孤独、暗闇、飢餓。これらは人間が本能的に嫌うものである。
群れで生きる生き物だし、昼間活動する生き物だし、食べないと死んじゃうからね。
で、この本ではその中の「孤独の恐怖」をたっぷり味わえた。
生き物はいても人間は自分だけという世界。
世界で最後の人間が自分かもしれない恐怖。
恐ろしい害獣に命を奪われるかもしれない恐怖。
少し前までは普通に(とはいえその普通がぶっ飛んでるんだけど)暮らせていたのに。
なんのために生きているのか考える日々。
それでも日は昇るし腹は減る。
どんな本?どんなとこがよい?
一言で言うとバイオ系ディストピアSF。
巨大ロボットも宇宙戦艦も出てこないけど、
遺伝子組み換え作物も遺伝子組み換え生物もじゃんじゃん出てくるのが面白い。
細かい技術設定みたいな話はぜんぜん出さないけど、
妙にリアルなのがすばらしかった。
世界が崩壊していく様の描き方もうまい。
改造生物みたいなのがたくさん出てくるんだけど、
「まんがに読者がハガキで応募した」みたいな、
いろいろなバリエーションがあってちょっとおもしろい。
映像化したらほとんどCGになりそう。
とはいえ、派手なアクションシーンとかはほぼないから
映画になっても地味かも。
あと、読み終わって思うことは、話の構成がよくできていたってこと。
現状を少しずつ見せていって、
過去の回想を織り交ぜながら、
その「過酷な現状にいたった経緯」を見せていく流れ。
ミステリーっぽいつくり。
人間の欲望も細かいところまで描かれている。
どんな人に読んでほしい本?
SF好きだけど機械系しか読んでない人。
ミステリ好きな人。
バイオハザード好きな人。
映画のアイアムレジェンドが好きな人。
あたりの人はいいかも。
ちなみに3部作の第1作目らしいんだけど、
残り2冊は未訳だそうです。
どうしよかなー、英語の読もかな~。