生きているといろんな場面で気になる言葉ってあるじゃないっすか。
誰々さんが言ったあの言葉とか、
なにかの本に書いてあったこととか、
ラジオから流れたあの話とか。
そんなのってすぐに目の前から流れて行ってしまうのだけど、
いつもよくよく考えてるひ人は、その言葉から発想を広げていく。
流れていくのをわざわざ拾い上げて見つめて見つめて見つめる。
それを文章にまとめたような本です。
そんな話を読むのはとても面白い。
それはそれは面白い。
何かのことを大好きな人からその「大好きなもの・こと」の話を聞くのが超面白いように。
で、この本はバンドマンとしてデビューして、その後作詞家・音楽プロデューサーとして活躍している
いしわたり淳治さんという人が書いた本です。
言葉について日常的に考えている人が、日々の中で触れた言葉について思ったことを書いている。
ものの見方が違う。
ものを見る角度も違うし、ものを見る深さも違う。
私が256色の平面で世界を把握してるのに、
すごい人は3Dスキャナーで全方位をリアルタイム分析しながら見た上にレントゲンと心電図も撮っているくらい深く見ている。
たとえば一番最初の文は瑛人さんというシンガーソングライターの「香水」と言う曲の話。
あれあれ、あのドルチェアンドガッバーナのやつ
ついつい「どーるちぇあーんどがっばーなーのあの」のとこがテンポ良くて歌いたくなるよねーみたいなことを言いたくなるけど、
いしわたり先生は「五感のどれに作用するか」みたいなことに注目する。
視覚83%、聴覚11%、嗅覚3.5%、触覚1.5%、味覚は1%
と言うのが人間の知覚の割合、というたまに聞く研究結果があるけど、この曲は「香水」が嗅覚を刺激するし、「ドルチェアンドガッバーナ」が聴覚を刺激するワードで、それがこの曲を特別なものに変えている、とか。
「フィクションで歌詞を作る人には視覚中心のものが多いけど、実体験に基づく歌詞作りをする人には視覚以外が多い」みたいな話もとても興味深い。
見てきたような話、というのは作れるけど、
嗅いだような、触ったような、聴いたような話ってのは難しいのかもね。
**どんな本ですか?
日常的に言葉のことばっかり考えている作詞家が、
日々気がついたことを書いた連載をまとめた本です。
**こんな人におすすめしたい本です
・言葉に興味がある人
・言葉に興味がある人に興味がある人
・歌詞づくりのセンスみたいなものを学びたい人
・日々言葉を使う人
ちなみにネットの連載をまとめた本なので、
実はオリジナルがここ大ヒット中の瑛人『香水』 ポイントは嗅覚と聴覚を刺激する歌詞? | 朝日新聞デジタルマガジン&[and]にあったりする