うさみ本棚

うさみの本棚です。おすすめされた本を読みますので、おすすめ教えてください!

小島英揮さんの「ビジネスも人生もグロースさせるコミュニティマーケティング」を読んで。読書感想文。

ビジネスも人生もグロースさせる コミュニティマーケティング

コミュニティマーケティングの本で何読む?と言われたら、候補に必ず入るのがこの本です。
料理する人に「料理の四面体」を勧めたり、
投資を始める人に「エンデの遺言」を勧めたり、
マーケティングを始める人に「ノヤン先生のマーケティング学」を勧めたり、
マンガを描き始める人に「ヘタッピまんが道場」をお勧めするようにお勧め
したい。


小島さんは日本のAWSのコミュニティ「JAWS-UG」の立ち上げと成長に深く深く貢献した人。
この本にはそんな小島さんがAWSだけでなく、その後に関わったいろいろなコミュニティから得た知見やコツがまとめてある。


あ、ちなみに「貢献した」と書いてるのは、途中からの成長はもう自走してどんどん大きくなっていたと言う認識だから。
ここポイント。コミュニティは「作った人が大きくする」のは途中までで、求心力のあるテーマの元に人が集まって大きくなるものだからね。


そうそう、脇道にそれるけど、
私の家には男の子が二人いて、ふたりともサッカーチームに所属してサッカーをやっている。
で、あるコーチがどこかで話をしていて印象的だったことがある。


ブラジルでサッカーが盛んなのは、
こどものころからみんなサッカーが大好きで、
おとなになってもサッカーが大好きなんだって。
これだけ書くとなんかバカみたいなんだけど、
いくつかの要素が混ざっている話なんです。


まず、サッカーが大好きなこどもが育つ環境がある。
これは立派な運動場や、道具の話じゃなくて、
お兄ちゃん達がみんなサッカー大好きだからそのへんでサッカーをしていて、とにかくサッカーが楽しい、という状況。
その環境で楽しくサッカーしているこどもたちが大人になると、
「サッカー大好きなまま大きくなった大人達」
が大量生産される。


スタジアムは人であふれる。こどものサッカーに寛容な文化が形成される。
一部の優秀なサッカープレイヤーがヒーローになるんだけど、その影にはたくさんの「サッカー好きな大人」がいて、サッカー界を支える。
競技人口が多いから強い選手が生まれる。


楽しいから一生の趣味になっちゃう。


んで元の話にやっと戻りますが、
コミュニティマーケティングの話です。
コミュニティ、すなわちなにかしらの目的や共通点のある人々の集まり。
です。
んで、それを商売にも活かそう、というのがコミュニティマーケティング


そういう意味では上に書いた「ブラジルのサッカー好きな皆さん」というのは、実はサッカーコミュニティなんだなー、と思ったのよ。
巨大すぎてそんな気がしないけども。


例えば同じバーの常連さんの集まりもコミュニティ。
テレビ東京さんの視聴者コミュニティもコミュニティ、
パン好きのコミュニティとか、チョコ好きのコミュニティなんかもある。


私が仕事で関わっているDMS Cubeは
HULFTやDataSpiderといったセゾン情報システムズ製品のコミュニティ。
SalesforceのTrailblazers Communityは Salesforce製品のコミュニティ。
小島さんが立ち上げたJAWSAWSのコミュニティ。


このへんはユーザーコミュニティですよね。
同じ製品を使っている人同士が集まって、
よりよい活用方法をさがしたり、情報交換をしたり。
RPGのギルドっぽいよなー、と思ったりもする。


どうせ人が集まるなら、効率よく(ローコストハイゲインに)運営したい、というのが企業側の本音であって、
そんな思いがあると、再現性のあるメソッドが確立される。
要するに上手な方法が編み出されていく。


ふつうは「お金でもあげないと、御社の商品を売るのの手伝いなんてユーザーさんはしてくれないんじゃないの?」と思うけど、
金銭的でないインセンティブがあれば人は動くんですよ。
そしてそのインセンティブは例えば
「楽しい」とか「その界隈で有名になれる」とかでも十分。というかそっちがお金を上回る場合が往々にしてある。


