うさみ本棚

うさみの本棚です。おすすめされた本を読みますので、おすすめ教えてください!

SUPER BETTERを読んで、読書感想文。というか、読み終えたけど終えきれなくて。

スーパーベターになろう!──ゲームの科学で作る「強く勇敢な自分」 (早川書房)
おい、これを見てる君、
人生変わっちゃうかもしんない本だよこれは。
人生観じゃなくて、人生変わっちゃう。


君がもし自分自身に不満を持っているなら、
この本を読んで、スーパーベターってゲームをプレイするとよいよ。

どんな本?

いきなりですが、
本じゃなくて、ゲームの説明書と言っていい。


ゲームのハードウェアは自分の体と現実社会。
ゲームのソフトウェアは自分の頭と君の持つ人間関係。
大きなルールは簡単で、自分が自分に対して
「自分のこういうとこをよくしたい」と思う点をゲームを通してよくすること。


著者の人はケガをした後遺症で
なにもかもうまくいかねーなーと思ってたときに、
自分を改善するために家族や友達に少しずつ
「クリアできるくらいの課題」を出してもらったんだって、
んで、その課題をクリアして、次の課題も出してもらってクリアして、
だんだんよくなっていったんだって。


そしてそれから、この方法に「SUPER BETTER」というゲームとしての名前を付けて、
いろんな人にこの「SUPER BETTER」をおすすめして、
やってもらっている。という話。


怪我をした人や、死に向かう病と戦う人。
ダイエットしたい人、運動しなきゃなーと思ってる人。
いろんな人がいろんな困難に
「ゲームとして」立ち向かっていきます。


そして
「苦しい戦い」ではなくて、
「楽しくて達成感のあるゲーム」として、
乗り越えていくんですよ。
すげー話だよ。


んで、この本にはたくさんの
「SUPER BETTERのタスク」が載っているんだけど、
これをすべてやってるとすごい時間がかかるの。
だから読み終えたけど、終わった感はまだない。
これからも読み続けるというか、プレイし続ける本だなー、と思うんだよ。


本じゃなくてマニュアル。
プレイするかどうかは、あなた次第です!

こんな人に読んで欲しい本でした

・乗り越えたい壁があって、それを越えるのは苦しいことだ、と思っている
・ゲームが好き
・なにごとかに深く深く集中しているとき、ちょっと気持ちいいと思う
・最近「達成感!」みたいな思いをしていない
・最近おもしろいゲームをやってない
・できるものなら楽しみたい


もしもう読んでて、
SUPER BETTER仲間を探してる人がいたら、
ぜひ声をかけてくださいねー。


ちなみに、
ジェイン・マクゴニガルさんの「幸せな未来はゲームが作る」を読んで、読書感想文。 - うさみ本棚
を前に読んでて、この人の本はこれが2冊目。
友達がtwitterで買った話をしてたりして、気になってたので読んでみました。
なんかおすすめの本があったらみなさん教えてくださいね。

ガダラの豚を読んでびびった。読書感想文。

中島らも『ガダラの豚』全3巻セット (集英社文庫)

なんというか「絵柄が好きじゃないけど読み続けちゃうまんが」ってあるじゃないですか。
生理的にダメな感じなんだけど、読み始めるとずぶずぶ読み進んじゃうような。
これはそんな小説で、怖いもの見たさでずずいと読み進んでしまう物語です。

どんな本でした?

人におすすめしたくなる本でした。
相手を選ぶけど。


暴力、宗教、大自然、
アル中、シャブ中、ヘリコプター、
呪術に奇術に超能力、
細菌と毒と寄生虫
全部入ってます。
むしろもっといろいろ入ってます。


主人公がかっこよくないのがまたいい。
50代のお腹が出た肛門みたいな口のおじさん。
しかもアル中。
その妻も情緒不安定
(後半むちゃくちゃ安定するけど)。


しかもこの主人公のおじさんは
「なんでこの人が主人公?」
と思わせるほど期待をしっかり裏切り続ける。
時々いいところを見せるけど、
基本的に他人が働いてばっかりいる。
まあ、だからこそあの終わり方なんだな。


