うさみ本棚

うさみの本棚です。おすすめされた本を読みますので、おすすめ教えてください!

西寺郷太著「プリンス論」を読んで。

プリンス論 (新潮新書)
ノーナ・リーヴス西寺郷太さんというか、
名著「マイケル・ジャクソン」の著者の西寺郷太さんのプリンス論です。


私、プリンス詳しくないんです。
タイトルと曲が一致するのってパープルレインとエンドルフィンマシーンくらい?
あとバットマンのとか?
あ、S.S.Tもわかる。あのチャリテイのやつ。あれはすごく好き。


この本は
「プリンス、何から聴こうかな」
という問いに答えが出る本です。

どんな本でした?

プリンスの幼少期から2015年くらいまでのことが時系列っぽくまとめてある本。
プリンスは非常に多作なので、プリンスの人生がアルバムや曲のタイトルに埋もれているような構成。
時々自分の話とかその時代時代の話に飛ぶけど、雰囲気が伝わってきて楽しい。


序盤に出て来る
プリンスってどんなアーティストか聞かれたら
『プレイヤーとしてだけ見てもドラム、ベース、キーボード、ギター、ボーカルのどれも一流で、
さらに作詞作曲もできて、自分の曲はもちろん、楽曲提供した曲でも大ヒット曲も多数。』
って答える。みたいな話を読んで、改めてすごいなーと思った。
この人、パラメーター設定がどう考えてもおかしい。
マルチプレイヤー過ぎる。


上にあげたS.S.Tという曲は2005年のハリケーン被災者へのチャリティシングルで、
ハリケーンの一週間後には全部自分で演奏して歌も歌ってリリースして、
しかも超スバラシイ曲で、かつチャリティソングなのにポップ。というのが好きです。
暗くもほわっと優しくもせず、ポップなチャリティソング。


この本は1~6章に分かれているんだけど、
徐々に盛り上がります。
人生のいくつかの場面をピックアップして、
文章に落とし込んだような感じ。


黒人ミュージシャンがまだ今ほど世に出ない時代に
MTVに出るまでの話。
We Are The Worldの話。
人種差別や災害と言った、世の中の状況。
グラミー受賞、、グラミーのプレゼンターをやったエピソード。
マイケル・ジャクソンとの対比。
時代時代の恋愛や結婚などなど、
おそらく当時は「ただの出来事」だった一つ一つが、
一本のストーリーとしてまとまって読めます。


本当に多彩なアーティストで、
かつ一人の人間だったんだなー、
と思います。


この「偉人も一人の人として苦悩する」って、
偉人のことを書いた本だとよくあるテーマだよね。
マイケル・ジャクソンももちろんだけど、
チャールズ・リンドバーグとか、
スティーブ・ジョブズもそうだよね。

こんな人に読んで欲しい本でした。

・プリンスって名前は聞いたことあるけどyoutubeとかにもないし
 なにから聴いたらいいかわかんない、という人
・プリンスの曲、聴いたことあるけど、最近聴いてないなーと言う人
西寺郷太さんの文章のファン
・80's が好き
・「天才」と聞くと興味がわく

23区格差を読んで。感想文。

23区格差 (中公新書ラクレ 542)

なんだかいろんな「格差」が気になって、
23区格差って本を読んだんですよ。
23区に住んでるわけでもないし、今後も住むつもりないくせに。
だって、気になるんだもん。

どんな本でした?

むちゃくちゃ東京に詳しいおじさんが、
各種統計やさまざまな情報を活かして
23区をジャンル別に格付けしていくぜ!
みたいな本です。


一番最初に出てくる「表1」は、
「23区の中で場所がわからないランキング」
というやつ。
しかも後半ではその順番に「ABCDランク」を付けて
各区をズバズバ斬りまくります。


単純に人が多ければいいわけでも、
子供が多ければいいわけでもないし、
それぞれの区にそれぞれの特徴がある。


あ、もちろん
「住めば都」という話があって、
実際住んでみるといろんなことがあるんだよね。


あと、
「犯罪が多い区というイメージがあるけど、それって本当?」
みたいな視点が出て来るのがいいんです。
・面積で割るとどうか
・人口で割るとどうか
・昼間人口/夜間人口で割るとどうか


