いいアルバムだけど、一番好きなアルバムではない、
みたいなことってあるじゃない?
超好きなアーティストだけど、新譜を聴いたらうーん、なんか物足りない、
と思うようなこと。
あるいは大好きな牛丼屋さんにいつもと違う時間に入ったら、
うーん、おいしいけどなんかいつもと違う。
と思うようなことって。
そんな感じの小説だったんですよ。
いや、むちゃくちゃおもしろいんですよ。
普通に考えたらむちゃくちゃおもしろい。
ただ、いままでのがおもしろ過ぎたから、
麻痺してしまってこれがもうふつうに感じるんですよ。
きっとね。
これを無名の新人が出したとしたら、
おー!すっげー人きたわー!他のも片っ端から読まなきゃー!
と思うか、
「おや?村上春樹氏のフォロワーさんかしら?」
って思うと思うんだよね。
だって、昭和の村上春樹とそっくりだもの。
時代に合わせて云々とかじゃなくてね、
前作よりも面白いものを読みたいじゃないですか。
一皮もニ皮も向けたような本が読みたい。
前よりも面白いものが読みたい。
カズオ・イシグロさんの
「わたしたちが孤児だったころ」
を読んだときの気持ちに近い。
もっともっと面白い本が読みたいだけなのよ。
どんな本ですか?
仲良し五人組からはじき出された人が、
痩せるほど悩んで、
そのあと真相がわかる、みたいな話です。