それにしても、
どれほどの資料を調べてこれを書き上げたことでしょう。
アル中についてはもともとお詳しかったのでしょうけど。


作ったプロセスにも興味がある。
この話はどこから作ったんだろう。
設定ありきなんだろうか。


目を背けたくなるような恐ろしい世界って
うっすい壁一枚の向こうにあったりするんだろうなーと思わせる力がある本。
ちゃんと情報が整理されていて、
すーっと読み続けられるエンターテイメント作品。
勢いだけで書いてないのが素晴らしい。

こんな人に読んでほしい本でした

・ふつうのミステリーはちょっと読み飽きた
・派手な銃撃戦とはちがう戦いが見たい
・世の中きれいごとばっかりじゃないよねー、みたいな本が読みたい
・アフリカに行ってみたい
・新興宗教を立ち上げたい


ちなみに、私は中島らもさんの小説は「今夜、すべてのバーで」しか読んだことがなかったので、
これを読んで改めて他も読んでみようと思いました。
おすすめしてくれた清水君に感謝!

西寺郷太著「プリンス論」を読んで。

プリンス論 (新潮新書)
ノーナ・リーヴス西寺郷太さんというか、
名著「マイケル・ジャクソン」の著者の西寺郷太さんのプリンス論です。


私、プリンス詳しくないんです。
タイトルと曲が一致するのってパープルレインとエンドルフィンマシーンくらい?
あとバットマンのとか?
あ、S.S.Tもわかる。あのチャリテイのやつ。あれはすごく好き。


この本は
「プリンス、何から聴こうかな」
という問いに答えが出る本です。

どんな本でした?

プリンスの幼少期から2015年くらいまでのことが時系列っぽくまとめてある本。
プリンスは非常に多作なので、プリンスの人生がアルバムや曲のタイトルに埋もれているような構成。
時々自分の話とかその時代時代の話に飛ぶけど、雰囲気が伝わってきて楽しい。


序盤に出て来る
プリンスってどんなアーティストか聞かれたら
『プレイヤーとしてだけ見てもドラム、ベース、キーボード、ギター、ボーカルのどれも一流で、
さらに作詞作曲もできて、自分の曲はもちろん、楽曲提供した曲でも大ヒット曲も多数。』
って答える。みたいな話を読んで、改めてすごいなーと思った。
この人、パラメーター設定がどう考えてもおかしい。
マルチプレイヤー過ぎる。


上にあげたS.S.Tという曲は2005年のハリケーン被災者へのチャリティシングルで、
ハリケーンの一週間後には全部自分で演奏して歌も歌ってリリースして、
しかも超スバラシイ曲で、かつチャリティソングなのにポップ。というのが好きです。
暗くもほわっと優しくもせず、ポップなチャリティソング。


この本は1~6章に分かれているんだけど、
徐々に盛り上がります。
人生のいくつかの場面をピックアップして、
文章に落とし込んだような感じ。


黒人ミュージシャンがまだ今ほど世に出ない時代に
MTVに出るまでの話。
We Are The Worldの話。
人種差別や災害と言った、世の中の状況。
グラミー受賞、、グラミーのプレゼンターをやったエピソード。
マイケル・ジャクソンとの対比。
時代時代の恋愛や結婚などなど、
おそらく当時は「ただの出来事」だった一つ一つが、
一本のストーリーとしてまとまって読めます。


本当に多彩なアーティストで、
かつ一人の人間だったんだなー、
と思います。


この「偉人も一人の人として苦悩する」って、
偉人のことを書いた本だとよくあるテーマだよね。
マイケル・ジャクソンももちろんだけど、
チャールズ・リンドバーグとか、
スティーブ・ジョブズもそうだよね。

こんな人に読んで欲しい本でした。

・プリンスって名前は聞いたことあるけどyoutubeとかにもないし
 なにから聴いたらいいかわかんない、という人
・プリンスの曲、聴いたことあるけど、最近聴いてないなーと言う人
西寺郷太さんの文章のファン
・80's が好き
・「天才」と聞くと興味がわく

23区格差を読んで。感想文。

23区格差 (中公新書ラクレ 542)

なんだかいろんな「格差」が気になって、
23区格差って本を読んだんですよ。
23区に住んでるわけでもないし、今後も住むつもりないくせに。
だって、気になるんだもん。

どんな本でした?

