うさみ本棚

うさみの本棚です。おすすめされた本を読みますので、おすすめ教えてください!

佐野眞一さんの「渋沢家三代」を読んで。読書感想文。

渋沢家三代 (文春新書)

私、むかし埼玉県深谷市というところに住んでたんですよ。
たしかそのころ駅前には「渋沢栄一翁生誕の地」とかの横断幕がかかっていたような。
理系の学生だった私はそれを見て「誰?」と思っていたものでした。


その後いろいろなところで名前を見かけて、
どういう人なのかうっすら理解しました。
銀行とか会社とか作った人ね、と。
なんだか、つかみどころがない感じだったからうっすら理解になった。


この本を読んで、なんでうっすらしか理解できなかったかわかった。
実績残しすぎ。ここからは敬称略で失礼しますが、
栄一、いろいろやりすぎ。


あのね、栄一ってば若い頃、
幕府、ぶっつぶすつもりだったらしいの。
ガイジン、やっつけようと思ってたらしい。
とりあえず高崎城乗っ取って足掛かりにしようと相談していた。
でも、従兄が全力で止めたからやめたのね。


これが1863年のこと。
この時に実行しちゃってたら死んでたかもしれん。


で、その後いろいろあって、一橋さんとこの慶喜さんの部下になるのよ。
水戸の一橋家。
徳川御三家の。


ちょまちょまぶっ潰そうと思ってた先方やーん、と思いつつ、
いろいろあって。
んで、仕事できる人だからバリバリやってたら、
1867年のパリ万博にいく慶喜さんの弟のおともの一団に加わることになって、パリに行く。
いろいろあって。


もちろん当時のことだから船に乗って何日もかけて行くんだけど、
その時の日記によるとパンにバター塗ってベーコン食ったり魚鳥豚牛羊などの肉食べたり、
「食後にカッフヘェーという豆を煎じた湯を出す。砂糖と牛乳を混ぜて飲む。たいへん、胸をさわやかにする。」とか書いてある。


日本ではまだ池田屋事件ー!!とかやってるくらいの時期に、洋上でカッフヘェーうめえ。と。
その頃はお財布担当で。


んでフランスにいる間に雇い主の幕府無くなっちゃったりして、帰ることになって。
国に帰ってみたらこんどは頼まれて明治政府のお金刷ったり、大蔵省的な。官僚になっちゃったりして。
いろいろあって。


こないだまでは幕府のボスのお財布担当だったけど、今度は明治政府のお財布担当やっちゃうよっ!つって。
(実際には言ってません)。
まあ、いろいろあって。


と思えば政府きっついわーって辞める、と思えば、
第一国立銀行やら商工会議所やら証券取引所作っちゃって。
あとは福祉系のとか大学何個かとか作ったり。
企業も500個くらい作っちゃったりとか。
なんでって、いろいろあって。


岩崎弥太郎さんとかと比べるとまあ欲がなくて、お金儲けをしていない。
もちろんそれなりにイイ暮らしはしてるんだけど。

「世界を良くしたい欲」が強くて私利私欲がなくて、経歴的には大金ボロ儲けしててもおかしくないのにそれをしない。


偉人。まさに偉人。


あ、んで、息子が人からは愛されてたけどわりと放蕩息子で頭を悩ませたり、
孫が継ぐかと思えば研究に勤しみすぎて財産使い果たしたり、とか。
そんな三代でした。


そこまで含めて愛せる三代。
発展途上の一国に1人はほしい人、そんな人です渋沢栄一


**どんな本かといいますと
上記のは骨格部分というかごく一部で、
こんな一家のドタバタコメディかっていうくらいの奮闘記です。
ドラマティックがとまりません。
まんがみたいな人たちです渋沢家。


実家が藍玉と養蚕の図太い農家で、
そろばん弾きまくって幕府で役に立つ。他国にも渡る。
農民から武士になって幕臣になって官僚になって起業家になって、という各パートに全て過去の経験がいきている。



いや、これ過去の経験だけでこんなにすごいことになる?
宇宙人説とか過去に転生した未来人説とかあるよ。
それなら理解できるなー
「官僚が転生したら幕末の農家の息子になったからちょっと経済を近代化してみた件」
とかだよきっとこの人。


**こんな人に読んでほしい本でした
渋沢栄一について知りたい
・日本の幕末前後あたりのおもろい本が読みたい
・武士武士してない歴史が知りたい
・「なんで超優秀な親の元でいまいっちょな子が…」みたいなことを思ったことがある