて楽しいことが大好きなジェインさんが
大好きなものへの愛を語る」
みたいな本でした。


冒頭で紹介した文のような
「ゲームってこういうものだよ」という話とか、
「ゲームって今こんな感じになってるよ」
「よくできたゲームをプレイするのは自分の力を出し切れるから、
充実感を得られるんだよ」
みたいな話が序盤で出てきて、
その後は代替現実ゲームとかスーパーベターっていう
「現実をゲームのように楽しむ方法をいろいろ試してるよ」
っていう話に続きます。


実験を繰り返してるのが素晴らしいし、
この人はたぶん実験そのものをゲームのように楽しんでる。

こんな人に読んでほしい本でした

・ゲームが好き
・人間が好き
・今よりも日々を楽しみたいが、ゲームにたくさんの時間を使いたいわけではない
・今よりも日々を楽しみたいし、ゲームももっと楽しみたい
・今よりもっとひとを楽しませたい
・ほぼ日の 「わたし」を肯定する研究。- ほぼ日刊イトイ新聞 って記事を読んだ



今年は人におすすめされた本しか読まないようにしてるんですが、
この本はその中で「他の人にもおすすめしたい本でした。
分厚いから、流し読みでもいいのでぜひどうぞ!

カラー版 CD付 中学3年間の英語を10時間で復習する本を読んで。読書感想文というか学習感想文というか。

あのね、今週末TOEICを受けるので、
読書らしい読書は控えておりますの。


そこで、今回は英語の参考書的な本をご紹介。
CD付 中学3年間の英語を10時間で復習する本
。です。
読んだことある人はたぶん
「それな!」って言ってると思う。

「英語の勉強しーよぉっと」と思った時、わりと初期にしたこととして、
・英語学習系雑誌を見まくる
・「こうやって話せるようになった」という人のブログや記事を見まくる
・いろいろな英語学習系webサービスやアプリを見まくる
というのをやって、学習方法を模索したんです。


で、
「あ、あの本でもあの雑誌でもあのブログでもおすすめされてたぞ」
という本がいくつかあって、その中の一つがこの本です。
人がイイって言ってるからってそれが合うかどうかは別な話だけど、
少なくとも私にはマッチしましたよ。

どんな本だった?

「中高大学で英語を勉強してるのに、
  全然使ってないし、思い出せない。」
という人が最初に読むのにとても良い本です。
ああ!三単現の「s」!みたいなところから振り返れる。


中学校で習った英語をおおよそ10章にまとめた本。
大部分が会話形式なので、読みやすさについては意見が分かれそう。
ちょっとだけ小テストみたいなものもついてたり、
コラム的なものもあったり、という作りで飽きずに読めます。



前に
はじめてのTOEICを受けてみた37歳のお話。仕事的に必須でもないのに。 - うさみ日記
でも同じようなことを書いてるけど、
ちゃんとやろうとすると10時間では終わらないと思う。


あ、中学生の時にちゃんとまじめに勉強してて、
その後も英語を続けてる人なら10時間もかからないと思うけどね。

こんな人に読んで欲しい本でした

・英語の勉強をX年ぶりにしてみようと思っている
・昔勉強したことを確認したい
・実は今中学3年生だけど、もう習った内容が怪しくなってきた

試験が終わるまで本は読まないぞー

この「終わったら本が読めるぞ!」というのは、なかなかいい動機付けなんです。
これが終わったら小説とか読むのもいいな~。


必須栄養素みたいな本を読んじゃうことが多いこのごろですが、
小説なんかはデザートみたいな感じなんですよ。

アラン・ケイを読んで「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」って言葉はやっぱいいなー。と思った読書感想文。

アラン・ケイ (Ascii books)

アラン・ケイ (Ascii books)

「ずっと心に描く未来予想図はほら思ったととおりにふふ〜が〜ふ〜が〜ふふ〜ん」
と歌ったのはドリームズカムトゥルーの吉田美和さんですが、
こっちは思うだけじゃなくて
「実現する未来を言っちゃった」おじさん。


エンジニアでありつつ、エンジニア的な天才肌じゃないタイプで、
イデアを出す人であり、言葉の選び方がものすごくうまかった人。
アラン・ケイ


オブジェクト指向」「持ち運び可能な小型パーソナルコンピュータ(ダイナブック)」「コンピュータ・リテラシー」「Smalltalk
などなどの言葉を生んだ。


あ、なんか遠回しに書いちゃったけど、
この人が大好きで、この本も大好きだって話です。

どんな本かというと

どんな本かの前にどんな人かの話を書きます。
まだ今と違って巨大な計算機をみんなで共有してたころに、
「子供でも使えてノートくらいの大きさで手軽に持ち運べるパーソナルなコンピュータ。っていうかデジタルメディア」
「文章、画像、音楽みたいなものを個人が見たり作ったり編集したりするメディア」
とか言い出しちゃってた人なんです。