例えば
中央区は緑が多い」
という統計があるけど、
実は浜離宮恩賜庭園がドでかいだけだぜー、
あそこ有料だし、あれを抜いたらそんなに多くないぜ―、
みたいな話とかね。

こんな人に読んで欲しい本でした。

・東京23区に住んでいる
・東京23区のどこかに引越ししようと考えている
・23区が好き
・23区内のメジャー商店街に片っ端から行きたい
・なんとなく「正しい統計」の勉強がしたい
・物事を疑わないので、統計を疑うコツが知りたい

「コンテンツの秘密―ぼくがジブリで考えたこと」を読んで。読書感想文。

コンテンツの秘密―ぼくがジブリで考えたこと (NHK出版新書 458)

白黒つけたい理系出身コンテンツ会社の経営者の人が、
スタジオジブリ鈴木敏夫プロデューサーに弟子入りした。
んで、コンテンツって何?情報量って何?クリエイターって何するの?
と、いろいろ考えて定義しまくる。という本です。


とても共感できるところと、
んー?そうなのー?みたいなところがある。
でも、これは映像なり文章なりいろんなスタイルで表現する人は
一回読んどいていい本でしたよ。

どんな本なの?

この本の話をするにはまず
「定義とは」
という話をする必要があるんです。


定義とは

定義(ていぎ、英語: definition)は、一般にコミュニケーションを円滑に行うために、ある言葉の正確な意味や用法について、人々の間で共通認識を抱くために行われる作業。一般的にそれは「○○とは・・・・・である」という言い換えの形で行われる。基本的に定義が決められる場合は1つである。これは、複数の場合、矛盾が生じるからである。

(出典:wikipedia)
定義 - Wikipedia


んで、川上さんがこの本で試みたのは、
「コンテンツ」「クリエイター」「クリエイティブ」「情報量」みたいなものを
考えて考えていろんな詳しい人に聞いて考えて考えて、
定義し直して、という過程をまとめたことなんです。


どっからどこまでクリエイティブなコンテンツなの?とか、
アニメと実写だと実写のほうが情報が多く見えるのになんでアニメで作るんだろう、とか、
あれ?それってワンパターンってことなんじゃないの?とか。
いい意味でネチネチと調べ続け考え続けてた本です。

こんな人に読んで欲しい本でした。

実写やアニメーションといった映像や、
小説やまんがや音楽や落語といった表現をする人、
クリエイターさんは見てもらえると何かしらの学びがあります。
もちろん、この人の理論がイマイチはまらないものもあるけど。


あと、作り手側だけじゃなくて、
受け手の人でも読むと、
モノの見え方が変わって、
元々とは別な面白さが見えてくると思う。


それと、「単純にジブリ作品のファン」という人は読んでから過去作品を見ると、
あー!そういうこと!と納得できると思う。


他の本も読んでみようかな―、と思うような本でした。

司馬遼太郎先生の「峠」を読んで、読書感想文。

峠 上・中・下巻セット (新潮文庫)

漢字的には「山、上、下」と書いて「峠」ですね。この文庫版は上中下巻です。


物語としても序盤で成長して、
中盤で実力を発揮し出世して、
終盤では時代の流れに押し流されまいとしながら、
ぐいぐいぐいぐい流されていく。


ロックすぎる人生でございます。
でもしっくり来る音楽も見当たらないような人。
石みたいに転がりますが、根が無いわけでもなく、
成り上がるものの、成り上がったうまみをすするわけでもなし。

どんな本でしょうか?

幕末の越後長岡藩生まれのある人の一生を綴った小説。
派手に勉強して、派手に遊んで、派手に仕事して、派手に戦争に突入。
なにかにとり憑かれているんじゃないかってくらい行動力があり、
ストイックで力強い(腕力はあんまりなさそうだけどね)。


なににとり憑かれていたかというと
陽明学」「長岡藩」「幕末」の3つ。


陽明学」というのは
某トー◯ツ・イノベーションのセミナーでよく聞く
知行合一」というのを言った人の学問
長岡藩」というのはこの人が生まれ育った場所であり、
武士であったわけだからある意味雇い主であり、自分が帰属するもの。


「幕末」は、一時代だけども、時代の空気みたいなもの。
今見ると「なんでそうしちゃうの?」と思うけど、
既存システムがガラガラと音を立てて崩れ落ちる時代。
そうする背景があったんだよな。