むちゃくちゃ東京に詳しいおじさんが、
各種統計やさまざまな情報を活かして
23区をジャンル別に格付けしていくぜ!
みたいな本です。


一番最初に出てくる「表1」は、
「23区の中で場所がわからないランキング」
というやつ。
しかも後半ではその順番に「ABCDランク」を付けて
各区をズバズバ斬りまくります。


単純に人が多ければいいわけでも、
子供が多ければいいわけでもないし、
それぞれの区にそれぞれの特徴がある。


あ、もちろん
「住めば都」という話があって、
実際住んでみるといろんなことがあるんだよね。


あと、
「犯罪が多い区というイメージがあるけど、それって本当?」
みたいな視点が出て来るのがいいんです。
・面積で割るとどうか
・人口で割るとどうか
・昼間人口/夜間人口で割るとどうか


例えば
中央区は緑が多い」
という統計があるけど、
実は浜離宮恩賜庭園がドでかいだけだぜー、
あそこ有料だし、あれを抜いたらそんなに多くないぜ―、
みたいな話とかね。

こんな人に読んで欲しい本でした。

・東京23区に住んでいる
・東京23区のどこかに引越ししようと考えている
・23区が好き
・23区内のメジャー商店街に片っ端から行きたい
・なんとなく「正しい統計」の勉強がしたい
・物事を疑わないので、統計を疑うコツが知りたい

「コンテンツの秘密―ぼくがジブリで考えたこと」を読んで。読書感想文。

コンテンツの秘密―ぼくがジブリで考えたこと (NHK出版新書 458)

白黒つけたい理系出身コンテンツ会社の経営者の人が、
スタジオジブリ鈴木敏夫プロデューサーに弟子入りした。
んで、コンテンツって何?情報量って何?クリエイターって何するの?
と、いろいろ考えて定義しまくる。という本です。


とても共感できるところと、
んー?そうなのー?みたいなところがある。
でも、これは映像なり文章なりいろんなスタイルで表現する人は
一回読んどいていい本でしたよ。

どんな本なの?

この本の話をするにはまず
「定義とは」
という話をする必要があるんです。


定義とは

定義(ていぎ、英語: definition)は、一般にコミュニケーションを円滑に行うために、ある言葉の正確な意味や用法について、人々の間で共通認識を抱くために行われる作業。一般的にそれは「○○とは・・・・・である」という言い換えの形で行われる。基本的に定義が決められる場合は1つである。これは、複数の場合、矛盾が生じるからである。

(出典:wikipedia)
定義 - Wikipedia


んで、川上さんがこの本で試みたのは、
「コンテンツ」「クリエイター」「クリエイティブ」「情報量」みたいなものを
考えて考えていろんな詳しい人に聞いて考えて考えて、
定義し直して、という過程をまとめたことなんです。


どっからどこまでクリエイティブなコンテンツなの?とか、
アニメと実写だと実写のほうが情報が多く見えるのになんでアニメで作るんだろう、とか、
あれ?それってワンパターンってことなんじゃないの?とか。
いい意味でネチネチと調べ続け考え続けてた本です。

こんな人に読んで欲しい本でした。

実写やアニメーションといった映像や、
小説やまんがや音楽や落語といった表現をする人、
クリエイターさんは見てもらえると何かしらの学びがあります。
もちろん、この人の理論がイマイチはまらないものもあるけど。


あと、作り手側だけじゃなくて、
受け手の人でも読むと、
モノの見え方が変わって、
元々とは別な面白さが見えてくると思う。


それと、「単純にジブリ作品のファン」という人は読んでから過去作品を見ると、
あー!そういうこと!と納得できると思う。


他の本も読んでみようかな―、と思うような本でした。

司馬遼太郎先生の「峠」を読んで、読書感想文。

峠 上・中・下巻セット (新潮文庫)

漢字的には「山、上、下」と書いて「峠」ですね。この文庫版は上中下巻です。


物語としても序盤で成長して、
中盤で実力を発揮し出世して、
終盤では時代の流れに押し流されまいとしながら、
ぐいぐいぐいぐい流されていく。


ロックすぎる人生でございます。
でもしっくり来る音楽も見当たらないような人。
石みたいに転がりますが、根が無いわけでもなく、
成り上がるものの、成り上がったうまみをすするわけでもなし。

どんな本でしょうか?