普通だったら
「未来を見てきた男」とか
「未来を言い当てた男」とか言われそうだけど、
そうじゃなくて、
「コンピュータの未来予想図を描いた人」なんだよね。


最も有名な名言は
「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ。」ですよ。
カッコよすぎる。


一研究員が、研究所の経営母体に
「将来何作んねん?なぁ、将来どないなんねん?」って言われ続けて言っちゃった言葉らしい。
それも素晴らしい。


この本はそんなアラン・ケイの三つの論文を日本語に訳したものと
「評伝アラン・ケイ」という文章をまとめた本。
もともと英語版でまとめられた本ではない。
なんでアメリカの誰もこの本を作ろうと思わなかったのか不思議。
てきとーに膨らませて映画化できそうなくらいの話なのに。


尾田栄一郎の前には鳥山明がいるし、鳥山明のはるか前には手塚治虫がいて…」
ジョン・フルシアンテの前にはジミヘンがいるし、ジミヘンの前にはマディ・ウォーターズB.B.キングがいて…」
ジョン・ラセターの前にはウォルト・ディズニーがいて…」
みたいな感じで考えると、
スティーブ・ジョブズの前にはアラン・ケイがいて、その前にはIBMが…」
みたいな位置の人だと思うんだよ。


違う点としては、
まんがやロックやアニメーション映画は、
その時々の人が先人の知恵を活かしつつ手探りで進んでるのに、
パーソナルなコンピュータの発展はアラン・ケイがあらかじめ「こうだと思うんだよね〜」って言ってたことかな、と思った。


当時の技術じゃ絶対できないことを言ってるあたり、
ビジョナリストとしてはジョブズ超えしてると思うんですよ。


この本読んでからシリコンバレーの歴史を調べてみたんだけど、
ゴールドラッシュ→スタンフォード大学から続くベンチャー気質→戦争と電磁波研究→シリコンバレー→端末とネットワークの発展→SNSとかの時代
っていう流れがほんとおもしろいのね。
個々人もおもろいけど、流れがおもしろい。
司馬遼太郎先生によみがえっていただいて小説にしてほしい。

こんな人に読んでほしい本でした

・「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ。」って、かっけーから今度パクろう、と思った人
ジョブズの名言「あなたと僕は未来を作るんです」っていいなー、と思ってた人
ジョブズファン
シリコンバレー史のファン
・「あしたっていまさッ!」とか言われるとドキィィッとするゥゥ!
邱永漢さんの「いまの大会社に行こうと思うな、未来の大会社に行きなさい。」ってすげー言葉だなーって思う
・あれ?ドラッカーの「未来を予測する最良の方法は、未来を創ることだ」とかぶってる?と思った人
アイパッドって便利だなー、と思う人


いやはや
またまた人におすすめしたい本に出会ってしまいました。
おすすめいただいた方ありがとうございます!

友達の数は何人?―ダンバー数とつながりの進化心理学を読んで。読書感想文。

人間は友人の数が最大150人。
というのが「ダンバー数」です。
友達の数は何人?―ダンバー数とつながりの進化心理学


こんな本でした。

ダンバー数」という概念を作ったロビン・ダンバーさんが、
そのダンバー数を基点に進化やら生き物やらいろいろなことについて書いた
科学エッセイみたいな本。


ダンバー数っていうのは

人間にとって、平均約150人(100-230人)が「それぞれと安定した関係を維持できる個体数の認知的上限」である

というやつ。
150人くらいまでしか仲良くできないよ。
という話。


Facebookのともだちが何千人いても、
実際にやりとりするのは150人くらいなんだよ。
ということはその150人とのやり取りを濃く楽しいものにしていくのがいいのかな?
と思う。


で、この「150」という数字に興味があって、
ダンバー数がどんな過程で「150だよね!」というところに落ち着いたのか
知りたかった私にはこの「科学エッセイ」っぽい作りはすこしだけ拍子抜けだったんです。
レシピ本かったつもりが「食べてみた本」だったみたいな感じ。


で、実証実験的には、以下のwiredの記事がおもしろかったです。
「ダンバー数」にFacebookで挑戦|WIRED.jp
本、関係ないけどね。


あ、なんかイマイチっぽい書き方してるけど、イイ本だと思うよ。
一夫一婦制の生き物の方が脳の発達がはやい話とか、
音やにおいの効果とか
「ほんとかよ」と思うような話も出てくる。