物語の序盤で主人公が
「勉強しに江戸まで行ってくる。信濃川の少し先くらい。」
とかなんとか妻に行ってから、雪の三国峠を越えていくのがすごい。


あ、でも、この「越えた峠」は実際には三国峠じゃなくて、
碓氷峠だったりするらしいね。
会ったことになってる福沢諭吉河井継之助が実際には会ってなかったり、
史実と違う部分もあるらしい。


福沢諭吉と話し込むシーンは見せ場の一つだから入れたのはわかるけど、
なんで碓氷峠じゃなくて三国峠にしたのかは謎だな。
今で言うと新潟県から直接群馬県に入るか、
長野県側から回り込むか、くらいの差がある。


直線距離が近いから三国峠
どっちにしろ実際歩いて行ったら死ぬほどキツそうだけどね。
スキー場で遭難した後、泊まりつつ旅して東京にたどり着いちゃうくらいすごい。
ふつう死んでるよなー。

こんな人に読んで欲しい本でした

・幕末ものなら片っ端から読み倒したい
司馬遼太郎なら片っ端から読み倒したい
・日本史ものなら 片っ端から読み倒したい
・行動力がない
・行動したい気持ちはあるが、これやっちゃうとまずいかもなーって悩む
・先を見据える目を持った人にあこがれる
・組織の中でもなんかできることねーかなーと思う
新潟県民のみなさん
・東京都民のみなさん
横浜市民のみなさん

川村元気さんの「億男」を読んだり、立川談志さんの「芝浜」を聞いたり。

億男
ふだんあんまり映画を見ないんですが、
「映画 立川談志」を先日見ました。
朝の中央線社内、スマホのちっさい画面で見てみました。
「芝浜」っていう落語がまるまる一本入ってるやつ。


おかげで朝からニヤニヤしたり泣きかけたりした。
テレビの連続ドラマって、なんだかめんどくさくて見ないんだけど、
落語鑑賞はちょっと興味あるな。
一本見ても映画ほど長すぎなくていい。


あ、で、そっちじゃなくて、
本の話でした。
億男。
ドでかいお金は人をどう変えるか、お金ってなんだ?という話。
超面白かった。

どんな本かといいますと

しばらく前にブルータスかなんか雑誌で連載されていた小説。
主人公は3,000万の借金があって、図書館とパン屋で働いている男。
妻子あり、ただし別居中。
んで、宝くじ買ったら3億当たるんだけど、友人に持ち逃げされてさあ大変。


そこから3億を追う旅が始まる。
持ち逃げした友人につながる人に一人一人話を聞く、
そのたびに縮まってるのか縮まらないのかよくわからない距離。
はたしてたどり着けるのか!?
3億円は取り戻せるのか。


というようなストーリー展開なんですが、
この、「つながる人達」のキャラが一人一人異様なほど立っていておもしろい。
誰かから要素を抽出してデフォルメしたみたいな、
濃いキャラ揃い。

こんな人に読んでほしい本でした

・お金が欲しい人
 (注:読んでもお金が手に入るわけではありません)
・お金ってなんなのか知りたい人
 (注:お金がなんなのか解説した本ではありません)
・「エンデの遺言」を読んだことがある
・好きな歌は浜田省吾の「マネー」
・好きな歌は爆風スランプの「カネ(マネーに捧ぐ)」
・好きな歌はピンクフロイドのMoney
・好きな歌はマドンナのMaterial girl

椎名誠さんの3匹のかいじゅうを読んで。

三匹のかいじゅう (集英社文庫)

僕には清水君というしばらく会っていない親友がいる。
清水君は騒がしい男で、
歩いてるか走ってるか怒ってるか笑ってるか寝てるか、みたいな、
座右の銘が「風林火山の林と山抜き」なんじゃないかと思うような人。


そんな清水君、実は読書家で、
まんがや雑誌と同じくらい「文字ばっかりの本」を持っていた。
一時期のブームが椎名誠さんの「あやしい探検隊シリーズ」だった。


それから、僕は椎名誠さんの私小説やら旅行記やらエッセイやらSF小説やらを読み倒すことになる。
その後、特に理由もなく突然ぱたりと読まなくなる。


そんな椎名誠さんがいまや祖父になっていて、
孫との関わりを元に私小説を書いていることを友達のブログで知って読んでみた。
とても面白かった。

どんな本?