幕末の越後長岡藩生まれのある人の一生を綴った小説。
派手に勉強して、派手に遊んで、派手に仕事して、派手に戦争に突入。
なにかにとり憑かれているんじゃないかってくらい行動力があり、
ストイックで力強い(腕力はあんまりなさそうだけどね)。


なににとり憑かれていたかというと
陽明学」「長岡藩」「幕末」の3つ。


陽明学」というのは
某トー◯ツ・イノベーションのセミナーでよく聞く
知行合一」というのを言った人の学問
長岡藩」というのはこの人が生まれ育った場所であり、
武士であったわけだからある意味雇い主であり、自分が帰属するもの。


「幕末」は、一時代だけども、時代の空気みたいなもの。
今見ると「なんでそうしちゃうの?」と思うけど、
既存システムがガラガラと音を立てて崩れ落ちる時代。
そうする背景があったんだよな。


物語の序盤で主人公が
「勉強しに江戸まで行ってくる。信濃川の少し先くらい。」
とかなんとか妻に行ってから、雪の三国峠を越えていくのがすごい。


あ、でも、この「越えた峠」は実際には三国峠じゃなくて、
碓氷峠だったりするらしいね。
会ったことになってる福沢諭吉河井継之助が実際には会ってなかったり、
史実と違う部分もあるらしい。


福沢諭吉と話し込むシーンは見せ場の一つだから入れたのはわかるけど、
なんで碓氷峠じゃなくて三国峠にしたのかは謎だな。
今で言うと新潟県から直接群馬県に入るか、
長野県側から回り込むか、くらいの差がある。


直線距離が近いから三国峠
どっちにしろ実際歩いて行ったら死ぬほどキツそうだけどね。
スキー場で遭難した後、泊まりつつ旅して東京にたどり着いちゃうくらいすごい。
ふつう死んでるよなー。

こんな人に読んで欲しい本でした

・幕末ものなら片っ端から読み倒したい
司馬遼太郎なら片っ端から読み倒したい
・日本史ものなら 片っ端から読み倒したい
・行動力がない
・行動したい気持ちはあるが、これやっちゃうとまずいかもなーって悩む
・先を見据える目を持った人にあこがれる
・組織の中でもなんかできることねーかなーと思う
新潟県民のみなさん
・東京都民のみなさん
横浜市民のみなさん

川村元気さんの「億男」を読んだり、立川談志さんの「芝浜」を聞いたり。

億男
ふだんあんまり映画を見ないんですが、
「映画 立川談志」を先日見ました。
朝の中央線社内、スマホのちっさい画面で見てみました。
「芝浜」っていう落語がまるまる一本入ってるやつ。


おかげで朝からニヤニヤしたり泣きかけたりした。
テレビの連続ドラマって、なんだかめんどくさくて見ないんだけど、
落語鑑賞はちょっと興味あるな。
一本見ても映画ほど長すぎなくていい。


あ、で、そっちじゃなくて、
本の話でした。
億男。
ドでかいお金は人をどう変えるか、お金ってなんだ?という話。
超面白かった。

どんな本かといいますと

しばらく前にブルータスかなんか雑誌で連載されていた小説。
主人公は3,000万の借金があって、図書館とパン屋で働いている男。
妻子あり、ただし別居中。
んで、宝くじ買ったら3億当たるんだけど、友人に持ち逃げされてさあ大変。


そこから3億を追う旅が始まる。
持ち逃げした友人につながる人に一人一人話を聞く、
そのたびに縮まってるのか縮まらないのかよくわからない距離。
はたしてたどり着けるのか!?
3億円は取り戻せるのか。


というようなストーリー展開なんですが、
この、「つながる人達」のキャラが一人一人異様なほど立っていておもしろい。
誰かから要素を抽出してデフォルメしたみたいな、
濃いキャラ揃い。

こんな人に読んでほしい本でした

・お金が欲しい人
 (注:読んでもお金が手に入るわけではありません)
・お金ってなんなのか知りたい人
 (注:お金がなんなのか解説した本ではありません)
・「エンデの遺言」を読んだことがある
・好きな歌は浜田省吾の「マネー」
・好きな歌は爆風スランプの「カネ(マネーに捧ぐ)」
・好きな歌はピンクフロイドのMoney
・好きな歌はマドンナのMaterial girl