こんな人におすすめしたい本でした

・友達いっぱいいると思うけど、疑っている
・組織のグルーピングとかを日頃意識する必要がある
・コミュニティの運営とかを日頃意識する必要がある


いやしかし
「少人数で始めたころは楽しいけど、人が増えるとだんだんわけわかんなんくなる」
というのは、どこでもよく聞く話だよねー。

ゲームのルールを変えろ――ネスレ日本トップが明かす新・日本的経営を読んで。読書感想文。

ゲームのルールを変えろ――ネスレ日本トップが明かす新・日本的経営

ゲームのルールを変えろ――ネスレ日本トップが明かす新・日本的経営

キットカット好き?好き。
ネスカフェエクセラやらゴールドブレンドやらも飲む?飲む。
でも、そんな商品を作ってるのがこんなイカしたリーダーの率いる会社とは知らなかった。


こんな本でした

外資系企業の日本法人で、
原則としては外国人が経営者になるはずなのに、
日本人のプロパー社員で経営者になった人。


「失敗の定義は失敗から何も学ばないこと」
「先人の成功を繰り返し続けてはいけない」
「ブランドを強固なものにするにはニュースを作らなければならない」
「本物のリーダーはリーダーを作る」
などなど、名言多数。


どこかで聞いたことあるような言葉もあるのは、
それで成功してる人が他にもいるからだね。
それぞれがこの高岡さんという人の半生記の中で語られるから、
ちゃんと本人の言葉として響く。
とても真実味がある。
ただ名言を並べただけではないからね。


キットカットが入試のお守りになるのもただの偶然ではないし、
いろんな味のキットカットが出たのも、
オトナの甘さシリーズが出たのも、
全部ちゃんと物語がある。


とはいえ、これが全業種に当てはまるかって言うとそんなことないけども。

こんな人に読んで欲しい本でした

・仕事してる人
マーケティングとかブランディングとか勉強したい
・リーダーとは、とか、経営とは、みたいな話に興味がある
キットカットが好き
ネスカフェアンバサダーみたいな仕組みでちゃりんちゃりん儲けたい
・マギーブイヨンがネスレ製品だったって知らなかった

多湖輝さんのホイホイ記憶術を読んで、記憶力はつくのか、ということを知ろうと思いましたんや。という読書感想文。

[追悼・多湖輝]ホイホイ記憶術

記憶力ないんです。
と言ってはやウン十年。
「物忘れがものすごくいいんです」
と言ってたこともあります。


覚えられないことを前提にして仕事をしていると、
メモをとったりパソコンに片っ端から記録したり、
という仕事スタイルが身について、
これはこれで便利です。


でも、実は記憶力悪くないんじゃないの?
と、ふと思ったんです。


ほら、趣味関係のことだとやけに物覚えいいし、
仕事でも繰り返し使うようなことは忘れないし、
宅建だって取れたし、
日本語の単語なんてとてつもない数を覚えてるしね。

どんな本?

著者は頭の体操シリーズの多湖輝さん。
脳とか記憶とか超詳しそう。
100いくつかの記憶に関するTipsが書いてあるので、
スラスラ読めます。


いくつか記憶に残ったことを書くと
・覚えられないんじゃなくて、覚えようとしてない
・興味があることは覚えられる
・空腹時と満腹時は記憶力がにぶる
・間を開けずに繰り返し記憶しようとすると覚えられる
・ごちゃっとしたものはグループ分けすると覚えやすい
・自分で音読&録音してそれを聞くと覚えやすい
・いくつかのものを関連付けして覚えると覚えやすい
・覚えることそのものだけでなく、周辺も覚えようとすること
・覚えなくていいことはメモ
・ストーリーだと覚えられる
・歴史はかってに劇画調に記憶する
・復習は10日後に1時間より9時間以内に10分
とか。


まあ、とりあえず
「実は記憶できる」
ってことを意識して暮らすだけで違うらしいので、
なんかやってみようかと思います。


「記憶力がある、ない」というよりも、
「記憶したいと思ったことが多かったか少なかったか」
みたいな話でもあるんだよきっと。
もちろん、覚えなくていいことは覚えないけどね。

こんな人におすすめできる本でした

・たくさんのことを記憶しないといけない
・たくさんのことを記憶したい
・「記憶力」がある人とない人の違いが気になる
・頭の体操読んでたわー、なつかしわー、という人


ちなみに多湖輝さん、
今年の3月に90歳で亡くなられましたね。
合掌。