祖父が孫を溺愛する私小説です。
読んだ人にとっては、椎名さんの私小説の続編。というと伝わると思う。


「愛が強い人から、その愛する対象についての話を聞くのは楽しい」
というのは、前から思ってることなんだけど、
この「孫愛」も読んでいて楽しい。


例えばアイドルが大好きでしょうがない人から、
その愛するアイドルの話を聞くのは楽しい。
仕事大好きな人の「サービスとは」みたいな話。
サッカー大好きな人から聞く好きなサッカー選手の話。
旅行好きな人の「いい旅の基準」の話。
ロック好きな人の「宇宙人にロックを説明するとしたらなにを聞かせるか」の話。
みんな楽しい。


自分の知らない世界があるのを感じる。
世の中にはいろんなものを愛している人がいて、
それぞれの対象に対してはとても雄弁になる。


あらすじとしては、
離れて暮らしていた息子一家が近所に引越してきて、
なんだかんだ孫の世話を見る機会が多くなる。
というお話。
著者の特徴としてサラっと読めて胃にももたれません。


「みんなでごはんを食べるシーン」が印象的。
椎名誠さんのどの本に関しても言えることだけど、
ごはんシーンが好き。

どんな人に読んで欲しい?

・孫との付き合い方がわからないけど、もうちょい絡みたい祖父母
・いつか孫を授かるかもしれない父母
・自分自身が孫で、祖父の視点を知りたい人
椎名誠さんファン
・時間があって、サラっと読めてもたれない本を読みたい
・手巻き寿司のある風景を文章で読みたい


こんなに長い期間読み続けられてる作家さんも珍しい。
ロールモデルがいないはずの「父」や「祖父」を本人がやってるのが楽しい。

三谷 宏治さんの戦略読書を読んで。読書感想文。

戦略読書


「本を読むときには考えて選びましょうねー
 手当たり次第に読んじゃうと、
 ビジネスやらなにやらに生きてこないですよー。」
という事を、実際にオススメの本とともに紹介してくれる本です。

どんな本なの?

子供のころSFとかいろんな本を読みまくってた人が、
その後社会人になっていろんなビジネス書を読んできた上で、
「こうやって本を読むといいんじゃない?」
とまとめてみた。
という本です。読書法。


おもしろかったのが、
「社会人になりたての頃から数年間で、こうやって本を読むと、
 基礎から応用まで知識が身について、
 かつ、こんなところを気にすると他人にできない発想ができる人になるよ!」
というのを、「読書ポートフォリオ」というもので説明してくれるところ。


社会人1年めはまずこれこれこの本を読んで、基礎を身につけなさい。
2年めになったらこんな本を読んで、基礎の上に骨組みを作りなさい。
3年めを過ぎたら、同僚が読んでないはずのちょっと変わったこんな本を読んで少し違う視点のものの見方もできるようになりなさい。
という流れでまとめてくれています。


こういう書籍を紹介する本というのは、
ジャンル別で説明してたり、
著者の関連順やら時系列やらで説明してたりするんです。
でもそれって、読み手の都合を考えてない話。


栄養バランスとか、ダイエットみたいだよね。
基礎代謝を上げるために筋肉をつけようぜーとか、
高くジャンプできるようになりたければどんなトレーニングしようぜーとか。


そうそう、ちなみに私は本を選ぶときに、
最近読んだ本のバランスを考えるようにしています。
知識の栄養バランス。


もちろん、甘いものばっかり食べちゃうみたいに
好きな本ばっかり読んじゃうときもあるけど。
その後には帳尻を合わせるように、
地味だけど知恵が身につく本を読んだりする。
気分転換にもなるし、そういう読み方のほうが
内容がちゃんと入ってくると思う。


そして、この人も書いてるけど、
幅広く読むと、まったく関係ないような話を読んでるときに、
他のポイントでの気づきがあるんです。
そうなってくると面白い。

こんな人に読んで欲しい本でした

・社会人として成長したい
・ビジネス書とか、ちょっと読んだほうがいいかなーと思うけど
 何から読んだらいいのかわからない
・いろんな人に会うにはお金がないが
 本を買うお金はある
 (あるいは近所に図書館がある)
・ビジネス書とかにはぜんっぜん興味無いけど、
 SFとかストーリーものとかの面白い本が読みたい
・とにかく本をオススメしまくってる本が読みたい