そりゃそうですよね。
社内では孤独に働いて、月数万円のお小遣いをやりくりする人が、いつもの仕事を外で話したら
「なんですかその話超すごいもっと教えて!」と言われたりするんだもの。
そして、今の世の中は一人の知識を拡散する方法がいくらでもあるんだもの。


世の中全体がコミュニティマーケティングを押し進めているみたいな状況です。


子供のころは学校に行けば勉強を教えてくれるけど、
大人になってからは自分で学ばないといけない。

昔は選択肢として、
大学にでも入りなおすか、
通信講座に申し込むか、
師匠を見つけて弟子になるか、
本を読むか、といったところでした。
あ、ビデオとかDVDとかもあるね。

そこに今、
テクノロジーの進化に伴い手段が増えているんですよ。


YouTubeで動画を見るのもそうだし、
Twitterでも、詳しい人に質問すると答えてくれることもある。
UdemyとかTEDとか個人にお金を払って学ぶ方法だってある。

んで、
コミュニティに所属して、
オフラインでもオンラインでもイベントや
QAができる場所で質問するのも一つ。

この「コミュニティに所属する」というのが、
仕組み上のコミュニティと人間関係のコミュニティで分かれていることを
意識する必要があるなー、と最近思います。


詳しい人に聞く、行動する、自分も詳しくなる、
自分が得た知識を他の人に共有する。
レーダーチャート的6角形でとがった部分を回りの人に共有する。
遠くても時間の制約があっても、
ZoomだDiscordだなんだかんだで共有できる。


「自分より詳しい人に教えてもらう」という点においては、
昔も今も変わらない。
熊さん八っつぁんがご隠居さんに聞くよりもっと前、
洞窟で長老に話を聞いてるくらいから。


この「教えてもらう方法」の
手段が増えまくっているのが素晴らしい。
紙ができて、ネットができて、blogができて、YouTubeができて、Zoomができて。
詳しい人に教えてもらいやすくなった世の中に生きていて、
怖がらずに学ばないともったいない。

で、どんな本なの?

著者の小島さんはAWSの日本1号社員で、
米国AWSもセルフサービスで育ってきている背景があるし、手も足りないから営業よりもコミュニティ育成をして、
互助的にAWSユーザーが育つ仕組みを作った、という人です。
その後はCMC_Meetupというコミュニティを育成するコミュニティを作って活動している。


人にたくさん会って熱量の高い人(いわゆるファーストピン)を見つけたり、
ミートアップを企画して人と人とを繋げていく、
「輪」をどんどん大きく動きが進む。
熱量の高い中心人物たちを中心に、さらに多くの人が集まって育っていく。
製品の利用は促進され、さらに多くのユーザーが以下略。


趣味や興味の集まりと違って、
仕事関係のコミュニティは自然に盛り上がりにくいから
森を育てるように手を入れる必要がある。
その手入れの仕方を教えてくれる本。


この本は、小島さんがコミュニティについて学び、実践したことをまとめた本です。
コミュニティマーケティングを学ぶ入口としてふさわしい本なので、コミュニティマーケティングに関わる人にもそうでない人にもおすすめしたい本。


MAツール(マーケティングオートメーションツール)の話をする時に私がよくする話として
「メールやらなにやらを送る側としての話だけじゃなくて、受け手として自分はこんな世の中に生きていると知らないといけない」という話があるのだけど、
コミュニティ関係の話も今の世の中を生きるなら知っておくべき話だと思う。
効率よく楽しく学べて、仲間も見つかるから。

こんな人に読んでほしい本でした

・学びが欲しい人
・インプットをしたい人
・アウトプットをしたい人
・コミュニティに関わってるけど、全貌見えないなーという人
・なんで大人には学校ないんだろうね、という人
・コミュニティってよく聞くけど、何?という人


小島さんのtwitterアカウントはこちら
https://twitter.com/hide69oz
最近はCMC_meetupという活動でコミュニティ活用を進めております